異能力バトル12
空知レポートには追加の項目がいくつか有るので紹介しよう。
運動神経は抜群とまではいかないにしても一桁に入る位の実力。
身長はどちらかと言えば高身長。定かではない情報ではあるが、かなり実入りの良い家の出だという事まで分かっている。
「松本君をクラスチェンジさせたらいい具合に戦えるかもね。」と舞北は笑顔で尖った事を言う。
あまりに鋭利なので受け流すことも出来ず、援護射撃を背中に受けたような気分になる。
「俺は俺のままで戦うよ。」とか、意味の分からない事を言ってしまう辺りに松本の低俗さを見た。
「無理しないで!? 顔だけならいざ知らず運動能力も学力も、上なのよ!? しかも最上位ではない辺りに親近感をも持ち合わせたハイスペック相手に、勝てる訳がないじゃない!」
一ノ瀬は親身になって、そんな事を言う。それはまるっきり舞北の言い含めた部分でもあったので、松本を追い落とそうとでもしているかのような立ち居振る舞いだった。
「冗談はさて置き、二人が近寄らないのってやっぱり空知も魂使人っていう事なんだろ。」松本はそんな推理をひけらかす。が、二人の反応はというと。
「違うわ。」
「違うよ。」
と、一致団結した様に答える。
残念ながら答え合わせは出来ない。何せ松本は半魂使だから、相手の能力を認知出来ない。だから、今は二人を信じるしかなかった。が、代わりに感心はした。
「ふーん。って、何よ。」と、一ノ瀬は不満そうに聞くので、答える。
「両方を信じるか、どちらか片方を信じるかで迷ったけど、一緒だなって思ったから。」
それを聞いた一ノ瀬も、それこそ「ふーん。」と唸った。
「でも、油断は出来ないよね。」と舞北から笑顔が消えたのを見て、松本も聞かざるを得ない。
「クラスチェンジしても顔までは、ね。」と一ノ瀬も笑顔が消えるが気にしないで続ける。
「油断出来ないって、どういう事?」
「魂使人の敵は魂使人だけじゃないという事だよ。」と、やはり笑顔になる。
松本も魂使人、半魂使の状態なので、命のやり取りに巻き込まれたり、狙われたりはしばしばあるのだろう。しかし、魂使人以外にもそう言ったやり取りに参加する奴も居るという事。
つまり、普通の人。
普通の人も立派に魂使人の命を狙う。
実を言うと一昔前は、魂使人と普通の人との戦いはそこに在ったという。
しかも、意外な事に普通の人が魂使人の勢力を抑え込んでいたというのだから驚きだ。
どうして、そんな事が出来たのかというと、事は単純ではないのだけど、単純に言うなら数の違いだ。勿論普通の人の方が圧倒的に多い。数の優位は戦力の優位。いくら過ぎれた能力を持っていても休む暇なく行使する事は生物である限り難しい。そういう事なので魂使人は連合を作って今現在勢力を拮抗させている。
その為に、魂使人連合の長は変えの効く次男に据えた。次男の舞北晴天を据えた。
その為に、舞北一葉は奇跡の能力を持ちながら、チートキャラでありながら魂使人連合の保護から外された。それを良く思っていないとかそういう事は今は言いっこ無しにしても、カラを恐れる立場にある。と、松本は読む。
ならばカラとは、普通の人の軍隊の元締めみたいな人の事なのだろう。
そして、松本の日常にひょっこり顔を出したこのイケメン、空知はカラに近しい存在なのだろう。
今日も今日とて空知は人気者だ。誰彼構わず人懐こいあの女も巻き込まれてうれしそうに喋っている。
腹の探り合いなんて無い様に見えるので只の雑談猥談だろう。




