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異能力バトルもの  作者: 藤雅
14/58

異能力バトル14


 空知は、松本を恐れているという割には良くからかいに来るようになった。

 頭のいい奴とは仲良くして置く処世術のお陰かも知れないが、好感度は多少の変化を見せている。

 空知は、割といい奴かも知れない。無害ではないが、有害と言える程ではない。もしかしたらカラとも関係なく本当の本当にただの偶然の転校生なのかもしれない。いや、そうだといいなと松本は思い始めていた。

 そんな時節に、空知は云う。

「デートを、しよう。」

「ふざけるな。」

 これが殺意の波動か。と、感じ得た訳ではないが松本は即答した。

「冗談、ダブルデートだ。」

 空知は笑う。

「役者が足りんのだが。」

 松本に彼女なんて者はいない。したがってこの場合、空知と空知の彼女と松本のみの構成になる。

「僕は一ノ瀬瑠那を狙っている。だから君は舞北さんを誘えばいい。」

 次は一ノ瀬か、物好きめ。


 松本は言われた通り、土曜の夕暮れ時に近くの公園に足を向けた。

 そこは、松本が一度命を落とした公園だったが、それを理由に断る程バカではない。

 向かった先には美女が二人おしゃれな普段着を披露していた。

 まぶしい。

 それだけで来たかいはあったが、その後本当にどうしてくれようかと思う事も在る。

「いやあ、待たせてしまったね。ごめんごめん、実は昨夜は興奮のあまり眠れなくて。」

 午後の5時にその言い訳が通用すると思うな。

「ううん、私も今来たところ。」

 とベタな展開にベタについて行く一ノ瀬の姿があった。

 ドン引きだ。

 デートの予定も全てこの様にベタベタなのかと思うと眩暈がする。が、松本にデートの構成なんてものは考えられないので仕方は無い。

 そんな中のデートだから基本的にはファミレスのドリンクバーで時間を潰してから安い量販店の常温置きにされているペットボトルの飲料を無断で映画館に持ち込むという設定だ。

 空知の奴はもっと金の使い方が派手なのかと思ったが、そうでもなかったのが意外だ。

 もしかしたら、その後の事も考えて節約しているだけかもしれないが。


 場所は、公園。時計は12時を回っていた。

 大学生でもないのにこんな時間までコンビニ以外の理由で外に居るのは、命を拾ったあの時以外にはない。

「楽しい時間はあっという間だね。」

 空知の言葉だ。

 一ノ瀬への口説き文句かと思った。が、こちらを見ている。

 俺を口説いているのか。と、言おうとした矢先。

 ぐさり、と、音がした。

 今この時点で後ろに居るのは、舞北、と、いちのせ。

 やられた。腰に激痛が走る。立っていられない。立ってなんかいられる訳がない。

「うああああああああああ!」

「松本君!」

 すっ転ぶ松本を追って舞北が手を伸ばす。

 一ノ瀬に剣戟を見舞うと一ノ瀬はひらりと躱して、後退していく。

 返しの付いたナイフを、血で滑るナイフを引っこ抜き、何とか回復を、と手を伸ばす。

 青ざめる舞北、責任は自分にあるとでも言いたげな舞北のその顔が、血と脳漿とで。


 何が、起きたのか、分からない。

 そこに転がるのは、頭の無い。

 腰の痛みは、消えて。

「うあ。」

 瞼が熱い。

「あああああああ!」

 遠くで誰かが鳴いている声が聞こえた。

 それが自分の物だと気が付くのに、また時間が掛かった。

 それでも、それでも、ナイフを拾い上げ立ち上がると、混乱した頭を頼るのではなく本能のままに行動した。その場に居る男を、近くに居る奴を、攻撃した。

「ほらね。」と、声がする。

「冷静だったろ。」と、空知は言う。

 いつもの様に、いつもの如く、笑顔を張り付けて。

「1秒もかからないで反撃とは、恐れ入ったわ。」

 一ノ瀬の声もする。

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