プロローグ
〜とある消えかけの世界〜
平時ならカラフルで見るものを楽しませる街並みも、今は目も当てられないほどに壊滅していた。
その街の中心には、ウニのように方々に触手を伸ばす黒い巨大なナニカが暴れていた。
それは駄々を捏ねる子供のように、無秩序に触手を叩きつけ街が跡形も残らないように破壊していた。
だが、触手の一部は破壊には参加せず、昆虫などが物を探すように、手探りで目当ての物を引き寄せるかのような動きをしていた。
その触手の間を縫うように街を疾走する4人の少女達がいた。
4人の少女は、それぞれ鮮やかな赤、青、黄、緑色の髪と瞳を持ち、特殊な気配を漂わせていた。
その中でも青い髪の持ち主が
「今は生き残る事を最優先して、多分私達が最後の生き残りだから。皆を助け出すのは、“奴”を倒す力を付けてからでも遅くは無いから。」
それに答えたのが緑の髪の持ち主だった。
「“向こう”に行ったらバラバラになるから、取り敢えず合流を果たしてから行動ね。」
各々がそのセリフに返事をしたのとほぼ同時に4人を光が包んだ。
瞬間、街を襲っていた何本もの大木の幹程の黒い触手が突然4人に襲いかかった。
触手が退いた場所には誰にでも居なかった。
その日、その世界から<人>が消えた。