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まざーこんぷれっくす  作者: 瀾些 蒼
5/7

レインの欠点?

試合が始まった。ボールを巡って男子達が体育館内を走り回る。

「パスパス!」

舞台上で試合を観戦している残りの騒がしい男子達に混じって、レインも後ろの方で寂しく独りぼっちで体育座り。

あいつ、友達いねーのかな…。

その姿をじっと見つめる咲人。

「なぁに見つめてんだよ」

隣で胡座あぐらをかいている竜馬りょうまが退屈そうに言った。

「え、いや…別に」

「お前ってマジでクジ運悪ぃよなー、レインと同じチームになるなんてよ」

「……ホントだよな」

同じチームなのは置いといて。

レインが独りぼっちでいることが気にかかる。何だか複雑な気持ちでいっぱいになっていた。ずっと目障りだったはずのレインは途端に女子から離れると必ず独りぼっちになる。

でも、俺には関係ないことだよなぁ。

「試合終了。次、CチームとDチーム集まれ」

体育の、有田先生が言った。

「咲人、ほどほどに頑張れよ」

竜馬が咲人の背中を押した。

「お、おう」

一人のとがった男子生徒が自分のチームを睨み付けて舌打ちをした。

「Dチーム、バスケ部多くね?こっち、俺しかいねぇし、弱い奴ばっかじゃん」

それに対して相手の一人が喧嘩を売るように呟いた。

「余裕だな~」

「はぁ!?」

「お前ら落ち着け!始めるぞ」

ピー。

直ぐに間に入って有田先生がバスケットボールを真上に投げた。

Dチームは軽やかにパスを行う。

「クッソ!おい!お前ら、ボール奪えって!やる気あんのか!」

イライラが止まらないCチーム、唯一のバスケ部。

「はぁ、はぁ、はぁ」

走るのが大の苦手なレインが珍しく息を切らしながらボールを追いかけていた。

Dチームは余裕でシュートを決め続けた。踏ん張るCチームの体力はあからさまに尽きていく。

咲人も諦めずにボールを追いかける。

ゴール前ではレインが両手を広げて構えていた。

結果が見えている試合につまらなそうなバスケ部の部員。

「受け取ってみろよー!」

勢い良く中央から突然Dチームの男子生徒がボールをレイン目掛けて投げた。

「ふざけやがって!」

一瞬でボールが顔面にバウンドした。

“バコン!!”

「おい!大丈夫か!?保健体育委員、誰でもいいから保健室連れてくの手伝ってくれ!」

「はい!」

真っ先に有田先生が駆け寄る、他の生徒に手伝ってもらいレインをおぶった。


「ねぇ、レイン様体育で顔面にバスケットボール当たったらしいよ」

「当てたのって三組のバスケ部でしょ、最低なんだけど」

「しかも、レイン様を狙ってわざとやったらしいじゃん」

「後でお見舞い行かなきゃ!」

「美しい顔を傷つけるなんて許せない!」

「もう、早く保健室行こーよ」

クラスはレインの話で持ちきりに。噂を聞き付けた女子達は騒いでいる。

「まさか、あの完璧レイン様が運動ではヘタレだったとはな~」

竜馬は腕を組んで言った。

「流石にあれはひどくねぇ?」

公売で買ったパンを二口食べて、コーヒー牛乳で流し込む咲人。

「へぇ~、心配してんだ」

「…なんでそうなる」

担任の浅野先生が二人の方へ近づいてきた。

富根とみね、悪いがレインのバックまとめて保健室まで持っていってやってくれるか?」

富根は、咲人の苗字。

「え、何で俺なんすか」

「頼んだぞ」

すると直ぐに浅野先生は教室から出ていった。

「レイン、早退すんだなー。つくづくついてねぇ奴だな、咲人は」

「うっせえよ」


保健室では早速、女子達が集まって賑わっていた。

「レイン様お怪我いかがですか?」

「可哀想!」「痛々しいよ」

数え切れないほどの女子に囲まれているレインの心は落ち着くわけがない。

「恥ずかしい所見られちゃったね」

「ドジなレイン様も素敵だよ」

「母性本能くすぐるぅ~!」

保健室のドアの前まで来ると中の騒がしい高い声が廊下まで聞こえた。その場で立ち止まる咲人。

げっ。まだ女子どもいんのかよ。入りずれぇじゃん。

「お弁当、デリシャスだったよ」

「きゃっ、あたしのも?」

「もちろん」

笑顔を絶やさず根性で数人の女子達が持ってきた弁当を残さず平らげた。

「そろそろ、お開きの時間だよ、プリンセス達」

「えぇ、まだ、時間あるよぉ」

「明日も会えるさ」

「はーい」

「グッバイ」

一斉に保健室から出て行く女子達に手を降るレイン。

そして誰も居なくなり静かになった。


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