序章 Deadlock Utopiaの世界観【漫画付き】
Deadlock Utopia 序章
20世紀後半、人類はある選択をした。
この地球上に存在する人以外の他種族を受け入れ、共に生きることを決めたのだ。
既に魔族と獣人が定住している街を「多種族共生特区」と定め、人・魔族・獣人が同じ法の下で暮らす共存モデル街を形成した。
北米の「アルテミス(Artemis)」、ヨーロッパの「ペルセポネ(Persephone)」そしてアジアの「輝夜(Kaguya)」がその代表的なものとなった。
この物語の舞台は輝夜である。
太平洋に面した日本の港湾の街である輝夜は、かつては「荒海」と呼ばれていた。
漁業の盛んなアラミには、昔から得体の知れない怪物が現れて海や港を荒らすという事件が起きていた。
そういった事件を共に解決する中で、人が多種族を手を結んだのがきっかけとなって、アラミは多種族共生特区に認定されたのである。
海を荒らす怪物は神の如し力を持つ旅人によって倒され、アラミには平和が訪れた。
しかし、時を同じくして世界のあちこちで、どの種族にも属さない未知の生物が現れるようになった。
悪霊のような姿をしたもの、機械を組み込まれた有機生命体――世界は程なくしてその正体を知ることになるが、時すでに遅く、その者によってすでにいくつかの種族が絶滅させられていたのである。
かつて世界中にその勢力を伸ばした「Vampire」は、数年足らずでその数を劇的に減らした。永遠の命を持つとも言われている彼らに何が起きたのだろうか。
時は経ち、絶滅寸前のヴァンパイアの一族であるエンプーサの末裔エースは、消息を絶った仲間を探しに輝夜にやってきた。
そこで彼が見かけたのは、未知の生物を相手に生身で戦う女の姿だった。その頃、ある経緯から未知の生物は「残党」と称されていた。一体出現すれば軍の出動がかけられるほどの強さを持つ「残党」を、その女は素手で破壊した。
その姿を見て、エースはかつてここがアラミと呼ばれていた時代に出会った、ある1人の混血の女を思い出した――。
Deadlock Utopia 第一章 一節 ~Hybrid~へ続く
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