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12、お土産

「……。で。これ何?」


「胃薬」


知ってる。


うん違うの…そうじゃなくてさ。

ラン、あんた王宮に行って来たのよね?


私は先程渡された手のひらにある胃薬を見つめる。


帰ってききた瞬間に「お土産ーーっ」と言い、渡されたものが胃薬。

いったいどうなったら、王宮から胃薬を持って帰るような状況になるって言うのよ。


はっ!!…まさか。

いや、そんなまさかね……ね。

うん、一応だから、念のために言っとくわね。


「ラン、私達は侯爵令嬢なの」


「?そうねっ」


いい笑顔なはずが、すごくアホっぽく見えるのは気のせいかな。


「その、だから、ね。別に貧乏でもなんでもないの。だから次からはこういうことしちゃダメだよ」


私はランの肩にポンと手を置いた。


「…」


ランはポカーンとした顔で私を見つめる。

私コクンと頷いて見せた。


「っ!!!ちがうよっ!!!」


ほんとに?


「王宮からくすねて来ちゃったんじゃ…」


「違うよ!お菓子食べちゃったからお代わり欲しくてキョロキョロしてたら、何故か心配してくれたメイドさんがわたしてくれたんでーすーっ」


どんな心配されてんだよ。

お菓子食べちゃったじゃないよ。

ていうか食べすぎるなよ。


「ふぅ。まぁ、とりあえず勝手に持って帰って来ちゃったわけじゃないし今回はいいよ」


「え、私の合格ライン低すぎないかな?」


低すぎないよ、むしろ胃薬手渡された時点でさらにバーが低くなったよ。

そんなことよりも…。


「それで?どーだった王子様とやらは」


「うん、友達になったよっ」


もうやだこの子。

何してるの。


リンディアはあまりの想像だにしてない回答に一瞬時が止まった。


「待って待って…私達は悪役令嬢としてバッドエンドになる可能性があるから関わらない方がいいってランが言ってたんじゃんっ」


フッと鼻で笑うラン。


やめろ。

そのわかってないなぁーとでも言いたそう顔。ほんとムカつくから。


「ふふふ。リン、よーく聞きなさいっ!王子はねぇ!案外面白いやつだったわ!なんて言うかただのいい子ちゃんじゃないっていうか、結構生意気だったのよっ」


「どっからどうみても腹黒でしょあれ」


固まるラン。

ギギギと顔をこちらに向ける。


「え?なんで分かったの?」


「なんて言うんだろ…似てたからかな?前回の私もすごい親の良いように演じて生きてたからさ。人の演技見分けるのは得意なわけよ」


何故かものすごく頷くラン。

そしてさも当然かのように言った。


「そうね、リンも結構性格悪いもんね」


…そこじゃないんだけど。

似てるってあくまでも環境の話ね?

生きてきたか・ん・きょ・う。

私の性格はそこまで悪くない、はずよ。


でも王子は前回の私とは違って親に愛されてる。

王子が笑顔の仮面を被り、みんなが求める王子様像を演じているのは紛れもない環境のせいだと思う。


「だからねっ、次は3人でお茶にしよってさ」


今回私が断ったっていうのは2人だからとかじゃなくてシンプルに関わりたくないからなんだけど。


「ほら、そんな嫌そうな顔しないの!友達が可哀想じゃない」


…別にあんたと王子が友達になったからと言って、私まで自動的に友達になるわけじゃないわよ?

そこは双子関係ないからね。


リンディアはそれはもう大きくため息をついた。

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