異能力バトル38
少し、疲れた。と言って茶を用意する六腑だが、いろいろと呑み込めない。勿論お茶は飲む。だけど、やっぱり聞きたい事は山積みだ。
だから、質問タイム。
「その前に。」と六腑は指をさして椅子に座るよう促した。
席に着くと茶菓子も出された。四人でテーブルを囲んで和気あいあいと言う事も無いのだけど、外から見たらその様に見えるだろうな、と松本は思う。
「質問その一。カラの意思を継いでほしいと言うのは、どういう意味か。」
「答えその一の前にまたしても説明だ。」と六腑は茶を啜る。
「手短に。」というと「急いでいるのか。」と返す六腑。
「長話はもうお腹いっぱいだ。」というと「善処しよう。」と六腑は答えてから、甘いシロップがびっしょりとしみ込んだフルーツケーキを頬張る。噛みしめるようにゆっくりとした咀嚼と溜飲、これが済むと説明が始まった。
「カラとは、陰陽集の長の事だと言うのは知っているね。だから何というか、政治的なもので動くことが多い。先の大戦の事で今のカラは誰かに席を譲らなくては、という状態だ。芦屋が勝手に仕掛けた事は分かっているがそれでも列記とした敗退だからな。これにつけ入り政治が動いた。だから君にカラになって貰おうとなったのだ。
そして、ここからが答えその一。
今のカラというのは穏健派だ。魂使人と喧嘩するのは出来るだけ止そう、という人だ。だからいっその事魂使人をカラにしてしまうのがいろいろと速い。そういう意味で適格者なのが君だった、いや正確には舞北一葉さんだね。彼女は人格的にも能力的にも勿論家柄も文句の付けようがない。
しかし、その思惑は外れた。原因は何にしろ、舞北一葉さんは亡き者とされてしまった。これで私達の思惑はご破算だった、その筈だった。が、奇しくも芦屋の者に救われる事となり、能力を譲渡された状態の君、松本武くんに行き当たった。おっと、今は舞北武君だったね。」
「いや、松本で、良い。しかし、それだと順序が逆じゃないか。先の大戦というのは、舞北一葉死後に起きた事の筈。」
「それは、質問その二だね。だったら答えその二、の前に説明だ。」
言うと今度はあんこたっぷりの饅頭を頬張る。先のフルーツケーキはもう食べ終わっているらしく皿の上にはフォークしかない。六腑は饅頭を味わって、飲み込んだ。
「陰陽師はそもそも星見なんかをやっていた事を知っているか。まあ、当時は稚拙な理論で納得させているだけの只の暦マニアだったが、今は少し制度が上がっていてね。少し先のざっくりとした未来なら大体わかる位の所まで来ている。要するに予知だよ。
そして、ここからが答えその二だ。
予知では、ざっくりとしているから邪魔が入る事は分からなかったし、助けられる事も分からない。だけど大戦が起きる事は分かった。其処からは憶測で動く事になる訳だが、カラの座が危ないと言う所までは分かった。と、いう所でどうだろうか。」
どうだろうか、という締め括りに少しの疑問がこみ上げる。事実は違うと言う意味か。と言っても、聞いたら何でも説明と答えが返って来ると言うのは少し出来過ぎている様にも思う。
じっとこっちを見ていたかと思うと、お次はシュークリームに手が伸びた。
ザクザクのシュー生地にアーモンド片がこれでもかという位にくっ付いて、三食のクリームが覗いたそれを、これ見よがしに食らいつく。




