異能力バトル16
ホウセンカという折り紙は最後に息を吹きこんで完成するものだが、空知の使ったそれは呪詛を吹き込んだものだと陰陽師は言った。
呪詛を吹き込む事は簡単な陰陽術ではない。況してや、高校生程の若さでいくら修練したところで身に付く事は恐らくないとも言った。
ならば、あのホウセンカという武器は2つしか持っていなかったという事だ。
2つ、つまり舞北一葉と松本武の分で、一ノ瀬瑠那は最初から敵だったという事を示す。
思えば味方だった時なんて一度もない奴だった。裏切りというより利用されていただけだった。
それでも、味方だと認識させられていた事は事実で、そうさせていた舞北一葉は、死んだ。
そして、新しく味方に付く陰陽師。
「申し遅れたね、少年。」
魂使人連合の相談役、舞北言霊を前に、ようやく陰陽師は名を語った。
「私は、芦屋忍という者だった。」
だった。それは過去形を指す言葉だ。
「私は、これからなんと呼ばれる冪だろうか。」
そう、女は言った。
所は変わり魂使人連合本部まで、逃げて来た松本はいろいろと話を聞いた。
まず、芦屋という陰陽師を引き抜くに当たって、陰陽師側も条件を出した。
それが舞北の奇跡であるところの舞北一葉である。これを亡くすというのは陰陽師側としても予想外の事であるという。
ならば何故、舞北一葉は死なねばならなかったのか。
偏に魂使人なんぞと手を組む必要はないという強硬派の存在だろう。と、舞北言霊は言う。
そして、カラの所為ではないと口々に言うのが、松本は気に食わなかった。
だから、言う。
「カラから守れと、あなたはそう言った筈だ。」
舞北言霊もこれには言葉を詰まらせて、それで言う。
「カラが来ていたら守れたか。」
返す言葉が無かった。きっと守れないと言っているようなものだった。御託を並べた所で結局松本は子倅でしかないのだ。子供でしかなく、半魂使で、半人前。そう自覚した。
舞北言霊は話を続ける。
舞北も元は阿倍という名を持っていた。
偶発的に生まれる魂使人をまとめるというのはそれだけの旗印が必要。と言う事で当時の魂使人の一集団が陰陽師側と取引で手に入れたのが、最早ネームバリューを失くした阿倍の分家であった。
そして、昔話を終えた言霊は言う。
「復讐を、したいか。」
それは、優しい声であった。
少なくとも今の松本にとっては甘言である。
「俺はきっと魂使人のにはなり切れない。だから、半人前の俺のまま、あいつを、空知を、ころす。」
だから、少しだけ力を貸してほしい。そこまで言うと、言霊はニタリと笑った。




