OPERATION4 コスプレと7年越しの再会と除夜の鐘~midnight princess~
年末になると2回も私の趣味が表舞台に出ることになる。その趣味とはコスプレである。私の名前は「三田 桃香」現役コスプレイヤーの高校1年生。今の趣味はお姉ちゃんの影響で初めてもう5年も経つ。2回の表舞台というのはコミックフェスタともう一つは株式会社メープル主催のカウントダウンパーティーである。カウントダウンパーティーはコスプレをした状態で参加しなければいけないから表舞台にカウントされる。そして来たる大晦日、私はフューチャーフリートのメンバー全員を連れて会場へと急ぐ。ちなみに会場は小説大賞のあった例のホテルだ。駿八君はあの事件の所為かあまり乗り気じゃなかったが白斗先輩が「年末年始ぐらい過去の事なんて忘れろよ。」と励ますと「そうですよね・・・では年末年始は小久保先輩のことは忘れて思いきり楽しみましょうか。」と立ち直ってくれたからこうして全員で行動できる。ホテルに到着し、フロントで「あのー、今日のカウントダウンパーティーに参加する予定の者なんですけど、どこへ向かえばいいのでしょうか?」と尋ねると、スタッフが「それなら、最上階のレストラン『ロイアル』でございます。お気をつけて行ってらっしゃいませ。」と答え、私たちはエレベーターで最上階へ向かった。教えられたレストランへ向かい、受付で私たちは本人確認をした後、一つ下の階の客室で何人かに分かれて衣装に着替えた後、会場に戻ってみんなと合流して中に入るとすでに参加者が十数人いて、ステージまで用意されている。
今回の衣装は「ゴースト・ケットシー」という、不治の病で死んでしまった主人公の女の子がいろんな種族が共生する世界に猫の獣人として生き返って種族の垣根を越えた出会いを描いたアニメのキャラクターのコスプレだ。主人公である百合音のコスプレをしているのは私で、ケットシーの王女のイリアのコスプレをしているのは碧先輩だ。まあ、碧先輩は猫というより豹というイメージが強いがそれでも構わない。蒼輔君に「あの容姿に猫耳はさすがに似合わないんじゃないか?」と聞かれたが、「私のお姉ちゃんも碧先輩も動物で例えるとネコ科の豹だから問題ないよ。」の一言で押し通した。それはさておき、トイレに行った龍二先輩を除く8人で和やかな雰囲気を出していると「あれ、もしかして桃香?」と後ろから話しかけられた。私は声のした方へ視線を向けると、「あっ、沙耶ちゃん、久し振りー。」と話しかけてきた同年代の女の子である大西 沙耶に話し返す。すると、白斗先輩が「おい桃香、誰だその子?」と聞いてきたところで私は沙耶ちゃんの紹介をする。「皆さん、紹介しますね、この子は私の幼馴染の大西 沙耶ちゃん、小学3年生の時まで近所に住んでたんですけどお父さんが病気で死んだことでお母さんと一緒にお婆ちゃんのところに引っ越して転校して行ったんです。それから一度も会えてなかったんですよ。まさかここで再開するとは思いませんでしたー。」と紹介を終えたところで龍二先輩が帰って来た。「って、あれ、大西じゃん、俺だよ俺、中学の時の、こんな所で何やってんの?」と沙耶ちゃんに話しかけた。すると、「あっ、もしかして赤木先輩?」と反応した。「あのー二人って知り合いですか?」と聞いたら「ああ、同じ中学だったんだ。俺と同様にスポーツ万能でよく同じ表彰台へ一緒に登ったよ。どうやら別の高校に行ったらしいな。」と過去の話を語った。二人の話によると、沙耶ちゃんはスポーツ推薦でバスケットボールの強豪校に入り、龍二先輩は推薦を蹴って一谷に入ったらしい。3人での会話を続けていると司会者が「お次は毎年恒例のビンゴです。皆さんカードをお受け取り下さい。」というアナウンスをした。みんな自分の分を受け取りビンゴが始まった。そして進むにつれリーチが複数列出来ている者もいれば自分の分に引かれた番号が全然無くて嘆く者もいてすでにビンゴが成立して景品を受け取った者までいるという状況になった。私は現在リーチが3列出来ている。すなわちトリプルリーチだ。次の番号が引かれてようやくビンゴが成立した。私は景品と交換しにステージへ上がり、祝福された。ビンゴが終わり、司会者が「お次は椀子蕎麦早食い競争を行います。名前を呼ばれた方はステージへお上がり下さい。」とアナウンスを入れ、挑戦者の名前が呼ばれる。その中に白斗先輩の名前があった。スクリーンに挑戦者の名前が映り、ステージに挑戦者たちが上がっていく。私は不安に思った。なぜなら白斗先輩はフューチャーフリートの男性陣の中で一番背が低いうえに痩せている。どう考えてもこの勝負に向いていないのだ。それに観客も「うわ、あの小さいのマジでやるのかよ。」とか「有り得ねえ、どう考えたって勝てっこないって。」とか嘲笑するような発言をしている。そんな中、司会者が「ルールは簡単、50杯の椀子蕎麦を一番早く完食した人が優勝です。それでは・・・始め!!」とルール説明とともに競争を開始させた。正直言って最初は不安しか無かったが競争の様子を見て希望が見えた。そして10分ぐらい経って一位の挑戦者が50杯食べ終わった。それは、白斗先輩だった。みんなその結果に驚愕している。なんせ見た目からして勝てなさそうな白斗先輩が一位を取ったのだから驚くのは無理もないだろう。次はコスプレショーだ。参加者の名前が呼ばれ、私と碧先輩の名前も呼ばれた。ステージ裏へ行き、今回の参加者と顔合わせをする。みんな個性的なコスプレをしており、誰が頂点に輝くのか分からなかった。係員が参加者の人たちを登場順に並ばせて、司会者がアナウンスを始めた。そしてとうとう私の番が来た。こういうのには慣れているため自然と緊張はしていない。パフォーマンスをステージ上で行い、終わったら会場中が拍手の嵐に包まれた。全員のパフォーマンスも終わり、いよいよ年を越すまで40分ほどとなった。その間、有名アニソン歌手のライブなどがあって、23時55分になるとスクリーンが「年を越すまであと5分0秒」という表示になった。あと30秒になると、司会者が「さあ皆さん、年が明けるまでのカウントダウンを行いましょう。」と呼びかけた。そして、「10,9,8,7・・・」と一斉に声を上げる。カウントが0になったと同時に除夜の鐘が鳴り、全員で「明けましておめでとーー!!」と叫んだ。「これでカウントダウンパーティーは終了ですが、この後は初日の出を見に行きます。駐車場にバスが停まってますので各自着替えて荷物を持ってお集まりください。」と司会者が言った。着替えた後、バスに乗って初日の出を見に行こうとした時、車内で寝ていたら車体が謎の衝撃を受け、みんな起きて大騒ぎになった。私は、「えっ、もしかしてマリンギャングの攻撃!?」と思ったが案の定怪人が車内に突入して来た。怪人は突入して来た途端、「おい、このバスにフューチャーフリートのメンバーが乗っているはずだ!出て来い!!」と怒鳴り散らした。どうやら前回と同様に怪人は流暢な日本語を話すタイプのようだ。こんな所で装備を身に付けたら更なる騒ぎになってしまう。そう思った私は装備を身に着けるのを躊躇ってたら怪人に見つかり、容赦ない攻撃が始まった。もう騒動は避けることが出来ないと思い全員装備を身に着け応戦する。同乗者は全員運転手が避難させた。これで十分戦えると思ったら怪人が戦闘員を連れて車外へ逃げた。逃がすまいとこちら側も外へ飛び出す。戦いの舞台は高速道路という広い空間に移った。
戦闘員の数は約30人、今の状態なら全滅させるのも難しくない。それを次々と倒していき、残ったのは怪人ただ一人だけとなった。私は「さあ、これで観念して下さい。」と降伏を催促するも怪人の方は聞く耳持たずだ。しかも「五月蠅えテメエ誰が観念するんだよ俺よりいい成果出しやがって!!」と逆切れして来る始末だ。そのうえ「あっ、そこの白い奴と緑の奴も同罪な、なんせ俺がこうなってしまった結果を作ったんだからな!!」と9と6に対して啖呵を切った。埒が明かないと思ったがもう一つ思ったことが有った。小説大賞の時も人間が第三者によって怪人にさせられた。もしかして彼もそうなのではないかということだ。そう思った私は「あのー、もしかして誰かにそそのかされてそうなってしまたのでしょうか?」と聞いたら「ああそうだよ、何だよあの宗教女出鱈目言いやがって、今度会ったら張り倒してやる!」と答えた。やっぱり前回と同じだった。9が「それでその宗教女はお前に何て言ったんだ?」と尋ねると、「あなたは今嫉妬してますね、私がその感情を消してあげましょう。」と言っていたことを話した。フューチャーギアに零子さんからの着信が入った。「正体は人間だったのか、生かしてやりたいが怪人となった以上倒すしかない。止めを刺せ。」と言われ、私は「残念ですが私たちはあなたを倒さなくてはなりません。行きますよー、ピンク・メテオ・ナックルスマッシュ!」と技名と共に止めの一撃を喰らわせた。
戦いの後、バスは使えなくなったため私達は9隻の時空艦をシップモードに切り替え、みんなを初日の出に連れて行った。感想を聞いたところ、「船から見ることになるなんて新鮮だ。」とか「一時はどうなるのかと思ったが見れて良かった。」と十人十色だった。今年はどんな一年になるのだろうか・・・
作者の湊です。今回は年越しのエピソードでした。果たして2017年はどうなるのでしょうね。次回は蒼輔の一人称視点です