異能力バトル55
「一週間だけ待っていろ。」
六腑はそう言うと姿を消した。
だが、二日目の夜になると屋敷に戻ってきて、こう言った。
「魂使人を使いたい。」
だから松本は投げやりに言って返した。
「俺に権利はない。」
そう、権利と言えば人権というものが、魂使人には無い。ただの災害、ただの動物。そう言う扱いなのだ。
「それが有るのだ。」と六腑は言う。
「かつての災害、私の引き起こした大震災にて、自ら人権をかなぐり捨てて、魂使人へと下った輩に変わり者がいるのだ。
そいつ等が君を慕っている。だからな、君の許可という物が必要なのだよ。」
言って六腑は笑った。
そうして、六腑の背中にいた二つの影がこちらを見た。
「初めまして、大将。私どもがその変わり者であります。」メガネの似合うクールガイだ。
「人であったときの名前は本間利口。魂使人へと代わり名前も新たに阿弥陀籤。傀儡師を自称し、人形芸を得意とします。」言うとクジは一礼した。
続けてもう1人が言う。
「大将に直に会うのはこれで2度目だって言うのに自己紹介って言うのはめんどくせえ。」赤毛の長身でいかにもおおざっぱな男。
「人であったときは段田弾。今は爆弾だ。」言うとダンはふんぞり返り睨み付けてきた。
なんだこいつ、と思うが先かクジがいう。
「失礼。こいつは知能遅れでなおかつ精神年齢も低い上に無知で無恥で有ります。なにとぞお許しを。」またしてもクジは一礼する。
「能力は名前の通り。無機物を爆発物に変える。と言うもの、わたくしの人形と合わせて使う事で移動式の爆弾に仕上げられます。」
「そう言うことだ。」言って六腑は貼り付けの笑みを凶悪に歪めた。
「いや、どういうことだ。」松本は困惑し、訪ねるとクジが言う。
「あなたには、権利が有る、という事ですよ。大将。」こいつも笑みを貼り付けにしている奴だが、六腑とは違いさわやかなそれだった。
「先にご紹介預かりました通り私どもは人権をかなぐり捨てた。人であることより一つの災害でありただの動物であることを望んだ。
そして、あなたがくれたこの能力を活用し私どもはヒーローになろうと固く心に誓ったのです。」
「ひー・・・ろー・・・?」いや、意味は知っている。だけど松本は、松本には理解できない。何を言われたのか意味が分からない様なのだ。
「そう、ヒーローです。正義の味方であり、悪の敵。自由を守り、世界を守り、人々を守る。例え誰にも理解されなくとも我々は戦い続ける。ヒーローになろうと、誓ったのですよ。」
「ヒーローには人権なんてねえからな。」と相槌と思われる言葉を吐くとダンは豪快に笑う。
「理解されないもの同士で手を組み、小が大を圧倒する。まさしくヒーローのそれで有ります。
しかし、ヒーローにも秩序は必要でして、許可をいただきたいのですよ。大将に。」
「許可もなにも、俺には、そんな。」松本がしょげると一ノ瀬が言う。
「好きにしろ、と言うの。」淡々とした一ノ瀬のセリフは、過去に、いや、つい最近、惨事を引き起こしたセリフだ。もう繰り返すわけには行かなかった。しかし。
「あなたは無自覚であるけれど、四百を超える災害を生み出した張本人。」そろそろ覚悟をしなさいな。
結果的には許可をした。許可はしたが条件も出した。
「死なず、殺さず、戻ってこい。」




