異能力バトル49
色即是空とは、何者なるか。
それを尋ねると、色即是虚無子は呆気にとらわれた。
「ま、まあ、お前は元を正せば陰陽師ではないのだからな。知らなくても無理はない。いや、知らないなんて事が有り得るのかと言えば、無いのだけれど、勉強不足なのだろう。見るからにぱっとせんからな。」
そんな事を言われるのは久しぶりだ。最近は奇跡と言われて調子に乗っていた節があるが、基本は大事だ。ナヨッとしていてパッとしない。が、松本武のアイデンティティ。そんな事を今更言われるとは思わなかったが、ショックと言う程ではない。ショックであるならもっと心は熱くなるだろう。しかし、今は空虚と言って過言ではない。そう、言い変えよう、冷静だ。だからショックなんかでは決してない。
兎も角。と区切り色即是虚無子は続ける。
「色即是空も又天才だ。反魂の令が術者本人でなければならないの対して、憑依は誰にでも使えるお手軽さが有った。それならばと、色即是空はこの両方のいい所を紡いだのだ。名を反魂霊憑依の術。この反魂霊憑依の術は術者本人でなければ憑依が出来ない上に好ましい憑依先となると術者本人の血族が好ましいというリスク、難しいさはあるが術の精度そのものに問題はない。ある程度の術者であればだれでも使えるというお手軽さを特徴としている。」
「術者本人に限られるなら反魂の令と大差ないように見受けられるが。」
「大差はない。当然だ。同じ系統の術だからな。しかし、反魂の令には欠陥があると言ったろう。それは術者本人の肉体もまた無事でなければならないと言う事だ。この国では人が死ねば主に火葬を執り行う。そんな事をされては肉体が無事とはいえないであろう。しかし、色即是空の反魂霊憑依の術であれば、火葬や葬式の後になってしまっても復活はできるという点だ。」
「出来るだけ、見ない様に、聞かない様にはしていたが、同じ血族の者に憑依するのなら、憑依されたものの魂や命はどうなる。」
「ふむ、なかなかに鋭いな、勿論犠牲となるよ。」
「犠牲というのを具体的に言うと。」
「鬼人憑依と同じようなものだと言っても分からぬな。」
「あれは、人では無かった。」
「左様、元になる魂は消えてしまう。そういう術だ。」
そこまで聞くと松本は頭を抱える。しばしの時を要してまた色即是虚無子を見やる。
「となると、あなたが色即是空本人か。」
「いかにも。我の意図を汲んでくれた事、嬉しく思うよ。」
「意図。」
「分かったのであろう。敵は、我ではない。という事。」
「敵が、他にいるという事か。」




