表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わがまま王女と駆けだし騎士の純愛譚  作者: 遥風 かずら
外伝クライマックス:プリンセッサの恋愛譚
PR
72/151

72.誓いの口づけをあなたに

「初めて出会ったあの頃。俺は陛下と団長の密命を受けて城を出ただけの、ただの騎士だった。それがたまたま、ジュルツに来ていたお前たちに出会っただけのことさ」


「ううん、偶然は必然。確かにラルディの気まぐれでジュルツに来ていたけれど、そこであなたに出会えたのはわたしとあなたの運命だったの」


「歳の離れすぎた嬢ちゃん達に運命を感じるなんて、それはさすがに無かったけどな。だが、あいつ、イグナーツとの引き合わせといい、ラルディ王女のことといい……そして会えるかどうかなんて分からなかった俺への証付け。全てレナータが思い描いた通りになっちまったな」


 マジェンサーヌ王国のどこかの空間で、ジュルツの髭騎士ハヴェルと王国王女レナータはお互いの想いを確かめ合うように、思い出を語っていた。そしてそれは、ふたりのこれからに繋げていくための時間でもあった。


「ハヴィはいいの? わたしと一緒になること、それはあなたにとってはとても、とても……大きな決断」


「はははっ! それを言うならお前の方がよっぽどのことだと思うぜ? 生まれた時から決まっていた王女と、力。姉妹で守っていく為の力だ。それを一人の……何てこともねえ騎士の為に捨てるってことを、お前自身に後悔はねえって言える、いや誓えるか?」


「ハヴィはわたしにとっての王子さま。後悔なんて一つもないの。ねえハヴィ……」


「あぁ、レナータ」


 ふたりの間に言葉は要らない。その時間、瞬間が愛おしく、切ない……待ち望んでいた長きにわたる想い。これから始まる恋と想いを、口づけと共に誓い合った。


「――うふふっ」


「どうした?」


「好き、大好き」


「お、おぉ、俺もだ」


「旦那様とずっと一緒。わたしの愛する旦那様! もう待たなくていいの」


「お、おい、気が早いな。まぁ、遅かれ早かれだけどな。行くとこは決まってるわけだしな。そうだろ?」


「うんっ! ハヴィと一緒にずっと、ずっと暮らすの」


 出会いは偶然。けれども、惹かれ合った想いは必然。騎士と王女の恋する想いは、愛へと深まっていく。


「レナータ……いや、レニィ。そのな、ラルディのことだが……」


「うん、きちんと話をする。あの子には彼がいるもの。彼と出会った時に感じた事だもの。だからきっと、大丈夫。たとえ、それまで良くないことがあったとしても、イグナーツ。彼と一緒ならあの子はいい王女になれるわ。記憶を取り戻した彼であれば何も心配はいらないもの。何よりも、あなたと同じ騎士ですもの! 不安に感じることなんて無いわ」


「俺は騎士じゃなくなるんだぜ? それでもいいのか?」


「ううん、ラルディの傍には彼がいるように、わたしの傍にもわたしだけを守る騎士様がいてくれる。それだけでいいの。王の命じを忠実に守る騎士ではなくなるけれど、それでも愛する人の傍に居続けることも騎士様なの。ハヴィがいいの! ハヴィだけいればわたし、何もいらないわ」


「そうか、それなら俺も騎士としてけじめをつけるしかねえな」


「それじゃあ、わたしも傍にいていい? あなたの王にお会いしたいの」


「そうだな。さすがにこのままお前とあの場所に行くってわけには行かねえしな。俺が世話になった恩人と、王女様と……弟のあいつにはちゃんと言っておかねえとな! レニィは俺にしっかりと掴まってればいい。心配することはねえ。俺の国……ジュルツの連中におっかない奴はいねえからな」


「何も心配なんてしてないよ。あなたですもの。だから、わたしもあの子に向き合って王国を託すわ」


 ジュルツ国のかつてのヒゲ騎士ハヴェル・ヴィジュズとマジェンサーヌ王国王女レナータ。互いの想いを成就させ、ふたりの進む道は確かなものになった。王国の王女と騎士のけじめ。ふたりの運命が動き出す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ