異能力バトル23
面倒を見て貰うつもりが面倒を見る羽目になるのはままある事だが、敵に愛されていた事実を受け止めようもないままに日が暮れた。
話をするのが久しい相手だったように思うがその思考回路は独特で、先が読めない上に魅かれもしない。
松本は思う。
では何故、舞北一葉は死なねばならないのか。
一ノ瀬はその辺の事を全部空知の所為にしたかった様だが、一ノ瀬の協力無しに舞北一葉は死ななかったと思うのだ。そして、松本もやはり居なければ良かったのかもしれないと、思い至る。
なんだか結局は誰も舞北一葉を、舞北一葉の死を、受け止めようとはしていない気がしてきて、悲しくなった。しかし、涙なんてものは持ち合わせが無かったのか、一向に出やしない。
そんな松本に一ノ瀬は言う。
「あの子の為に泣くのはおよしなさいよ。あの子は泣いて貰いたくてあなたを生かしたのではないわ。」
真実そうであると思う。
「しかし大事な人だ。」
松本はぽつりと零す。
すると一ノ瀬はふふと笑う。
「あの子の代わりは私が勤める。ううん、あの子が私の代わりだったのだから、それはもういいじゃない。」
終わりにしましょ。と、付けて加える。
「舞北一葉の代わりか。そんなもの居るとしたら、俺だ。」
冗談では、無い。本気でそう思ったのだ。
「でも半魂使の状態のままでは、譲渡されたチカラは使えない。」
「だから、俺の目覚めの切っ掛けをくれるはお前だと、言霊は言っていた。」
「切っ掛けなんてものは、私には無かった。だからあなたにどんな切っ掛けを作り与えればいいのかなんて、分かりっこない。そういう意味では、ふふ、あの子の代わりだったのかもね。」
「舞北一葉なら的確なアドバイスをしてくれたと、そう思うのか。」
「そして、台無ししてしまう辺りまで想像できる。」
そう呟く一ノ瀬は、見せた事のない様な優しい顔をしていた。
それから暫くして、播磨蜜柑の声がする。
襖の奥からそっと息を吐くのだ。
「起きているか。緊急事態だ。起きていないならこの戸を開けるぞ。」
「起きている。」
間髪入れずに答えてから急ぎ部屋を出る。
「何事だ。」
「鬼が来た。」
「訳が分からん。」
「説明すると長くなる。」
と、播磨が指し示す先に言霊と晴天が庭に向かい誰かと話している。
誰かとは、即ち、空知晃であった。




