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ルフィーナ王女と守護者②


「カンラート! カンラートはおらぬか?」


「は! わたくしめはここに」


「おぉ、元気そうで何よりだ。して、シャンタル・ヴァルティアと御子は健やかか?」


「わたくしよりも元気が余っておりまする。それよりもなぜ、アルヴォネン殿だけ戻られたのですか?」


 わたしと行動を共にしていたアルヴォネン様はわたしのとある企みに気付かれて、ジュルツ城へ早々に戻られていた。その目的の人物を説得するために。


「うむ。お主、王女殿下が恋しくは無いか?」


「は? い、いえ……失礼しました。アルヴォネン殿が、その様なことを口にするとは思わなかったので、失礼を致しました」


「よい。我は現役を退いている身。お主の方が上の立場であろう? 失礼など気にせぬ。それよりもどうなのだ? ルフィーナ王女に会いたくはないか?」


「正直申しますと、ミストゥーニで別れた後に何の報せも無い為に、義理とはいえ我が妹に会いたいという気持ちでいっぱいでございました。それが何か?」


「ではカンラート。お主に頼もう! もちろん、お主だけ行かせるわけにはいかぬ。妻であるシャンタルと、御子を共に連れてゆくがよい。これは王女殿下のめいなのだ」


「ヴァルティアもでございますか? 何故でございますか」


 アルヴォネンの目的は、城を護るカンラートと代わり、彼らが再び戻るまでの間は自らが城の守りに就くという考えだった。ルフィーナ王女の下した命によるものでもあり、同時に自宅にいるロヴィーサの傍にいられるという想いも彼にはあった。


「王女がお主を所望しているのだ。それゆえ、幼き御子と妻をお主から離すわけには行かぬからな。一緒に行けばよい。そして王女の現状を知ればよかろう。カンラートには重大な役割が課せられるはずだ」


「重大な役割でございますか? それも王女の希望で……うむむ」


「エドゥアルト! 出立の準備を済ませろ。ルフィーナが我と貴様を所望しているのだぞ! 迷う必要がどこにある? さっさとしろ!」


「わ、分かった。では、馬車の用意と騎士を連れて行く」


「我は先に出て待つ。では、アルヴォネン様。行って参ります」


「うむ」


 迷うカンラートを尻目に、ヴァルキリーシャンタルの動きは早かった。子を授かって休んでいたとはいえ、ルフィーナの命と聞いて居ても立っても居られなかった。


「では、カンラート。頼んだぞ」


「ははっ! 城の護りをアルヴォネン殿にお願い致しまする」


「うむ、しかと」


 前団長であり、強さにおいては未だに自分よりも上であるアルヴォネン。彼であれば自分よりも城を守ってくれることは明白だと感じていた。ただ、会いたいと思っていたルフィーナからの命じが本当に来るとは思っていなかった。それも重要な役割で。カンラートは不安を胸に、ジュルツを出立することにした。


「近衛マフレナ、出立するぞ。ついて参れ」


「わたしがでございますか?」


「そうだ。俺ではなく、シャンタルと子を守れ。そして、王女への手土産を持って行ってくれ」


「わ、分かりました。王女様への手土産というと……」


「あいつが城に忘れて行ったモノだ。アレを持って行けばやる気も増すだろうからな」


「かしこまりました」


「ふぅ……頼むから少しは王女として成長しててくれよ。アスティンの方に行けないのは残念だが、王女の命じは絶対だからな。行かなければまた涙を流させてしまうだろうし、そうなればルフィーナの騎士たち全てが俺の敵になってしまうはずだ。気を付けなければ……」

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