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作者: なな

 今日は不思議な匂いだ。           この部屋にある唯一の窓、そこから見えるのは隣の家の壁、最近変えたばかりの枕はもともとそんなに深いわけではない眠りをまた妨げる。

 今日はいつもより深く沈む頭に窓から入る少しの風が心地いい。不快な光を受け付けることはないし、目覚めるためには丁度いい風は

 朝の匂いを運んでくる。

 高校一年生に上がったばかりの立花カヲルはこの匂いが好きだ。昨日を捨てて今日を持ってきてくれる気がするから。      カヲルは毎朝五時に目が覚める。     そしてまだ薄暗い闇の中、透き通るような静けさと風の中を導かれるままに街を歩く。 カヲルは一日の中でこの時間が一番好きだ。将来子供ができたらその子には、どんな名前にしようか、昔好きだった子の名前にしようか、この小説の主人公の名前にしようかなどと、悩みなんて持っていないのであろう純粋な瞳がなにかを見つめている。      カヲルは小学校のときからバレーボールをしていて中学校ではエースとして近畿大会に出場したことがあるくらいには、バレーボールが好きで今も続けている。だが高校では、県内ベスト十六程度のなんとも言えない学校に進学した。そして明日がその高校へのはじめての登校日だ。だからといってカヲルが気にしているものなど一つもなかった。そうして散歩が終わったカヲルはみんなを起こさぬようにと泥棒の気持ちになって自分の部屋に忍び込みもう一度眠りにつくのだった。   いつも通りの朝が来て、行ってきますと家を出るときテレビでは不思議なニュースが流れていた

「よっ、カヲル」            と声が聞こえて机にうっ伏せていた顔を上げるとそこには、上山口 大地が朝から満面の笑みでこちらを見下げている。       こいつは中学時代監督同士が仲が良かったため毎週のように練習試合を組んでいたチームのメンバーのうちの一人で、高校で同じ学校、同じクラスとなりいい迷惑をしている。とはいえ、見た目と反し、なかなかの切れ物であるため、仲良くしておいて損はない奴だと踏んで仲良くしている。正直そんなに馬が合うとは思っていない、お互いこの学校には仲の良い奴が少ないためここで生きていくにはそうするしかないのだろう。自分を生存させるために自分の居場所を作る。互いに割って入る勇気がないから、足りない相手と補い合うでもナニカは足りないから一生満たされることはない、それに気づいた時人は新しいナニカを求める。それが友達や、恋人なんだろうと思う。もう、昔のようにはなってはいけない、だから人を求めても、求められてもいけないのだ。                ガラガラと音を立てて新しい先生が扉を空けて教室に入ってきた。生えかけの白髪が目立ち、誰もが知っているような野球チームの赤いワッペンをつけ、少しのタバコの匂いを連れた、中肉中背の男性が入ってきた。この人がこれからの僕たちの担任なんだろう、つまらないジョークと自分語りを始めた。そんなものはこちらからすれば一つも興味が湧かないと言うのに、だがそんな男の最後のひとことだけは気になった。今ニュースでも話題になっているウイルスのせいで学校が休校になるという。しばらく学校には来なくて良いと言う喜びと、少しの嫌な匂いがした。     これは嫌な予感のようなものだったのだろうか、その予感は的中した。休校になった途端休みが延期されたのである。その後もそれが二度ほど続いた。             「明日暇?」              中学の同級生正樹からの連絡だった。暇だったらどうすると言うのだろう。外に出ることは許されないと言うのに。正樹の提案で、当時仲の良かった八人のグループで電話を繋ぐこととした。カヲルはこの電話がとても嫌だった。だが断ることはカヲルには出来なかった。この年は忘れたくて忘れたくない思い出がたくさん詰まっていた、それを蔑ろにすることはしたくなかった。          中学三年生の春、今と同じような時に僕は正樹と出会った。その時もたいして仲の良い奴がクラスにいなかった時正樹に何かのきっかけで声をかけたのが始まりだった。なんで声をかけたのかは全く覚えていない。でもこれがあったから、

僕の世界は全く違うものとなった。

正樹と仲良くなって数日クラスで席替えが行われた。中央の一番後ろより一個手前の席、隣には正樹がいた。気づけば後ろの子とも仲良くなっていて、カヲルを含む、正樹、多美、向日葵の四人でいることが多くなっていた。そしてその年の夏、今までで一番後悔することとなるとはまだ知る由もなかった。

 みんなと話していると少しずつ過去を思い出して落ち着く自分がいた。たった二ヶ月前までは普通に話していたはずなのに、少し経って仕舞えば会いたくなってしまった。

こんなこと夏にもあった。まだ四人しかいなかった頃映画を見る約束をした。その当時は正樹と向日葵が両想いであることに気づいて無理やり付き合わせてしまい、一週間後の文化祭で別れてしまった。そのことを本人たちより落ち込んだのを覚え得ている。    そして、ここから自分が何かに取り憑かれてしまったかのようになってしまったことも覚えている。だから僕はこの先のことを思い出したくはない、、、

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