異能力バトル37
六腑は語り出した。
「そもそも魂使人とは、我等陰陽集により作られたものだ。最初はその原理も分からない状態で放置されていたのだが、近年になってその状態が確認された。その状態とはつまり、正のエネルギーと負のエネルギーは互いに影響し合い、等価にして同等と言う原理だ。陰陽のシンボルとも言えるこの原理、名を一天二地球の原理という。
さて、ここで問題が発生だ。分かるか、分かるな。それは只の発見では無いか、という事。何らかに賞賛されるべきものかもしれないが、魂使人を作った、とまでは言えないのではないかという問題だ。名付け親が産みの親と言えるのかという問題。その問題こそが今在る問題と直結している。
つまり、魂使人の親離れ問題という奴だ。まあ魂使人の乱と表す者もいるがそれは違う。陰陽集が子離れ出来ないだけの事だからね。もっと研究したい、もっと知りたいというのは結局のところ自分の思い通りにしたいという欲求だ。だから我等陰陽集は魂使人の要求を比較的容易に受理するのだよ。
おっと、話が少しズレたかな。というか、聞かなくてもいい大人の事情という奴を少し教えてしまったようだな。まあ、質問があるなら後から聞くとして話を戻そう。
一天二地球の原理の話だが、分かりやすく言うと太りやすい人が居る半面痩せやすい、もしくは太らない人が居るという事だ。統計では太っているという事実を太りやすさで算出している。しかし、太りやすいという状況と太っているという結果はイコールではない。我等陰陽集はその辺をすっきりさせたくて独自の原理を当てはめた。それが一天二地球の原理、痩せているという結果と太っているという結果を痩せやすい、太りやすいという状況抜きには語れない。だから、結果は結果で状況は状況でそれぞれの仮説を当てはめた。それが正の存在と負の存在の証明になる。だから、最初の魂使人は太りやすい人と痩せやすい人の総称、みたいな物だった。
それが、段々と化け物染みた存在へと変わるのにもうひとステップ有る。だから寝ないでちゃんと聞いて欲しい。
そのステップというのが欲求だ。太っている人は痩せたい、痩せている人は太りたい、標準の人だって体形をキープしたいという、そういう欲求に答えるのが研究であるし、先も少し述べたように、研究とはつまり意のままに操りたいという欲。誰だってスタイルのいいお嫁さんのままでいたいだろ、でも現実は子供が生まれたのを切っ掛けに体形が変わってしまったりするものだ。歳をとっているから余計に太りやすかったりする。という納得させるだけに終始する理論なんかいらないから楽に体形を戻してくれという欲。そういう人達の為に陰陽集は頑張った。
結果、成功したのが魂使人という訳だ。
つまり、魂の訴えに使役される人が魂使人の語源なのだけれど、今の魂使人は自らの魂を使い願いを叶える人、みたいなものなのだろうね。ともかく、太りにくく痩せにくい状態を維持できるようにした状態が拮抗ならばどちらかに偏った状態が正の状態、負の状態となる。正の状態ならどこかに負の状態が転移する。これが本来の譲渡、今の譲渡とはかなり違うだろうが、これを最初に遣って退けたのが最初の魂使人だ。
そう、魂使人は放置されていた。
本人が良しとする状態、つまり拮抗の状態を維持する事が出来るようになったら次の欲求を認知する。認知した欲求も又己の物として譲渡するというのが続いて行った。結果、魂使人は化け物染みた者へと変質した。
ここまでの流れを整理してみると、まず魂使人は先に居て、それを発見したのが陰陽集、これを機に加速度的に能力の幅を増やしていった結果として現在の化け物染みた魂使人となった訳だ。だから魂使人を作ったと言っても過言ではない。」




