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行き様
今、世間を騒がせている1人の女怪盗がいた。
警察が総力をあげて追いかけているが、誰にも捕らえられない。
一方その頃、事件の影で彼女を単独で追っている探偵がいた。
男は今回、犯行現場で彼女と鉢合わせることに成功した。
待ってくれ!
彼は彼女に声をかけました。
通常であれば立ち止まるはずもありませんが、彼女はその場に留まります。
あなたも私を捕まえに来たのでしょう。申し無いけれど、私はまだ捕まる訳にはいかないの。
彼女は男に返事をしました。
始めはキミを捕まえるつもりだった。でも、気が変わった。僕はキミの美しさに惚れた!
男はあろうことか、自分の立場を放棄して彼女にプロポーズしました。
突然の申し出に驚いた彼女は、戸惑いながらも返事をします。
警察よりも先にあなたが私を捕まえてくれたら考えてあげるわ。
その言葉を残して、彼女は夜の闇へと消えていきました。
それから2ヵ月後。
男は執念で彼女を追いかけ、ついにその身を捕らえます。
いいわ、あなたと共に生きてあげましょう。
彼女は男の告白を受け止め、宝を置いて2人で立ち去りました。
その後、人気の少ない山奥のコテージで一緒に生活をしました。
彼女は指名手配犯なので公の場では暮らせません。
それでも、彼女は盗みをやめて今の生活を受け入れました。
男も満足し、2人で秘密の生活を楽しみます。
しかし、しばらく生活を続けていると彼女は見るからに元気を失っていきました。
今の生活は嫌?
男は彼女に問いかけます。
そんなこと無いわ。静かで、とても落ち着けるもの。
彼女の言葉には嘘を感じられません。けれどやっぱり、以前のような美しさは見る影もありませんでした。
男は気付きます。
彼女は、怪盗だったからこそ美しく輝いていたのだと。
男は悩みます。
このまま枯れてしまった彼女と静かに生きるか、追って追われての美しかった彼女に戻ってほしいか。
どちらかを選択しなければ、俺自身も彼女に受け入れてもらえない。
そして、男が選んだ結論は…………………………、
この話は未完結で終わります。
あなたは、どちらを選びますか?