異能力バトル3
一ノ瀬は松本を抱いていう。
「いつ死ぬか、なんて分からないのは世の常だけど、人生なんて滑稽ね。生きている時よりもむしろ死んでしまってから評価と意味を付けられる。だけど一人で死んでしまうと誰も評価しない。かわいそうだと蔑むだけ、だから一人は嫌。誰かに見てほしい。認められたいし、人生に意味が欲しい。だから私は、子供が欲しいの。
絆が欲しいの。こうやって妄執する事にさえ意味なんて無いのだから、せめて仇花を添えてほしい。
少しでも、ほんの少しでも、私に価値が有るっていう証明が欲しいの。だから君でもいい。子供が欲しいのよ。私の、子供が欲しいのよ。」
そうして、ようやく発端のこの日へと遡る。
ピンポーンと、古びたベルの音がして、松本は疑う事も無くドアを開ける。
目の前にいたのは、それはそれは美しい青髪の少女だった。
名を一ノ瀬瑠那というそれは、大よそ女という物に触れた事すらないであろう松本にこういった。
「デートを、しましょ。」
春の夕暮れ時、まだ梅雨前線もかからない時期の夕暮れ時には、時たま冷たい風が吹く。
冷たい風を気にしてか、一ノ瀬は少々厚着をしている様に思える。思えるからと言って松本は何かを言う訳ではない。ファッションに関して言うなら妥当性を重視するだけしかわからない松本が何かを云える立場にはないからだ。
ただ、見えるようにスマホケースに仕舞われたサバイバルナイフの柄の様なものがやっぱり気になる。見えるようにそうしているだけならファッションというより護身用なのだろうけれど、デート、をする時にまで護身用が必要なのかが少し疑問符。
「男ってさ、」
「ホントバカよね。」
と、美女が言う。
バカなのは自覚しているのであえて言い返すなら「なんだよ、藪から棒に。」だった。
「普通デートって言ったらカフェとかファミレスとかでしょ。」
そんなお金に余裕がある訳ではない松本は近場の公園をチョイスしたのだった。
「屋根も壁も無い所で何やる気? 齢15にしてそこまでに変態性をこじらせてると今後ヤバいデスヨ?」
屋根も壁も在ったら何が出来るというのだ。と、松本は自分の目線より低い女子を見ると、そこには青い瞳がこちらを覗いている姿があった。
心臓の音が聞こえる気がした。気が狂いそうになる。だからと言って何がしたいのかまでは分からないのでとりあえずその感情を封印して、目を逸らす。
手を握られる。小さくて柔らかくてさらさらしていていい匂い。何がどうなっているのか分からなくなる。だから言ってやった。
「こういうの、普通にやるんだね。」
軽蔑するように言ってやった。しかし一ノ瀬はそうは受け取らなかったようでニヤついて、そうしてから言い返す。
「焼いてるんだ、カワイイ。でもね、君だからだよ?」
「それって、どういう意味。」
これまでに女性経験のない松本には、本当に意味が分からないのである。
「今夜は帰りたくない。っていう意味。」
そういうと一ノ瀬は腕に絡みつく。ぎゅっと無い胸と小さな頭を腕にこすりつけたのだ。
今夜は帰りたくない。という意味が分からない松本は、とりあえず公園のベンチに座りおしゃべりでもと気を使ったのだが、一ノ瀬は一方的に喋るので、相槌するしかない頷きマシーンと化している間に日が暮れていく。
松本の感覚では、日が暮れたから夜。なのだが、一ノ瀬はそうでは無いらい事にまで話が及ぶと急に話が変わる。




