ハルカside あいつとあの子
「早乙女!好きです!付き合ってください!」
……………どうしよう
早乙女(太郎の名字)と呼ばれ、告白されているのは紛れもなく僕の幼馴染だ。
僕に対して過保護すぎるくらいの太郎が僕をおいてどこへ行くのかと思って…
太郎が入ってった空き教室を覗いただけなのに…
人の色恋を見るのは嫌いじゃない。
というか恋愛漫画やドラマは姉の影響で大好きなくらいだ。
でも…幼馴染だと思うとそれは別だ
……あ、太郎に告白してるの学年で結構目立ってる人だ。僕とは真逆の場所にいる人。
なんだ、太郎とお似合いじゃないか。
うん。そーだよ、何を動揺してたんだろ。
王道カップル、好きだろ。
でも、何かが胸…いやそれよりもどこか深いとこで燻っている。
「はぁ、馬鹿らしい。教室もどろ」
せっかくクレープ屋さんについてってあげようと思ったのに…
「あ、あの矢野…」
ん?太郎が何か言おうとしてる
あの人矢野さんって言うんだ。
呼び捨てか…仲良いのかな
「俺さ、他に好きな人いるんだ。ごめん」
「そっか、、、」
「うん…でも気持ちは超嬉しかった!ありがと
な」
え?…太郎好きな人、いるんだ。
ずっと僕と一緒なのに…?
ふーん
矢野さんが振られて心の底では安心してる自分がいる。でも断り文句だって分かってても他にいる好きな人が気になって仕方ない。
僕どうしちゃったんだろ…?
ガッターン
教室の中ですごい音がする
反射的に教室を覗くと…
ん!?太郎の上に矢野さんが乗っかってる!?
え?
「ねぇ、早乙女?いや、太郎くん。私のこと覚え
てない?」
「痛て…え?」
「やっぱり。覚えてないんだ。」
「ちょっと待て、なんのことだ?」
「…もう、忘れちゃったんだ」
「…ニコ。ニコだろ?笑って書いてニコ。よくゲ
ームして遊んでた。引っ込み思案でおとなしい
ニコ。今じゃその面影もないけど。」
「……………うん。そーだよ。太郎くん、小学生の時言ってくれたじゃん。」
矢野笑『ねー。高校生になったら皆付き合うんだって。私達も付き合ってるのかな』
太郎『んー、そじゃね。』
「って!言ってたのわすれちゃったの!?」
「……それってゲームしてる時に言った?」
「多分。」
「俺さひとつのことに集中すると適当に返事する癖あって…それも多分そのくせだと…」
「いや!そんなんじゃ納得できない!」
「こうなったら、強硬手段よ!ヤっちゃえばこっちのもん!」
ペラッ
「は?離せっ!」
…はっ!恋愛ドラマでも見てる気になってた…
これは…太郎の危機?あいつ女の子には絶対手出さないから…
それに…太郎誰かに取られんのってなんかいや…
あぁ、むしゃくしゃするっ
「きゃースリよぉ、助けてぇ!」
僕は何を言ってるんだろう。こんなんで助けられるわけ…
「え?スリ?ど、どしよ。
こんなとこ見られたら退学どころじゃ…」
と言って走ってどこかへ行ってしまった
「ハルカ…いるんだろ」
ギクッ
「…はぁーい」
「なんだよ、スリって。」
「べ、別にいいでしょ」
「いや、学年で指折りの秀才の語彙力ではないね笑」
「その調子なら大丈夫そうだね?」
「うぅん…流石に驚いたよ…ニコのやつ…」
「あの子とはどんなご関係で?」
「お?気になるの?嫉妬?ニヤニヤ」
「いいから。」
「ハイハイ。ニコとは小学生からの仲なんだよ。
覚えてない?3年か4年の時俺がよく話してた女
子。」
「……」
まったく覚えてない
正直、興味がなかったし…
「ハハッ覚えてねーか。で、あいつ大人しめな、奴
だったんだ。なのに笑って書いてニコなん
て目立つ名前でやだ、って愚痴ってたんだ。ほ
ら、俺も太郎なんてベタな名前で昔は気にして
んだ。そういう話してたら仲良くなってっ
て…」
「ふーん」
名前で悩んでたとか初めて聞いたんだけど。
あの子には言ってたのに
モヤモヤ
「で、気づいたらあんな派手な見た目になっ
て。しかも、俺に惚れてたって…」
「人生何が起きるかわかんないな!あいつは友
達だと思ってたけど…友達が減ったみたいでなんか悲しいな…」
ん?
「太郎、今のもう1回いって?」
「え、人生何が…」
「それのあとのあとくらい!」
「…友達が減ったみたいで悲し…」
「それだぁ!僕は友達が減ると思ってモヤモヤしてた
んだ!」
「ハルカ?どゆこと?」
「僕、太郎が告白されてるの見てて、なんかずっ
とモヤモヤしてたんだけど…」
「え!(嬉)それって…」
「そう!太郎って、僕の唯一の"友達"でしょ!だからはなれちゃったら悲しいって思ってたのかも、…ってこと!」
「と、友達、ね」
「なんか、スッキリした!てか!太郎いつまで倒
れてんの?早く服も直して?クレープ食べ行こ
ぉ」
「…ごめん、腰抜けた…」
「え」
まったく仕方ない
「はい」
手を差し出す
「え、いいの?」
「こ、校門までだから…」
END
はぁ…いつも長たらしい文章ですみません…
ここまで見てくださり、ありがとうございました!