異能力バトル47
血みどろに伏した空知があり、これを見下ろす松本がある。加えて一ノ瀬に六腑。
「失血多量で絶命した場合は譲渡が成されるのかしら。」
一ノ瀬が問う。
「分からない、死なせないから。」
松本がそう言うと空知に手を添える。
「裏切者まで懐柔しようだなんて、正気とは思えないわ。」
「ここに来て正気を保とうなんて思わない。それに懐柔なんかじゃない。」
「罰だろ。生かす事でしか与えられない痛み。それは生殺与奪の権利があると思ってる愚か者が良く言い出す事だ。」
「生殺与奪って、松本、あなたは奇跡なんて持て囃されているけど、人間なのよ。人を殺す事も出来ないで、何が生殺与奪よ。与えられるのは生の部分だけじゃない。回復だけじゃない。それなのに。」
「言いたい事は分かる。けど目の前で誰かが死ぬのをほおっては置けない。舞北さんならこうしたと思うと言うのもあるけど、これは俺自身の意思だ。」
「なる程、君のそれは弱さから来るものだったか。」
目を覚ます裏切者。
「僕は、負けたのか。」
どこから夢でどこまでが夢なのか。そんな事を思ってみてもわかりはしない。
一ノ瀬瑠那との戦闘の何処か、触れられない様に距離を保っての戦闘だったはずの何処かなのかあるいはもっと前からなのか、いずれにしても僕は負けた。
最強と自負する者達の力をもってしても、僕は負けた。
そして、松本は一人の最強を手に入れた事になる。それは、松本の望みではないのかもしれない。それでも、松本は手に入れた、最強を。手にするだけで意味のあるカード。持っているだけで効果を発揮するモノ。それが最強と言うモノである事が、松本にもわかる。
最初は反対し、増産しようとも思わないが、確かに有益なカードであることを松本も認めざるを得ない。
何故ならば、最強を手にしているという事実が他者に伝わったその時から味方と呼べるものが増えたからである。
その中に敵対していた者もいる。




