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Title.1 使命  作者: エス
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時代支配

 今日は土曜日。いつもはコーヒーを頼むところを、今日は敢えてアイスココアにしてみた。いや、したかったというべきか。飲んでみるとやはり甘く、インスタントのアイスココアとの違いを見出そうとしていた。だが、そこに違いを見出すことはできなかった。つまり、今の私の舌をもってすればインスタントココアとカフェのアイスココアの価値は同じであり、それにもかかわらず本質的な価値を考えることを止め盲目になっていた。実はみんなもそうなんじゃないか?みんなが行くカフェだから価値があるように感じているフリをしているんじゃないか?


 この頃、私たちの考えは時代に支配されていると考えるようになった。今の時代は近代からの脱却に向けて遷移している状態であり、非常に貴重な時代に生まれ落ちたなとホッとする。近代の日本人は同調することによって自身の存在意義を見出していた。先生が丸と言えばそれは〇であり、△や□に見えた者は自分を殺し、〇に見えたフリをし、皆に同調した。そんなことあるはずないだろうと呆れるかもしれないが、少し前の日本ではLGBTQなどは認められていなかっただろうし、親はそんなことを許そうとはしなかっただろう。このような特別な場合だけでなく、知らず知らずのうちにあなたも同調しているフリをしているはずだ。もちろんカフェにいる私も―。


 なぜそんなことをする必要があったのだろうか。そこに私は時代による支配性を見出す。戦前あるいは戦後の日本は経済成長を強く求めていた。大きく成長するには労働力が必要だ。どんな労働力か?それは均質化された労働力だ。ある程度の教育を施し、きちんと労働してくれる存在だ。そして、その方針に従わないものが現れないよう、同調という正義の下で教育がなされていった。また、幸せも洗脳的に定義されていた。家族を持ち、一軒家あるいはマンションをローンで購入し、車を持てばそれが幸せ。こんな幻想を万人の幸せと定義し、皆を幻想の幸せへと向かわせ、結果大きく経済が成長した。


 私は近代日本における同調を土台とした労働力の搾取を批判するつもりはない。ここで言いたいことは、近代日本において経済成長を遂げるためにはこうするほかなかったのだと思う。つまり、この時代における最善手を打ったのだ。だが、時代が進むとこの手は最善でなくなる。今まで最善手だと思ってきたものを続けると不平不満が充満するのだ。それもそのはずで、幻想の幸せを追い求めたところで幸せになれるはずがない。そして、次なる最善の一手を探す。こうして、時代は進んで行くのだと思う。つまり、今私たちが抱いている考えはその時代ならではの考えであり、時代に囚われているのだ。絶対的な最善の一手はおそらくまだ打てない。ならどうするか。その時その時の時代に臨機応変に対応するのだ。さらに言えば、時代を創ることに専念し、最善の一手を一秒でも早く手に入れるべきだと思いながら、ここまでを書いた。-そして、この時代を創るという考えもまた時代に支配されていた。

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