異能力バトル20
舞北言霊は言う。
「ならばこいつを貸してやる。」
その手にはプラスチックで出来た拳銃が握られていた。
軽くて使いやすいのが特徴と言えるが、松本はこれを使わなかった。
使ったのはたった一度。逃げる時にパンと一発鳴らしただけだ。
それも元、芦屋忍が、術と称して使ってやったので、それが拳銃の音だなどと疑るものはない。
それなので、そいつを返しにやって来て、言ってやった。
「奇跡の能力を持つ俺と折角交渉して手に入れた播磨蜜柑を護衛も無しに良く行かせたな。」
舞北言霊はほほと笑うと言い返す。
「攻撃をするのに守りを付けろとは滑稽な。」
「して、真意は聞かせていただけるのか。」
とは元、芦屋忍。現、播磨蜜柑の言葉だ。
「死地に赴きたる諸君等を眺めていたかった。」
「死地に追いやったのは限界を知る為、眺めるとは観測していたという事で守りが無かった訳ではないという事か。」
「という事は、これからがあるという事か。」
「生きている限り戦争だからな。」言って言霊はキセルの葉を捨てる。
「特に俺の様な半魂使は、か。」
「して、どうする。」
「とは。」煙を燻らせて、睨む。
「無論、今後の事だ。」目を細めて言うは播磨。
「俺と一緒になるだろ。」
「そうとも限らんよ。」
「まあ、どちらの言う事も一理あるが、やはりここは、一緒に居てもらうとしよう。」
「ほう、つまり私は少年のもとに下る訳か。」
「護衛に割く人数を減らしたい。というのが本音だろうが、俺が使っていいなら尚ありがたい。」
「子倅、主はまだ、半魂使の半熟半人前だろうて。」呆れてこれを言うは言霊。
「おっと、そうか。」
「という事は、認知とか出来るようになるまでは私は一人のんびりという訳かな。」
「いや、主にも課題がある。」
「半人前ではないだろう。」
「それは、陰陽師としてか。」
言霊が尋ねると播磨蜜柑は舌打ちして蠱毒でも見る様な顔をする。
「それはそうと、次からは、次を与えるな。」
言霊は松本にこれを言った。
松本はこれを聞くと一瞬訳が分からなかったが、思い至る。
「空知の事か。」
「殺せる時にきっちり殺せ。という事だろうな。」と播磨が補足する。
「ちと、違う。」
「分かってる。きっちり殺すというのは次があろうが無かろうがという問答無用に殺せという文面になるが、次を与えるな、では次の一手の為に和えて生かす事も在るという事だ。」
「左様、そして次は既に動いている。」
「だから俺も次の為に何かをしなくてはいけない。例えるならば、認知をして能力を使えるようになるとか、かな。」
「とか、と言ったか。」と播磨。
「それしか選択肢がない訳じゃない。」と松本。
「では、何をする。」
「俺は、俺のままで、半魂使の半熟半人前のままで、空知を始末する。」
「回りくどい事を言うなぁ。」
「次の為にはならぬやもしれぬな。」
「何とでも。只、今の俺は舞北一葉が残してくれた俺だ。おいそれと変える訳にもいかない。」
「舞北一葉の能力を使って報復するというのは、イケない事なのカシラ。」と聞いた事のある声がする。




