異能力バトル17
日曜日を終え、月曜日。
日曜日の次の日は昔から月曜日と決まっている。そして月曜日は、平日だ。
会社員は会社へ行き、公務員は公務を始める。そして、学生も学校へ行く日だ。
それは松本も例外ではないと、舞北言霊は言う。
も、とは、松本以外の誰かもまた平然と学校に姿を現すという事だと受け取り、松本は学校へ行った。
学校には例の如く人気者がいた。空知がいた。一ノ瀬も、いた。
空知は言う。
「何故僕が人気者なのかを、君は知りたくはないか?」
松本も答える。
「知りたかった気もするが、今は殺意しかない。」
「怖い事を言う様に成ったじゃないか、それでも学校は僕のホームだ。それでいいなら、掛かって来い。」
それこそ空知の言葉とは思えないものではあったが、それほどに強気で、それほどに追い詰められていると察した松本は、和えてこのケンカに乗ってやることにした。
「大よそ、自分が陰陽師だと嘯いたのだろう?」
元、芦屋忍は松本の傍らで吠えて見せる。
「将来陰陽師を目指すならば、仲よくしようとかそういう事を言って回ったのだろ!」
「だが、残念ながら坊やは陰陽師ではないし、仲よくしたってむしろ陰陽師から遠ざかる事になる!」
「何せ、陰陽師の総大将であるカラに嫌われたのだからな!」
この演説が付け焼刃と知っていても、それなりに効果があったらしい。
やはりカラの存在は偉大なのだ。
それでも場所を変えようとしないのは、数名は既に陰陽師として活動を共にした事も在るからだろう。
陰陽師の活動とは、魑魅魍魎を排する事。つまり、魂使人を退治する事だ。
陰陽師見習いとその手伝い集との、全面戦争が勃発する。
そんな折に、一ノ瀬は言う。
「陰陽師に興味なんて無くても協力する人がいる。」
「それは、つまり、魂使人がそれだけ嫌われている事の表れでしょう。」
「だって魂使人は、人殺し。」
これに松本は反応した。平静を装っていても、子倅なのだ。
「人殺しは、お前達だろうが!」
それは、己が魂使人である事を認める発言だ。
松本も気が付いたが、遅かった。
クラス中に殺気が満ちた。陰陽師の有無に関係なく、魂使人が敵で少数派だという事を、松本はもっと自覚しなくてはいけなかったのだ。
だから、逃げ出した。
窓から飛び降り、式神の背に乗って、学校から遠ざかる事になったのだ。
グランドの真ん中くらいに不時着するのが精いっぱいだった。
人気の職種を相手にしなくてはいけないとは、こういう事だと松本は遅まきながら理解した。
周囲全てが敵で、油断出来る事なんてない。
それでも松本は負けを認めない。
魂使人である事を諦めない。
例え、学校中の教師、生徒を鏖殺しようとも、あいつ達、空知晃と一ノ瀬瑠奈は殺さなくてはいけないと胸に誓った。
そうして、いよいよ戦争勃発だ。
一般の生徒の戦う気のある奴はトロトロと姿を現す。
睨みつけながら、松本に近づいて来る。
「どうするね、少年。」
元、芦屋忍は言う。「蹴散らすか?」
松本も答える。
「必要ない。が、式神の12、亥を使ってくれ。中央突破で一気に駆け抜ける。」
「本気か、君は半魂使だろう。それは自殺行為ではないのか。」
「向こうはそうは思わない。無茶をしたら無茶をした分だけ認知の可能性を疑る。」
「猜疑心を利用するのか。しかし舌先三寸と言ってな、行けても三寸だぞ。」
「意味が違うだろ。しかし、まあこうなると、三寸でも良いから早く空知を殺しておきたいのが本音だ。」
「寸は距離だ、速さじゃない。」
「四の五の言うな、俺は冷静だ。」
「では、行こう。12式・イノシシ!」




