異能力バトル6
襲いかかったはずの一ノ瀬の群れを、舞北は悉く、討ち果たしたのだった。
「盾、ね。」
一ノ瀬は冷静にそれを言うが、自分の形をした物が、者どもが、粉微塵に飛散するそれを見て冷静というのは、冷徹と言い変えても遜色ない状況だ。
盾とは、本来一方向にのみ、その防御の有用性を認める兵装で在り、舞北の全面を覆っているそれが盾と認識されるのは、少し無理がある。言い変えるならバリアであるそれだが、舞北も一ノ瀬の言に訂正を入れないので、以降これを盾とする事になる。
「剣に、盾に、あとは松本に施したもの、恐らく回復でしょうね。」
舞北は答えない。
「私にやり直せというあなたは、私以上にチカラを持っている。私のチカラよりも量も、質も、上を行っている。変ね。変よね。チカラを継承しているあなたは、すでに魂使人を2人以上その手にかけている。そういう事でしょ? 私と同じように人を殺している。そうなのでしょ? それなのにあなたは私に、止めろという。矛盾している。それが矛盾ではないというのなら、あなたは私を騙そうとしていると言う事。あなたは私の命を狙っている。そういう事でしょう、舞北さん?」
「私は、私がこの能力を引き継いだ事は、否定しない。だけど一ノ瀬さんを騙そうだなんて、思ってない。私はこの能力を人を傷つける為に使いたくはない。助ける為に、守るために使いたい。だからお願い、もうこんな事止めよう。この戦いに意味なんてない。」
「そうね。どんな戦いにもきっと意味なんて無い。勝てない戦いになんて更に、ね。」
「だけど、私は既に人を殺してしまったのよ! 引き返せないの! その人が生き返ったとしても、その覚悟をした私が死んでしまう! 生き返って、許してくれると言った所で、私は私が許せない!」
言って一ノ瀬は突進する。
舞北は盾を収めると、先のツルギを纏う。
そして、一ノ瀬のナイフは舞北の脇腹に刺さる。
「どういう事?」
青ざめて少女は問う。
「これで、あなたは呪縛から解放される。」
言って、少女の鎖骨にツルギを押し当てる。慈愛に満ちたように受け取れる言葉と行動。
それから、舞北は力無く倒れた。
「騙したのね。」
少女の鎖骨にはツルギの痕なんてものは無かったが、しかし、その痛みはあった。
少女はナイフを引き抜くと、その感触を噛みしめて、ぶるぶると震える。
そして、再びナイフを振り上げ、転がる舞北を目掛けて振り下ろすのであった。




