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５分だけ
沙織と恵は、毎晩５分だけメールでやりとりを続けた。
４月の下旬、GW の前。
沙織と恵が通う中学校では、定期テストがあった。
抜き打ちのミニテストが週に２回はあり、
夏休みなどの長期の休みがある月以外には、
毎月下旬に定期テストが行われ、
氏名が入った成績表が教室の後ろに貼り出された。
授業参観は保護者が希望すれば、
参観が１人でも随時行われ、
ほとんどは母親だったが、
わが子の最近の成績は一目瞭然。
休み時間には、トイレに行くとかはともかく、
寸暇を惜しんで全員が自習している。
さて、沙織と恵。
毎晩５分ずつ、ショートメールでやりとりしていた。
アドレスを使うメールでない理由は、
お互いに電話番号だけを使うほうが合理的と思ったためだった。
この学校では、毎日長時間にわたって
テレビやスマホにかじりついている生徒はおらず、
一流大学へ現役で進学をめざして、
どの生徒も必死だった。
ショートメールの時間を毎晩５分だけにすることは恵から話があり、
沙織もすぐに了解した。
