入学式で
中学校へ入学する際の面接で、
沙織と母親は打ち明けた。
頻尿、失禁、おむつ。
沙織が通う私立女子中学校は、
各学年それぞれ1クラスで20人。
文字通りの少数精鋭。
入学後は抜き打ちテストが
大学受験に関係する科目について月に2~3回あり、
氏名と点数が明記された成績順が教室の後ろに貼られる。
沙織と母親は、入学に際しての面接で、
尿失禁がたびたびあり、
いつもおむつをはいていることについて話したが、
学校の対応は、ある意味で事務的だった。
「おむつは休み時間に保健室で替えていただきたいのですが、よろしいですか? 女性の養護教諭に担当させます」
母親と沙織は了解した。
修学旅行等の、外で宿泊する行事はいっさいなく、
体育の授業で水泳の場合は、見学を認めるという話に、
母親と娘は安堵した。
入学した日。
沙織は、約1時間の入学式の間に、
緊張したためもあるのか、
数回おもらしをした。
尿パッドとおむつのおかげで、
式場のいすや床まで汚すことはなかったが、
沙織は、失禁したときの音が周囲に聞こえなかったかと、かなり心配になった。
そして、もらしたときに陰部があたたかくなったことに、
少し快感をおぼえた。
この感触は幼稚園の頃から続いていて、
失禁のすべてを悲愴に思うことからの救いになっていた。
さて、入学式の間。
沙織と母親は、
もう1人の入学生もおもらしをしていたことを
知るよしもなかった。