異能力バトル13
空知は云う。
「僕の事をカラだと思っているんだろう?」
概ね正解だが2割ほど外れているので答える。
「カラって何?」
「君はカラを知らずに今を生きているのか。」
空知はほくそ笑む。なんでこんな奴が人気者なんだろうと疑問に思う位に嫌な笑い方をしている。
「そうだな、カラを、俺は知らない。何か問題でもあるのか?」
とは言えカラが人物を表す記号というのは概ね正解だったらしい。そして、予想通りに空知はカラに近い。
「カラは陰陽師の事だ。」
陰陽師とは、異界の力をこちらの世界で尤もらしく再現した集団だ。異界とは未来の事であったり、失われたはずの過去の遺産の事であったり、はたまた別の時間軸に有る現代であったり、様々だが、今ではない時、ここでは無い何処か。という点では示す先は同じなので異界の力という。
異界の力というのを、化学やら何やらで無理やり解釈したのが、陰陽術という訳だ。古語を現代語訳するように、外国語を翻訳するように、簡単ではない作業を簡単そうに再現して見せる陰陽師という職業は、人気の職種だ。
人気かどうかはどうでも良い情報だったかもしれないが、それだけに層は厚い。人数が多いというのにそれ等全てをカラと呼ぶ訳がないのでやはりその中の特別な地位に居る奴の事だろう。
「尤もらしい説明をわざわざどうもありがとうございました。」
松本がそう言うと、空知は笑顔を張り付けて言う。
「どういたしまして。困ったことが在ったらいつでも聞いてくれ。助けになるよ。」
ケッ、助けては欲しいが、お前にじゃない。と、言ってやろうと思ったが寸での所で舞北に助けられた。
「松本君の事、怖いの?」
舞北は空知にそう言ったのだ。
「何でそう思ったのかは知らないけれど、その通りだね。」
笑顔と、笑顔。とんでもない緊迫感がそこにはあった。
「認めるんだ。意外。」
「頭のいい奴とは仲良くして置くのが僕の処世術だからね。」
「だから私とは、仲良く出来ないのかな。」
「はは、助けてくれよ松本君。」
知るか、お前の撒いた種だろうが。と、言おうとした所にヒーロー見参だ。お優しい事で。
「女は少しくらいおバカな方が可愛いってもんでしょ。」
一ノ瀬の一言は一触即発どころではない完全なタブーな奴だった。しかしお友達補正だか何だか知らない目には見えない力のお陰で舞北は治まった。
「そうかもね。」
と、笑顔は一ノ瀬に向いた。
よかったよかった。助かったじゃないか、空知の方は。
「あら、心外ね、何故こちらを見るの。」
「瑠那ちゃんが話しかけたからでしょう。」
「話している人を見るのは、そうね、なる程、礼儀だわ。ただ、なぜかしら、とても馬鹿にされている気分なの。」
「ただのブーメラン発言だろ。なにをぎゃあぎゃあと。」
松本の声で、一ノ瀬の敵がまた一人増えたようだったが、気にしない。
なにせ、空知が傍観しているのが気に入らない。
「空知は、俺の何が怖い。」
話をする気なんて無かったが一ノ瀬の乱入で気が変わった。
「頭の良い所が、怖い、かな。」
「成績はそっちの方が上だろ。」
「学校の成績なんて関係ない。よく言うだろ、テストは3点、笑顔は満点。」
「言わない。」
「そういう返し、怖いじゃないか。」
明らかにはぐらかしに来た。つまり言ったら致命的と判断したんだと思う。




