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異能力バトルもの  作者: 藤雅
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異能力バトル11


 言霊は笑う。盛大に笑う。わざとらしく笑う。演技だと分かるように笑う。

「そうだ。守れ。カラから守れ。」

 カラ、聞き覚えのない単語だったが一葉から笑みが消えていた事から重要な事だと分かる。その筈だったけれど、その事に気付いたのは後からだった。家に帰って寝る前の妄想タイムというか、ベッドの上で気付いたのだから仕方がない。

 そしてもう一つ。舞北一葉を守るという任務にいち早く気付いたのが一ノ瀬だったというのは、いまいち、釈然としないものがある。つまりは他の人よりも多く、一ノ瀬瑠那には手掛かりがあったに違いないのだ。

 だからと言って、それを聞いたところで多分、松本の知った事ではない。そして松本は探偵でもなければミステリー小説が好きという訳でも、勿論推理が好きという訳でも無いのだから、この事はきっと、分かった所で大した展開を生まないと判断するだろう。


 そうして、何も起こらない日と書いての平日。月曜日の事だった。

 転校生がやって来たのだ。残念ながら男子、イケメンと呼ばれる部類の人種だった。

 名前は空知晃。席までは覚えてない。しかし女子が空知に群がるので何処に居るかはすぐに分る。だが一ノ瀬ともう一人、舞北は近寄ろうとしなかったのが印象的な日だった。

 翌日も空知は人気者だ。転校生という物珍しさからというだけではない。話術が卓越しているというか、どんな話題にも対応して見せ、知識量を見せつけていた。

 博識とまで行かない辺りにわざとらしさを感じて近寄らなかったが、一ノ瀬も学校では割と普通の生徒なので面識を持ったらしい。後で精一杯愚痴を聞かされたからこれは確かな事だった。

 翌日、問題の空知は今度は積極的に動いて松本に話しかけてきた。

 何も不思議な事は無いのだ。無害そのものに成りすまして息をひそめているとは言え、無害と判断されれば話しかけられる事くらいは当然だ。

 無害そのものに成りすましていた事こそが、この日は仇になったと言える。が、別に無暗やたらに嫌っているわけでもないのだから話くらいしてみようと思えるやつだった。

「松本くんは、この学校の女子、レベル高いなって、思わないタイプ?」

「レベルの概念が良く分からないが高いとは思う。」と、答えた。

 無難な受け答えだ。それに、妥当な話題だった。

 的確と言い変えてもいい位の妥当さだ。

「勿論、美女が多いという意味のレベルだ。他に意味があるみたいな、そんな言い方だね。」

「てっきり戦闘力や攻撃力の高さを表すレベルの事かと思った。」なんて言う訳もなく、細く笑って返した。

 ありったけの無難でやり返してやった。

 さあ、どう出るイケメン。

「察するに、好きな人が居るという事かな?」

「どう察した。何でもかんでも色恋沙汰にするのはどうかと思う。」

 イケメンは笑い、無害は残り無難の少なさから即答してしまった。これは無難ではない。好きな人が居ると明かしたような物だったが、残念ながら故意ではないにしろ好きな人は今現在はいないのだった。

 つまり、天然のトラップ。しかしイケメンは圧倒的な人気を要している為に揺らぐ事は無い。

「君は知的だね。嫌いなタイプではないよ。」

 そう言った。揺らぐ事は無いのだから正面突破で「僕はいるよ。好きな人。」とか言って女子を喜ばせるのかと思ったが、違った。

 天然の、意味のない松本のトラップに気が付いて回避したのだろうか。常に盤石を期して戦うためだろうか、しかしこちらの戦力は蟻のそれだ。回避する必要は全くない。むしろその行為はマイナスに働く方が大きいのではないかと思えるが、このイケメンは、回避した。

 そういう考え方と決めつけるのはきっと良くないが、クセの様なものはあるのかもしれない。

「俺も、嫌いという訳じゃない。」言って笑った。ただ、イケメンはなんとなく気に食わない。とは言わない辺りに松本の配慮、優しさを感じてくれたら、と思う。



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