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異能力バトルもの  作者: 藤雅
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異能力バトル2


 ゴツ、という鈍重な衝撃が後頭部を襲う。

 松本は咄嗟に追撃を防ぐ構えを見せつつ背後を振り向く。

 すると眼前にそれは居た。

 青々とした長い髪は流れるようでそれ程高くはない背丈に白い肌。まるで細工品の様に整った顔にしっかりと血の行き渡って赤い唇。

 それは紛れもない一ノ瀬瑠那であった。

 一ノ瀬はまるでネイルでも眺めるように、うつらとした表情で己の拳を眺めていた。

 そのことから後頭部に衝突したものが何であるかはなんとなくわかる。分かるが、意味やら動機やらが一切合切抜け落ちて結果と状況だけが転がる不本意な事態。

 それでも松本は声を上げない。じとっと美女を見やるとまた机に突っ伏した。

「舞北さん、今日休みなの?」

 一ノ瀬がそういうと松本も答えざるを得ない。

「知らない。」

 何事も無かったような会話だが、人を殴りつけて置いて用があるのは隣の席の女子生徒だというのだから理不尽、不条理の塊と言える。松本は机に突っ伏して無害そのものに成りすましていたというのに、これに暴力をふるって置きながら謝罪の一つもない。それがスキンシップの一環だというならあんまりだ。


 そして現在。

 馬乗りになった少女は眉間にしわを寄せ悔しそうに顔がゆがむ。だが、それを見せまいとして松本の胸に顔をうずめる。そして声を出して、泣いた。

 松本は、この事態に身動きが取れず、人形の様に時が経つのを待つことにした。

 暫くして、一頻り泣き終えた少女は口元を男の耳に近づけるとそれを云う。

「抱いて。」とそういった。そう聞こえた。

 しかし松本はそれをしようとはしない。微動だにしないのだ。

「大丈夫。変な病気とか、無いから。キスもしたことないもの。」

 そう云ってからまた笑うのまで分かったが、松本は「意味が、解りません。」と言葉だけで突っぱねた。

「そうね。意味が分からない、だけどいいの、私にはなんとなく分る。だってチカラが使えないのだから、だから、抱いて。」と、女は松本のうなじに白く細い指を絡ませる。

 とは言え、松本も女の抱き方なんかわからない。だから、何もしない。何もできなかった。だって、細い指は僅かに震えていた。


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