表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Deadlock Utopia  作者: 胡坐家
7/17

DeadlockUtopia 第二章二節 ~Destination~

ファンタジー小説「Deadlock Utopia」本編二章二節です。小説の舞台となる多種族共存特区「輝夜」での残党との戦闘後のストーリーです。

Deadlock Utopia 第二章二節 ~Destination~


挿絵(By みてみん)


<死闘の後>


 残党との死闘を終えた後の酒場「ディアボロ」は、警官、医師、そして聴取や検査を待つ人々でごったがえしていた。

「残党と直に接触した、もしくは半径10m以内に近づいたと思われる人は放射能チェックを必ず受けてください!」

「フィジカルチェックの終わった人から、順次警察の聴取に御協力ください!」


 輝夜を震撼させた残党が脅威が去った安堵感と、自分たちが勝利を収めたという高揚感、そして再びいつ訪れるか知れない敵への恐怖感……。店内には、あらゆる心情をい交ぜにした異様な雰囲気が漂っていた。


 店の一角で、旅人らしき男たちが警官に詰め寄っていた。

「俺たちゃ、さっきの怪物にやられたって言ってんだよ!」

「持ち物から何から全部破壊されちまって、今日食うものにも困ってんだよ、何とかしろよ」

「証拠だぁ?お前が見てねえだけだろうがよ!」

 どうやら怪物騒ぎに乗じたたかりの類らしい。異国の訛りでがなりたて、ただでさえもざわついている店内の空気をささくれ立たせるような不愉快さを撒き散らしていた。


 対応に困り果てた数名の警官の元に、タブレット型パソコンを持ったルアが現れた。

 少女と見まごうばかりの小柄なルアの登場に、旅の男たちは口笛を吹いてからかうようなことを言った。


 ルアはタブレットを操作し、ある画面を男たちに突きつけた。

「これが本日の残党との戦闘を撮影した防犯カメラの映像だ。街中に設置してあるから、きっと気の毒なキミたちも映っているだろうね。さあ、どこに居るか教えてくれないか。それをもって証拠とし、存分に補償をさせてもらおうじゃないか」

 あわよくば宿代くらいは出させようと思っていた男たちは、ぐうの音も出なくなって、捨て台詞を残して引き下がった。


 彼らに見せた画像は、彼女が防犯カメラにアクセスして取得した、戦いの一部始終を映したものだった。部下の一人が、ルアの機転に敬意を表したが、彼女の思惑は全く別なところにあった。


――正直驚いたよ。まさかこの人数で残党を一匹退治してしまうだなんてね。警察としては、この画像を精査して今後に大いに活かすだろうから――


 ルアは、カメラのデータからディアボロの屋上を映した画像の一部、アデルが蜘蛛の足を引きちぎる場面だけを削除した。



 別の一角でもちょっとした諍いが起きていた。

「困りますよ!検査の済んでいない者に飲食物を提供しないで下さい!」

 医師が、店内の人々に飲み物を出すイサナとカヲリをたしなめた。


「うるさいね!今更そう変わりゃしないよ。こんなに怯えてる子にミルクの一杯も飲ませてやるなって?」

 イサナの傍らには、恐怖に震える幼い獣人がいた。コップに入ったミルクを受け取った、その母親らしき女性が丁寧に頭を下げる。


 医師はそれ以上は何も言わなかった。イサナは、女性と子供に微笑みかけた後、心の中で自分の言った事を反芻した。


――変わりはしない?いや、変わっていくだろうよ。残党に勝ったことで、あの人は確実に――


 イサナは戦闘を追えて戻ってきた夫の時政を見た。同族の若者を交えて、警察と何事かを熱心に話し合っている。しばらく解放されそうもないと見ると、イサナは夫と言葉を交わすのを諦めて、再び店内の人々に飲み物を配る作業に戻った。


――もう、戦いの世界には戻らないなんて約束。忘れちまっただろうね――





<あたしがここにいる理由>



「素晴らしい射撃でしたわ、先生」

 ブルーは酒場のソファに腰掛けたエースの背中に声を掛けた。エースは飲みかけのワインを噴き出さんばかりに面食らった。

「光栄だが……その『先生』っていうのは何なんだ。気持ち悪い」

「先ほどの競争は、あたしの負けでしたもの」

「あ、あぁ、そうだったかな」エースはそらとぼけた。


 残党の腹の孔をより多く撃ち抜いた方が勝ちという勝負で、ブルーは残弾5発のうち実に4発を命中させた。


「そりゃあ、命中した弾数ではあたしの勝ちです。でも、先生はたった1発で残党を破壊したじゃないですか」

「俺は端からそれしか狙ってなかったからな。孔は8つあった。だから少なくとも半分ずつの破壊ってことで、イーブンでいいじゃないか」

「いえ、射手しゃしゅというのは常にその『質』を重んじるべきです。そういう意味では先生の勝ちですわ」


 まあ、勝手にすればいいさ……とエースは顔を伏せた。

 その動作の裏には、ブルーに対する気まずさがあった。彼は残党の腹に銃弾を打ち込むときに、あることに気がついていた。


――孔のうち1つは、何かが挟まっていて、既に機能していなかった。


 つまり、4つ破壊した時点でブルーの勝ちは決まっていたのである。首尾よく残党を爆破できた為に彼の手柄のようになったが、内心では天使の射撃の正確さに薄ら寒さを感じるほどであった。


――敵には回せないな……。都合よく誤解をしてくれているようだし、敢えて負けを認めるようなことを言う必要もなしか。



 居心地悪そうに肩をすくめ、エースは話題の矛先を変えた。

「天使……ブルーは、何故この街に?」

「下界へ降りてきているのは、修行のためです」

「ほう、修行とは?」

「ええ、天上界一の射手を目指すあたしのために、父が下界での修行を命じたのです」

「それまた随分と厳しい親父さんだな」


 親父という一言に反応したブルーが声を高くした

「オヤジとは何ですオヤジとは!あたしの父は大天使長ミカ」

 ブルーの言葉をさえぎるように、時政が横合いから割り込むように現れ、特大のビールジョッキを、だん、と乱暴にテーブルの上に置いた。

「お疲れさん!2人ともたんまり飲んでくれ!俺のおごりだ!」


 そして、ブルーのほうを見て指でバツを作り

「頼むからヤツの名前を出さないでくれ。ただでさえもあんたの登場で気が立ってる連中なんだ。天使長の名前なんて刺激が強すぎておっかねえや」とたしなめた。

 ブルーはぺろりと舌を出した。確かに差すような視線を感じる。

「あ……あら、ごめんなさいね。ほんと、すごい殺気」


 時政も、ジョッキを手に話の輪に加わった。

「あんたらもそれぞれ事情はあるだろうが、まあ、ここでは抑えてくれ……誰が聞いてるか分からんからな」

「あたしと先生は大丈夫です」

 なんだいその「先生」っていうのはと問う時政に、ブルーは先ほどの話を繰り返した。

「ははっ、こりゃ傑作だ!エースもいい『生徒』を持ったな」

「ありがた迷惑だ。天使の癖に気味悪い」

「はぁ?女の子に向かって気味が悪いなんて失礼ね!」

 誰が女の子だ図々しい、なんですって表に出なさいよと口論に発展したふたりをなんとかなだめすかし、時政は仲間の元に戻った。


「まぁ、先生はやめてくれないか。エースでいい」

 ほとほと参った様子のエースにブルーは微笑んで答えた。

「分かったわ。誰かに師事するという口実ならここにいる理由になると思っただけだから」

「口実がいるようなことなのか?」

 彼に言うでもなく、ブルーは店の隅のソファに座っているアデルを見て呟いた。

「親友の孫のおりだなんていっても、お許しが出るとは思えないんですもの」

 




<私が知らない私のこと>



 おざなりの放射能チェック、採血と口頭だけの診察を終え、最後に医師から「定期検査を怠っては困りますね」と嫌味を言われ、アデルは仮設の医療施設となったテントを出た。


 肘の内側を脱脂綿で押さえながら、ディアボロの店内にもどる。カヲリが心配そうに駆け寄ってきて、冷たいジュースの入ったグラスを渡してくれた。イサナと一緒に、避難してきた人達の世話を焼いているらしい。

 少し休んだら自分も手伝おうと考えつつ座るところを探す。すると兄のジークが店の奥に一人で座っているを見つけたので、近づいていってその隣に腰掛けた。ジークは一瞬はっとした表情をしたが、よう、と軽く手を上げてぎこちない微笑を見せた。


 まともに兄の顔を見るのはいつ振りだろう。仕事が多忙なのか、若干やつれた印象を受ける。

「ご飯ちゃんと食べてるの?」

「ああ、寮の飯は悪くない。それよりお前――大丈夫か?」

 二の句を次ぎかねて無難な問いかけになってしまったが、アデルは兄の眼を見たまま答えた。

「大丈夫かどうかは私が聞きたいよ――お兄ちゃんは、私のこと、どこまで知ってるの?」

 何気なく出された問いに、ジークは一呼吸置いて答えた。

「多分、お前が知ってるよりもだ」

 時が来るまでは黙っていようと思ったが、ジークはある一つの覚悟を持って、自分の知り得る全てを、アデルに打ち明けた。


 MB因子のこと、アデルが残党に初めて対峙した日の映像のこと、そして、ルアから聞いた警察時代の祖母のこと。


 今までジークは「アデルのために」という言葉を言い訳にして、妹に事実を告げるのをためらっていた。しかし、妹の覚醒を目の当たりにして、もうこれは隠しておくべきではないと悟ったのだ。

 とは言うものの、端から見れば輝夜での安定した職業と、己の保身のためにアデルを危険な目にあわせたと非難されても仕方がない。これを聞いた彼女が、この街を出て行くと言ったとしても、自分には止める資格はない、むしろ、そうして欲しいくらいだと思っていた。


 残党との戦いの中で覚醒するアデルを見て確信した。

 この街にいたら、彼女はいつか「人ではない者」として死ぬことになる。だったら、人としての普通の幸せを掴んでほしいと思うのが、家族としてしてやれることではないか。


 しかし、話し終わったジークがアデルを見ると、彼女はいたずらっぽい笑みを浮かべて、兄を見返していた。幼いとき、兄に隠れて些細な悪さをしたときの「お兄ちゃんには内緒」というときの笑みだ。


「な、何だよその顔。オレ、おかしいこと言ったか?」

「凄く重大な秘密みたいに言うからつい……」

 一大決心をして告白をしたのに、拍子抜けするような妹の反応に、ジークは呆気に取られた。

「充分に重大な秘密だっただろ……まさか知ってたのか?」


「何も知らないわよ。残党相手にはしたなく戦ったのをばっちり撮影されてたなんて知ってたら……それこそ恥ずかしくて死んでる」

 でも、とアデルは続けた。

「私は、どっちかっていうと嬉しいよ。家族の中でおばあちゃんだけがMB因子を持ってて、お父さんもお母さんも私達もその仲間じゃないってことが凄く寂しいと思ってたから。おばあちゃんも知ってたんでしょう?」

「あぁ……そうか、そういうことか」

「どしたの?」



 ジークは、残党と初めて対峙したとき、アデルが入院した病院で祖母と交わした会話を思い出した。


『大丈夫、じき戻ってくるよ。ほんのちょっとくたびれただけだと思う』

『外傷はないと医者にも言われたけど……意識は戻るのかどうか……くそっ』

 無念さに震えるジークの肩に。祖母がぽんと手を置いた。

『信じて。私には分かる。アデルは必ず戻ってくる。その後はみんなでしっかり支えてあげるんだよ』


 その時は、こん睡状態に陥った妹のことばかりで、言葉の真意を考えようともしなかったが、今ならあの時の祖母が何を伝えたかったのかはっきりと分かった。


「ばあちゃんは、もっと前からお前が混血だって気づいてたんだ。だから、覚醒の後、失った意識が戻る事も知っていたし、俺と母さんにお前を支えるように言ったんだ」

「でも、お兄ちゃんとお母さんのふたりを『みんな』なんて言う?おばあちゃんは確かにそういったの?」

「あぁ、その時は聞き流してたが――確かに変だな。お前、心当たりあるのか?」

「ここの屋上で私を助けてくれた女の人、きっとおばあちゃんの友達だわ。私のことを『ハイジにそっくり』って言ってた。あと――」


 あの時はとにかく無我夢中だったのと、残党を目の前にした恐怖やアデルの覚醒に対する動揺で、助けに来た女性のことがすっかり頭からぬけていた。言われてみれば、そんなことを言っていたような気がしないでもない。


「あと、なんだ?」

「ん――ううん、なんでもない」

 以前聞いた、あの言葉が耳に甦った。


――ハイブリッドかと思ったが、ただの人間か――


 しかし、曖昧な記憶を口にするまでもないと、アデルは黙り込んだ。



 会話が途切れ、気まずい空気が流れたジークとアデルの前に、ルアがばさりと何かの紙束を置いた。じゃまするよ、とテーブルを挟んだ向かいに腰掛けると、ジークをじろりと睨んだ。

「ジークは隠密行動にはむいていそうだが、報告はさっぱりだな。肝心なことを言い忘れている」

 そこに印刷されていたものはアデルのフィジカルデータだった。ルアは紙をとんとんと指で叩くと、二人を交互に見て言った。

「筋力、持久力、瞬発力、あらゆる身体機能全てに於いて常人以下も甚だしい」

「これは……酷いですね。どうりで昔から運動が苦手なわけだ」

「た、体脂肪率まで載せなくてもいいじゃないですか!」

「茶化すな。こんな状態で覚醒なんかしたら死んでもおかしくないといってるんだ。今回だって止めてもらわなかったらどうなっていたか」


 死という言葉を耳にし、アデルは一瞬躊躇したようだったが、ルアに一番聞きたかったことを問うた。

「でも、限界ギリギリで闘う事は出来るのでしょう?死なないように、自分をセーブして」

「仮にセーブできたとしてだ。1分足らず怪力が出たって実戦では使えないんだよ。そのたんびにいちいち倒れるんじゃなおのことだ」


 ルアのもっともな言い分に、2人は口をつぐむしかなかった。

「ま、戦うのは諦めて、残党もひとつ倒したんだし、しばらくは平穏を楽しんだほうがいいよ。仕事も休んでね。そうそう、休みの日に一緒に過ごす恋人はいるのかい?いないならあたしが紹介してやってもいいよ」

 突拍子のない話題に、アデルはぽかんとし、ジークは焦りを隠さずに反論した。

「なんで紹介の話になるんですか!ちゃんとやってくださいよ!」

 ジークの発言に、ルアは苦々しい顔をした。これではまるで――。

「あの……ふたりは一体、どういう関係?私のことで、何をしようとしてるの?」

 ルアはやれやれと言った感じで首を振った。

「本当に、ジークは警官に向いてないねえ。アデルに恋人がいるかさりげなく聞く作戦だったろう?すぐに顔に出るのはダメって言ったよね?」

「――すみません、つい。でもルアさんも全然さりげなくなかったですよ」

「取調べなら自信があるんだけどねぇ。こういうのは苦手だよ」

 全く事態が飲み込めていないアデルに、ルアとジークは手の内を晒すしかなかった。

 

 その内容はこうだ。

 残党相手に覚醒を見せたアデルに、警察は目をつけた。かつて輝夜で起きたある大戦の筆頭に立って戦ったアーデルハイトの孫に、彼女と同じ魔族のMB因子と覚醒が見られたためだ。

「たったそれだけのことで?この街じゃ混血なんて珍しくもなんともないじゃない」

「問題は覚醒するか否かだ。それだけ、覚醒する個体は貴重なんだよ」

「個体?」それが自らを指した言い方だと気づいたアデルは眉をひそめた。


 不快感を露にしたアデルのことは意にも介さず、ルアは説明を続けた。

 「覚醒」または「メタモルフォシス」などと呼ばれている現象は、人間と異種族の混血のみに稀に見られるものである。何かをきっかけとして、人の姿を保ったまま異種族の能力が表出し、その純血種をも凌駕する力を発揮するのだという。

 しかしその力は脆弱な人の身体に想像を絶する負担をかけ、ただ一度の覚醒で命を落とすケースも少なくはない。

 それを聞いて、アデルは最初の覚醒の後に自らを襲った全身の激痛を思い出し、自分の腕をさすった。


「怖がらせたね、すまない。だけどね、覚醒の最大の問題点は、その時発揮される力が未知数だということなんだ。ハイジの覚醒は、あたしが知ってるのはたった一度、あの大戦の時なんだが――」

 ルアは一瞬躊躇してから、アデルとジークに伝えた。

「覚醒したハイジなら、今日くらいの残党なら1人で軽く殺したろう。だからだよ。警察は期待してるんだ、アデルの力に。アデルの覚醒を利用したら、この残党との戦いを終わりにできると思ってるんだ」


 アデルは信じがたい事実を聞かされ、ジークのほうを向き直った。きつく目を閉じて、辛そうにうつむく兄を見て、決して冗談などではないと悟った。


「でも私なんて、戦いかたも知らない、こんなニブい私に、そんな」

 しどろもどろになるアデルに、ルアは敢えて感情を出さずに言った。

「だから警察の目論見としては、君に子供を産ませておきたいんだよ。なるべく強い、魔族や獣人との間にね。定期的に受けている健康診断で、生理周期と排卵日がきっちり記録されているの、知ってたかい?」

 バンという激しい音がして、テーブルの上の書類が飛んだ。

「そんな話は聞いてません!何ですかそれは!まるで動物扱いだ!」

「ほら言ったら怒るだろう、君の方が」

 激昂したのはアデルではなくジークのほうだった。赤面したくなる事実を聞かされて言葉もでなかったアデルは、兄が怒ってくれたことで逆に冷静になれた。

「落ち着いて、お兄ちゃん。ルアさん、それで私、分かってしまいました」

 一呼吸置いて、アデルは言葉を継いだ。ただしその声は震えていた。

「私は――長くは生きられないんですね?だから『生きているうちに』子供を作らせたい。おばあちゃんから私に受け継がれた、覚醒という力を持つ子供が欲しい」

「あぁ、非情だがそういうことだ。ジークにすら話してなくてすまなかった。これはあたしのごく個人的な感情からだ。ふるい友人の身内に、こんなことをビジネスライクに伝えることはできなくてね」


 ルアを見ると、顔色こそ変わらないが、ペンを弄ぶようにせわしなくしているのが彼女の動揺の表れだろうと、ジークもアデルも気づいた。そもそもルアを責めるようなことではないのだ。それよりも彼らが知りたかったのは……。

「祖母は、健康そのもので100歳過ぎまで生きたじゃないですか。祖母の血を引くアデルも同じではないんですか?」

「ハイジは特別だ。記録が残っていないが、ハイジの父親は純血種の魔族だったらしい。彼女は60になっても、まだ20代のような容貌をしていた。そして身体能力も通常でかなり高かったから、あたしはあまり参考になるとは思っていない」

「では、他の――この世界のどこかにいる、私のような混血の人間で参考になる人は」

「いない」

「えっ?」

「いないんだよ。確認されている限り、覚醒する個体で成人を迎えている者は、アデル、君だけだ。他はみんな――若くして死んでいる。覚醒が原因でね」

 

 ショックのあまり、ジークもアデルも口を開けないでいた。どちらかというと、ルアの口から語られる事実の異常さに、脳が考えることを拒否しているといった感じだ。

 悪いタイミングで、1人の警官がジークを呼びに来た。事情聴取の手伝いをしろということらしい。ジークは「また連絡する」と言っただけで、ルアとアデルを残していってしまった。


「あたしもそろそろ戻って、現場の指揮を取らないと」

「はい……あの、ルアさん、私、どうしたら」

 ルアはテーブルの下に散った資料をまとめる手を止めなかった。

「まず、覚醒しないこと。激しい感情の中に自分を置いてはいけない。あと、もう健康診断にはこなくていい。そうそう、聞き忘れていた。今、恋人はいる?」

 アデルはかすかに笑って、首を振った。

「ふむ――ボーイフレンドくらいは作ったほうがいい。警察がヘタに縁談を持ち込まないために」

「分かりました……色々とありがとうございます、兄の事も、よろしくお願いします」

 資料を胸に抱え、立ち去り際ルアはアデルを見て微笑んだ。いつもの飄々(ひょうひょう)とした、とらえどころのない彼女ではなく、アデルはどきりとした。


「すまなかったね、君を何度も『個体』なんて言って。ハイジもね、あたしにそう言われるとぷりぷり怒ったんだ。それが今の君とそっくりで、つい懐かしくなってしまったんだよ」

「今度、聞かせてください。祖母の話、私の知らないことも」

 はっきりとは答えずに、ルアは片手を上げて仕事に戻っていった。


 1人取り残されたアデルは、深く息をついて背もたれに寄りかかった。今日一日で人生が一変したように思う。この身体に宿る魔族の血のこと、覚醒のこと、そして自分の短い生のこと――。

 どれもが現実とかけ離れすぎて、頭が混乱するだけでなにも具体的な考えがまとまらない。

 すっかり氷の溶けきってしまった薄いオレンジジュースを口にして、ディアボロの店内のざわめきにを委ね、アデルはこのまま眠ってしまいたいと思った。目が覚めたら、今日のことが全部夢になっているという、淡い期待を抱いて。



<オレが望むこと>


 ディアボロの前には警察車両が何台か停まり、臨時の聴取室とされた。ジークはそのうちのひとつをあてがわれ、主に酒場に避難していた住人の聴取を命じられた。

 同僚に無線で準備が整った旨を伝え、住人が来るのを待つ。程なくして誰かがやってきたようだ。しかしいやに騒がしい、何事だ。


 ミラー状になった窓から外を覗く。VB因子保持者である「 Mr.unknownV-1(正体不明のヴァンパイア1号)」が誘導の同僚を押しのけて、車内に入ってくるのが見えた。

 慌てて追いかける同僚が言い訳をする。

「ジークさん、すみません。この人、どうしてもここでって……」

「構いませんよ。データだけ転送しておいてください」


 男は、飄々とした態度で、進められてもいないのに腰掛けた。

「話が分かるな」

「こういう時は何事も臨機応変ですから……お久しぶりですね」

 男は眉を上げて、感心するような目つきでジークを見た。

「ふん、数年前、たった少し話をしただけの旅人をよく覚えているな」

「あなたこそ。自分を覚えていたからこそ聴取を受けたいと思ったのでしょう」

 それとも、自分から聞きたいことでしょうかね……とジークは転送されてきたデータを確認しながら独り言のように言った。



 データに目を走らせたジークは、奇異な偶然の一致に思わず笑みをこぼした。それを見た男が、何がおかしいんだと問う。

「お名前は、エースさんと仰るのですね。この輝夜を初めて訪れたという、ヴァンパイア1号さんに相応しい、と思いましてね」

「何だその『1号』ってのは」

「ここは多種族共生特区ですから、種族別に番号を割り当てて住人や来訪者のデータ管理をするんです」


 因みに、自分は「Siegfried-H-110105(ジークフリート・Human・110105号)」です。番号は

イイオトコって語呂合わせできるんで覚えやすくて助かってます――と微笑んだ。


 別に覚えたくもない、とエースは首を振った。

「あんたのその態度……調子が狂うんだ。警察ならもっと高飛車に聴取してくれないと困る」

「自分は甘い、とよく言われます。この街を古くから知る人からは、そこが祖父によく似ているとも」

 カマをかけたジークに、エースは鋭く反応した。

「あんたのお祖父さんもここの警官だったのか」

「以前、何処かで会ったと仰いましたね。それはあなたのDNAを採取した、自分の祖父のことですよ」


 エースは心の中で舌打ちをした。時政やゾロがそうであったように、自分がvampであることがすでにかなりの者に知れてしまっているのは予定外だった。隠しおおせるとは思わなかったが、自分で公表する前に噂として広まるのは具合が悪い。

 特に、警察官であるこの男に隠し事は無用だと判断したエースは、なおはっきりと肯定はしなかったものの、ジークの話に頷いた。

「そして数年前のあの日、あなたが残党から救った女性は、私の妹なんです。妹は当時の記憶がないようですので、本人に代わってお礼を申し上げます」

「俺があんたから聞きたかったのは、それだ。さっき、あんたとアデルが話していたときに、お兄ちゃんといったのが聞こえたんでな」

「今は、アデルの働いている店の用心棒のようなことをされてるとか」

 案の定、このジークという男は、俺がここに来た目的を概ね察しているようだ。

「時政に紹介されたんだ。――わざと近づいたわけじゃないぜ」

 

 ジークはそれには何も応えず、パソコンを操作した。何かの認証キーをいれ、プリントアウトされたものをエースの前に置いた。


「祖父が遺した、VB因子に関する考察です。ごく個人的なものですので、自分はこれを外に出すつもりはありません。どうぞご一読を」


 エースはそれにさっと目を通し、感嘆の声を上げた。

「大したもんだな……未だに十字架で対抗してこようとするロンドンの愚鈍な警察より、余程正確なデータをお持ちだ。これはお祖父さんが一人で?」

「最後まで読めば、それが分かりますよ」


 データの最後には、こう記してあった。



 私がこうも、あのヴァンパイアに執着するのは、ある種の嫉妬によるものかもしれない。あの抗争の時、私は戦況よりも何よりも、時折ハイジを見つめる、あの男が気になって仕方なかった。正直、抗争の制圧なんてどうでもよかったくらいだ。(そのお陰で魔族にやられそうになったY氏には本当に申し訳ないと今でも思っている)

 抗争の終わりを待ってあの男に接近し、私は更に腹を立てることになる。私の愛する妻に、無粋な視線を投げかけた身でありながら、あの男、我が妻を女とすら思っていなかったというではないか!しかも言うに事欠いて「幼い」とまで!

 ハイジのどこが幼いんだ!目腐ってんじゃないのか?ヴァンパイアの雌はみんな年増なんだろ!ニンニク食って死ね!バーカ!

 因みに、愛しのハイジが私の子を身ごもった。したがって、もうあんな血吸い一族のチャラ男のことを心配する必要はない。調査はこれまでとする。


 ざまあみろだ。



 全てを読み終わり、呆気に取られた風のエースを見て、ジークは肩を震わせて笑った。

「どうです?さすがにこれは外には出せないでしょう」

「……俺は数十年越しで『バカ』といわれたのは初めてだ」

「祖父だって、孫の代になってから見つかるとは思ってなかったでしょうね。自分が見ても照れくさいですよ」

「その部分がなければ、俺は今あんたを殺して、データの完全抹消を図ったところだ。そのくらいの価値はある」

「怖いですね。ですが、これはどこにも出すつもりはありません」

「ああ、頼むよ」

「ただし、です」



 ジークは、プリントアウトした紙の中ほどに、赤いマーカーを引いた。そして、オレから条件を出させてもらいます。いち警官としてではなく、アデルの家族として……と続けた。


 その部分の記述はこうだ。



 VB因子が、他の因子と大きく違うのは、その因子に感染の要素を含む点だ。

 魔族の因子「DemonBlood(DB)」は、変化(もしくは変身)後の容姿の著しい変化、身体能力の向上、特殊能力の発現がある。通常時は人間に酷似した容姿を持つものもいるが、大抵はどこかに魔族の特徴を大きく残している。

 獣人の因子「LycanBlood(LB)」は、獣に似た容姿を維持し、通常時においても身体能力が高く、生命力が強い。居住環境によって、獣、鳥、魚、竜などの容姿をし、長い年月にわたって人間と近しい共生をしてきた種もある。


 しかし、吸血鬼の因子「VampireBlood(VB)」保持者は、身体的な変化はほとんど見られない。通常時の身体能力は人をはるかにしのぐが、魔族や獣人のそれに劣る。容姿も人間と見分けがつかないため、人間社会に紛れて暮らしていても気づかれない。


 そんな吸血鬼であるが、彼らの因子の最大の脅威は、吸血行為によって同族を増やせることだ。

 魔族と獣人は、繁殖によってしか増えることができない。そもそもの寿命が長いため、世代交代も頻繁ではなく「殖える」という点においては非常に効率の悪い種だ。


 VB因子の感染例については、サンプルがあまりに少なく、残念ながら未調査のままだ。しかし、噂の域は出ないが、感染した者はVB因子保持者同様、不老不死、身体能力の向上が見られるという話もある。



 エースが目を通したことが分かると、ジークは言った。

「これは全て本当ですか?」

 エースは頷いて、おおかた合ってる、と答えた。

「おおかたとは?どこが違うのですか?」

「おい、これはなんの聴取なんだ?」

 苦笑いですごんで見せたエースにも怯まず、ジークは淡々と答えた。

「多種族共生特区の警察官としての当然の義務です。非常に稀有な種族、ヴァンパイアを目の前にして、その詳細を知らないのでは都合が悪い。それとも、先ほどのデーターを警察に公表」

「――わかったよ。優しい顔して、油断ならないな。じいさんそっくりだ」


 エースはしぶしぶといった感じで話し始めた。


「まず、いくらヴァンパイアが吸血行為で増えるといっても、その能力を持つのは一握りの純血種のみに限られている。vamp化した人間にはその能力はない。そして、純血種といえど吸血をしただけで相手をvamp化できるわけではなく、ある特別な手順が必要だ」

「その手順とは?」

「悪いがそれは答えられない。俺たちの掟なんだ」

「ですが」

「多種族共生特区には、異種族の生活習慣や思想を侵してはならないという条例があったよな。あんたにとって俺は異種族だ。だから秘匿の権利を主張させてもらう」

「失礼しました――エースさんも思いのほか手ごわいですね。随分とここについて調べていらっしゃる」


 挑発には乗らず、エースは説明を続けた。

「その資料には書いてないが、俺たちの力でvamp化できるのは純粋な人間か、人間と他種族の混血に限られている。他種族の血は薄いほうが都合がいい。濃すぎると、拒否反応で命を落とす。あとな」

「はい?」

「その前に聞いておきたい。俺は、アデルが混血ハイブリッドだということは、数年前のあの事件の時に確信した。本人はいつから自覚があったんだ?」

「事実を教えたのは、実はついさっきなのです。本人のためにも、覚醒が起きなければ隠しておくつもりでしたが、今日の残党との戦いの中で、アデルはオレの目の前で覚醒を――」


 ジークは、覚醒したアデルが蜘蛛型の残党の足を一本引きちぎったことと、先ほどのルアを交えたやり取りをエースにすべて話した。

 蜘蛛の一本欠けた脚を思い出し、エースはそれがアデルによって成されたものだと知って空恐ろしさを感じた。残党の出現を知って、何かに取り付かれたように外に出ようとしたところをみると、残党というものに並々ならぬ憎悪の念があるのだと悟った。


「なるほどな。事態は一刻を争うってわけか」

「どういう意味でしょう」

「もうトボけるのはやめようぜ、お互いにな」

 エースは煙草を咥え、ジークが止める前に火をつけて旨そうにふかした。ジークも諦めたのか、特に何も言わずにエースの言葉を待った。

「アデルをこっちに寄越せ。俺ならアイツを死なせない」


 ジークはえもいわれぬ表情を浮かべて、机の上で拳を握り締めた。

「――正直に言います。オレは今こうしてエースさんと話しながらずっと葛藤しています。何度頭を下げようと思ったか知れません。どうか、妹をvampにしてくれ、生かしてやってくれ、と」

 エースは黙って口から煙を吐いた。

「だって、アデルは死ぬんですよ。覚醒という、いつぜるか分からない爆弾を抱えて。今日は無事だったけど、明日かもしれない。もしかしたら今この瞬間にも……そんな風に考えたらたまんないじゃないですか」

「だけど、頼まないんだな」

「理解できないでしょうが、愚かだと思うでしょうが、オレはアデルを人として死なせてやりたい」

「ああ、全く分からないね。俺の仲間になれば永遠といっていい生が手に入るんだ。人として死ぬ?そんなプライドに価値はない」

「価値なんて考えないですよ。オレが人間だからです。妹を魔の者として死なせたくない……ただそんな我侭です」


 我ながら呆れた理屈だとジークは思ったが、意外なことにエースはあっさり引き下がった。

「ま、無理強いはしないさ。ただ、アデル本人が望めば、こっちに断る道理はないということは分かってくれよ」

 無念そうに頷き、そのまま項垂うなだれてしまったジークに、エースは言った。

「そうそう、さっき言いかけたことだけどな。じいさんが作ったというあの資料に書いていないことがあとひとつだけある。『vampは吸血行為によって同族を増やす』の後だ。『しかし、繁殖によって増えることはできない』と付け足しておいてくれ」

 はっとしたようにジークは顔を上げた。

「vampの女は不妊なんだ。人からvamp化したらもう子供は産めない。知らないまま仲間にしちまったらフェアじゃないからな、一応伝えておく」


 もう行くぜと一言残して、エースは車を出て行った。

 ジークは呆然としたまま彼を見送り、先ほどの資料を丸めてポケットにねじ込むと、手元のPCにエースの情報と「異常なし・聴取には協力的」と打ち込んで送信した。





<Destination>


 飲みかけのジョッキを手に、時政は酒場のカウンターに戻り、店の隅で住人に何くれと世話を焼く妻のイサナの注意がこちらにむいていないことを確認した。


 そして、そこに控える魔族たちを一瞥すると小さな声で言った。

「あっちで一人で飲んでるエースって男に気ぃつけとけ。ヤツはvampだ。今はどうって事はないが、あいつらはあっという間に殖えるからよ」


 にこにこしながらチョコレートドリンクを飲んでいた女が答えた。

「あい、兄貴。なんならウチの使い魔でも飛ばしとく?」

 戦闘を終えたばかりの、大剣を持つ男は

「面倒なことになる前に、自分に殺らせてくださいッスよ、ボス」

 と、焦れたように言った。先ほどの死闘でもまだ物足りないらしい。カウンター周りにいた、他の魔族も同様の表情を見せている。


 時政は、穏やかに仲間をいなしたが、目は鋭いままだ。

「好戦的なのは結構だが……俺らの目的を忘れちゃ困る」 

 女がチョコレートドリンクに、生クリームを入れながら頷く。

「そっかぁ。vampに喧嘩してもらえたら、ウチらが甘ぁい思いできるもんね。さすが兄貴」

 ストローでずずっと音を立てた女を見て、血の気の多い男はうげっというような顔をしたあと、あんな獲物見せられたら自分が抗争の根源になりかねないという事をこぼした。


 女が口の周りについたクリームを、長い舌でぺろりと舐めて笑った。

「わかってないなぁ、殺しちゃったらそれっきりじゃない」

 時政が、食いしん坊のお前はよく分かってるな、と満足げに言った。


 そう、彼ら魔族の生きる糧は、憎悪や悪意なのだ。この輝夜で他種族と共存していくために、彼らは負のエネルギーを常に生み出してきた。人々のいさかい、種族間の小競り合い、残党による殺戮――そこから生まれるどす黒い感情が、彼らの生をつないでいる。

 しかし、彼ら自身は表立った敵対関係を築かない。意外なことに、抗争からもっとも離れたところにある種族だ。そしてそれを成しているのが、魔族の長である時政なのだ。同族の中でも圧倒的な力を持つ彼の命令に背ける者はいない。


「ボスが言うならおとなしくしてますけど、いつまでこんなしみったれた街に居るつもりですか。自分はもうちまちました抗争で腹を満たすなんて限界っすけどね」

 吐き捨てるように言って、魔族の男は席を立った。気まずい空気に、時政の顔色をうかがう者、男に同意するように苦い顔をする者など様々だが、時政の表情は変わらないままだ。その表情の真意を探りかねた魔族たちは、ひとり、またひとりと席を立ち、店を出て行った。


――限界か。なんとか誤魔化しながらきたが、そろそろかもしれん。なぁ、ハイジ。お前が生きていたらどうする?アデルが覚醒して、vampが輝夜に棲みついた。成り行きによっちゃぁ、残党も叩きのめせる。でもな――


 時政はイサナを目で探した。いつの間にか戻ってきたアデルやカヲリたちを巻き込んでなにやら楽しそうにしている。


――残党を全部ぶちのめしたら、俺ぁもうここには居られない。それがイヤだというのが理由だなんて、ちょっと許されねえよな――



【Deadlock Utopia 第二章二節 ~Destination~ End】


「Deadlock Utopia」本編二章二節のおまけに続きます。次話は漫画で掲載します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ