異能力バトル46
「任務は。」と、一ノ瀬が問う。
「失敗した。」と、空知はお手軽に答えた。
これを聞くと一ノ瀬の目が変わる。鋭いまなこはまるで虎の様。
「すごい殺気だ。目だけで殺されそうだよ。」レディの所業とは思えない。と、空知はへらへら返す。
「仲間は。」と問うと、「部下なら。」にへらと笑う。
一ノ瀬は激高した。しかし空知。
「大将のお気に入りが一人でこんな所まで、どういう了見だ。」
これに関してはいろいろと言いたいところが有るが、一ノ瀬は一言返す。
「逃がさない。」
「なる程、なる程、僕が逃げて姿を晦ます事を避ける為にわざわざと。余計な手間を掛けさせたね。」
へらへらとした笑みがこびりついた顔にびいだまみたいな目玉が輝く。
生きとし生けるもの全てを嘲笑するかの如くに輝くそれは、とぐろを巻いた蛇が緩慢なままに、すばしっこいネズミを餌と認識しての輝きに似ている。
阿倍の屋敷を裏から回るとそこに六腑が待ち構えていた。盤石な状態で仁王立ちの六腑は言う。
「一ノ瀬ちゃんは。」
「殺した。」と、にやりとして見せる。
「では、何故ここへ。」大人の余裕を見せつけるように怒気を隠す六腑。
「逃げて姿を晦ます事も出来ただろうって事かな。」
「させないけどね。読みはその通りだよ。」
「そう言うと思ってここにいる。」
「ではこれは、挑戦かな。」
「虐殺だよ。一方的な、ね。」
へらへらした顔、上がる口角。表向きは道化の様でありながら、びいだまの様な無機質な目玉一つで様相は一変する。
そして、本丸。
「探したよ、松本くん。」
「サーチ系の能力を使ったという事だな。」
松本はそもそも隠れてなんていない。正面から入った最初の広間に居たのだ。
「六つも最強と言わしめる能力を持つと気分がいい。」
「それを、俺にもやれと。」
「言わない。今ここで十の能力にしておきたい、っていうことだったんだ。誤解させてすまないね。」
「悪いけど、舞北さんの能力は誰にも渡さない。」
「積り、だろ。」
「奪う、というなら相手になるけど、いいのか。」
「その上から目線が気に食わない。」
「飼い犬のクセに主人の手を噛もうっていうんだな。いいぜ、躾けてやろう。」




