異能力バトル40
話がひと段落すると店の出入り口が開いて外の光が差し込んだ。
眩しいとさえ思える夕焼け。
松本はこの日輪が没した時こそ生まれ変わろうと決意して、そこに居た皆の顔を見る。
「こちらを見ると言う事は、了解と言う事だな。」
六腑はにやけてこんな事を言う。聊か見下している様に見えるのが少し気になるが、松本は静かにうなずいた。
得てして六腑は味方になった。好き勝手使われる事を了解した松本は六腑に与する事を決めた。
六腑が真っ先にやる事、それは奇跡の用意だ。
奇跡の能力を持っているからと言っていつでも奇跡が起こせるものでは無いと六腑は語った。
奇跡とは希望、希望とは絶望を打ち砕くもの、では絶望が無ければ、希望通りに奇跡が起きていようとも人は気付いてはくれないというもの。だから六腑は絶望を用意すると言う。
勿論、奇跡の能力を持つ松本には簡単に乗り越えられる程度の絶望だ。だけど人々の絶望の認識は人それぞれだし、希望もまた人それぞれだ。だから、用心はしておいてくれ。
と、六腑は語るとその場を後にした。
いや、おいおい、待てよ。
その場に残された俺たちは何も出来ないじゃないか。
舞北言霊の所に帰ってもいいのか。
と、相談でも始めようとしたその時。屋台でもあばら家でもないしっかりした建築物であるところの占い用品の館がぐらぐらと揺れる。
揺れはかなり大きく、立っていられない程だ。
立っていられないからと言ってその場にうずくまるのも躊躇われる大きな地震だった。
松本目掛けて飛んで来る占い用品などは悉くを盾の能力で空中撃破することが出来る。だからと言って安心はできない。占いの道具はともかく、呪いの用品が多いから、いつどんな仕掛けが発動するか分からない。舞北一葉をそうした様に爆発する物もあるかもしれない。
などと悠長に考える暇が有るだけ松本は冷静だったのかも知れない。
何時しか揺れは治まり、二破が来る前に店を出ようと思う。
キャーキャーとうるさくしがみ付いていた一ノ瀬も今は大人しい。店を出るなら今しかなかった。
外に出ると、やはり第二破が来た。
建物が崩れる。占いお店も、周囲の喫茶店やアイス屋さん、洋服店に、何をやっているのか考えたくもない謎の事務所までも、みんなみんな等しく倒壊した。
そして、六腑が言う。
「はてさて、絶望と言ったらやっぱり大規模自然災害だよね。こんな絶望はどうやって乗り越えるのか、楽しみだね。」
いつからそこに居たと聞くまでも無い。最初に居たのだから、最初からそこに居たのだ。




