美少年レイン
恐らく市内でナンバーワンの美少年。
「きゃああぁぁ、レイン様あぁ」
今日もクラスの女子たちは僕にメロメロ。
いや…、『女子たち』ではなく『プリンセスたち』と言うべきかな。
別に僕が好んで美貌を振りまいているわけではない、勝手にプリンセスたちが寄って来てしまうのだ。
ああ、自分が許せないよ。何故こんなにも美しい容姿に生まれてしまったんだ…。
美少年レイン
授業中にも関わらずクラスの女子生徒、半分はレインをガン見していた。毎度のことで先生は注意することなく授業を進める。
金色に染まった頭、ストレートに整った髪の毛。大きな瞳に透き通ったブルーのカラーコンタクト? スッとした鼻筋。まるでハーフの様な顔立ちだ…、いや…ハーフに寄せているのだろうか?
周りと比べるとレインは目立つ存在。
授業に全く集中できないな。困ったな~。僕があまりにも美しすぎるから、なんちゃって。
キーンコーンカーンコーン…。
いつもと変わらずに授業終了のチャイムが鳴った。
「きりーつ、礼、ありがとうございました」
坊主頭の男子生徒が立ち上がって号令をかけた。
さてと、校内を散歩しにでも行こうかな?
レインは椅子から立ち上がると教室を出て歩き始める。その後を追いかける様にクラスの女子生徒たちも歩き始めた。
「ちぇっ、あんな奴の何処がいいんだよ」
制服を着崩したスタイルに、ワックスでカッコ良くアレインジした茶色く染まった頭をボリボリと掻きながら男子生徒は言った。
「咲人には分からないかー。レイン様の魅力が」
机上で頬杖を付いている女子生徒が呟いた。
「はあ? 分かりたくもねぇよ、そんなこと。 …お前は着いてかないの? あいつの後ろ」
男子生徒、咲人は女子生徒に尋ねた。
「私は、あの子たちとは違う…。それに咲人が独りで寂しそうにしてたから、私、里香が一緒にいてあげてるんだよー!」
ニコーッ。目を細くして笑顔で答えた。
「……なんだよ、それ」
言いながら咲人は何だか照れ臭くて里香に背を向けた。
生徒たちの様々な視線を感じながら、レインはスラッとした高身長を魅せつけるかの様に廊下を歩いていた。
「レイン様!今日もお美しいですね!」
「こっち見てえ!!きゃあっ、イケメン!!」
「お写真撮らせていただけませんか?」
横を通る度に女子生徒に話しかけられる。全部を相手にするのは大変だから、僕は常に爽やかスマイルで答える。これぞ、神対応!
僕が学校で輝いて居られるのは……の存在のおかげだよ。いつも支えてくれて感謝してます。
読んで頂きありがとうございました。