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93.王女の輝き①

 セラは上手く彼らを連れて来てくれるかしらね。今回のこの為だけに、カンラートを呼んでしまったけれど、やっぱり本物は違うわね。国王陛下の渋さも捨てがたいけれど、彼には敵わないわ。


「ルフィーナ様、花嫁候補の女性たちをお連れしました」


「ありがとう、マフレナ。あなたはセラが戻ってきたら、そのまま彼を制しなさい」


「はい」


 それにしてもよくもまあ、これだけの候補者たちを集めたものね。王子を許せる候補者は一人としていなかったのかしらね。


「そこのあなた、こちらへ来て頂けるかしら?」


「は、はい」


「トビアス王子のこと、どう思っているの?」


「素敵です……でも、私には合わないって思いました」


 素敵って思えてるってことはまだ余地はありそうではあるけれど、わがままを直さないと良くもなりそうにないわね。果たして上手く行くかしら。


「ルフィーナ王女。セラフィマがもうすぐ、カンラート様とサーク陛下、王子を連れて参ります。ご準備を」


 いよいよわたしの最後の仕上げのいたずらの時ね。もしここに、アスティンがいてくれたら彼に戦って欲しかったけれど、彼はここにはいない。これはわたしだけの戦いでもあるのだわ。あなたと再会するまでの試練ね。


「では、皆の者。全てわたくしがなすことに従って、動きなさい。よろしくて?」


「ははー!」


 まさか他国の、しかもまだ外の世界の入口のような国で、こんな振る舞いをすることになるなんて予想外ね。通行証が無かっただけのことだというのに、こんなに一つの国に長く居すわることになるだなんてね。


 でもこれがあったからこそ、アスティンは先に帰国をしているのよね。彼と一緒に動くようになってからが本番だわ。その為にも、わたしがこの国の王子に先行きの光を見せてあげなければならないわ。


「ルフィーナ様、サーク様とカンラート様。それに、トビアス王子をお連れ致しました」


「ありがとう。セラはお下がりなさい」


「は」


「キヴィサークのサーク様と我が国のカンラートはわたくしの傍に」


「む? わ、分かった」

「うむ。よかろう……いや、参りますぞ」


「お、お前! ルフィーナだな? 何でここにいる!? ここは父上の、玉座の間だぞ! 何でお前なんかが勝手に座っているんだ? さっさと父上に席を譲れ!」


「ふふっ、あなたは誰に口を聞いているのかしら?」


「な、なにっ!? お前、何様だよ! 俺が玉座から引きずり降ろしてやる!」


 ルフィーナに向かって、トビアス王子が近づこうとした時、王女の近衛騎士たちが一斉に立ち塞がりトビアス王子の行く手を阻んだ。


「な……何だ? お前たちはルフィーナの姉じゃなかったのか? いや、それよりも何で父上までもが、ルフィーナの傍に立っているんだよ。何なんだよ!」


「トビアス……我が息子よ。まだ気付かぬか? ここにはお前の味方はおらぬ。お前を守る者もおらぬぞ」


「――え」


「トビアスとやら、我が王女に反意を抱くのであれば、我は容赦せぬぞ! 我らヴァルキリーは貴様の所業を全て見逃すわけには行かぬ。我が王女の優しさに付け込み、輝きを失わせようとした。その罪、貴様の身分と国でもって償え!」


「シャ、シャンタル? ヴァルキリー? 王女……!? ルフィーナが王女? そ、そんな、まさか……」


「トビアス王子。いいえ、トビアス。わたくしの前で膝をおつけなさい」


「く、くそ……何でこんな」


 さて、どうすればわがままが直ってくれるかしらね。わたしらしくない表現と態度で分からせてあげるしかなさそうね。それまでどうか、サーク陛下……わたしのわがままをお許しくださいね。

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