OPERATION3 受賞式の歓喜と悲劇~premium nobel~
12月の中旬が来ると僕はあることが待ち遠しくなる。それは、小説大賞の結果発表だ。僕の名前は「茶島 駿八」中学2年生の時からネットで小説の執筆をやっている高校1年生だ。そして今回は瀬山ヤングス文庫主催の小説大賞に応募している。そして2週間前に受賞式の日が決定した時から僕はその日を待ち遠しく思った。とうとうその日がやってきた。僕は会場のある「黒船国際ホテル」まで足を運び、自分の作品が受賞しているかどうかを期待している。次々といろんな賞の受賞作品が決まっていき、次は金賞だ。応募したのはこれで2回目、前回は佳作だったが今回はかなりの自信がある。そうしているうちに金賞の発表が行われる。司会者が金賞受賞作品の発表を行う。「金賞は・・・エントリーナンバー2141番、ペンネームBROWNさんの「天空探偵エンジェリックホームズ」に決まりました。」その言葉を聞いた瞬間、僕は歓喜の声を上げた。檀上で賞金と記念盾を受け取り、会場中で賞賛の声を浴びた。だが、一人だけ僕に対して嫉妬の眼差しを向ける人がいた。僕はそれを無視して自分の客室へと向かった。ちなみにホテルのご厚意で小説大賞参加者全員に客室を用意してくれた。だから最終便の時間を気にせずに済んだ。風呂から出て10分ほど経過した時、着信音がフューチャーギアから鳴り響いた。応対すると零子さんが「茶島、お前は今瀬山ヤングス文庫主催の小説大賞の会場があるホテルに居るだろう。敵は今から7時間前の黒船国際ホテルのエントランスに現れた。出撃しろ、茶島。」という指令を出し、僕は了解した。茶色の機体に黄緑の単眼、胸部にあるローマ数字のⅧの内側が桃色のフリートメイル「足柄」を装着し、時空艦「アシガラ・ブラウン・08」に搭乗して7時間前の黒船国際ホテルへと急いだ。
目的地に到着した僕はすぐさまホテルの中に入り、今回の事の発端を探す。すると、謎の集団がエレベーターが来るのを待っていた。その集団の格好はどう考えても普通ではない。武装をしているがどう考えても僕の仲間ではない。僕はそれを怪しいと思い声を掛けると武装集団は「はいはい、何でしょうか・・・ってお前は確かフリート8!またしても邪魔しに来たな我々の敵め!!おいお前ら邪魔が入ったからこいつを排除するぞ!!」と僕に敵意を向けた。その集団はマリンギャングの片割れだった。エレベーターを待っていたのは6人、今はこちらが不利だがフューチャーフリートのメンバーが駆けつけるのを期待して僕は戦いに挑むが「緊急事態だ今すぐ1階に戻れ。」と片割れの一人が他の部隊を呼び戻した。すると2,3分ぐらい経ってエレベーターが降りて来た。すると、中から15人ほどの戦闘兵が出てきた。今の状況は1対21、絶望的な状況に陥ったかと思ったが「フリート8、しっかりしろ!!」と仲間の声がした。みんなが駆けつけてくれた。そこで僕は「おいお前ら、このホテルで何をするつもりだ。」と戦闘兵たちに対して問い詰める。返ってきた答えは「決まってんだろ、小説大賞の結果を改竄するためだ。今頃部隊長が最上階の会場に乗り込んでいるはずだ。」だった。そこで僕の何かが目覚めた。「許さない、僕はお前らを絶対に許さない。今ここで成敗してやる!!そして、時間と僕のプライドを守ってやる!!」と宣戦布告し、戦いを再開する。これで9対21、さっきと比べたら戦いが有利になった。僕も斧型のウェボン「金時」を出現させて戦闘兵たちを薙ぎ倒す。最後の一人を倒し、一旦装備を外して最上階へと向かう。ちなみに装備を外すには紫色のボタンを押せばいい。最上階へ着き、体制を装備を装着しなおして今回の首謀者を僕たちは探す。幸いまだチェックインの時間では無いため一般客に対する人的被害はないが改竄は時間の問題だ。会場に到着したが人は一人もいない。もしかして控室かと思い、扉を開けると案の定そこにいたのは怪人だった。だが、今回のはちょっと違う。今までの怪人は片言の日本語で話してたが今回の怪人は流暢な日本語で話していた。僕は「おいお前ら、小説大賞の結果を改竄してどうするつもりだ?」と怪人相手に聞いた。そうしたら怪人は「どうするつもりかって?それはなぁ、お前が金賞を取ったのが許せなかったから結果を改竄して俺が金賞を取ったことにするためだよ。」と答えた。僕は「なぜ過去を変えれるんだ」と聞いたら「俺が悔しい思いをしてたら謎の女が『あなた、今嫉妬してますね。あなたの心を昇華できるようにしてあげましょう。』って、宗教めいたことを言ってきた。だからこうなってるわけだ。」と白状した。心当たりのあった僕は「もしかして、君、あのとき僕に嫉妬の眼差しを向けてた人?」と尋ねたら、「ああ、そうだよ、こんな事しようとしてすまなかったなBROWN、いや、茶島 駿八。俺は一谷高校2年A組の小久保 治だ。本当にすまないな後輩よ。罪は死んで償う、さあ、その斧で俺を切り裂いてくれ!」と泣きながら謝罪してきた。さすがに人間と分かっている怪人を倒すことなんて出来ない。だが、和解することは出来る。和解するために話しかけようとしたらフューチャーギアが鳴った。応対すると零子さんが「何をやっている、さっさと倒せ!」と喝を入れたが、僕は「でも、あの怪人の正体は人間です。そして、僕らの学校の生徒なんです、倒せるわけがありません!!」と意見したが、「怪人などに掛ける情けなど無い、いいから倒せ。」の言葉で捻じ伏せられた。
僕は小久保先輩に対して、「すみません先輩、僕はあなたを倒さなければいけないようです。本当は和解したかったんですけどね。それではいきますね、止めの一撃、ブラウン・クリティカル・スラッシュ!!」と技名を放ち、止めを刺す。先輩は、「終わりだな、俺の人生。」と遺言を言ったのちに息絶えた。
後程、結果を元通りにした。幸い、改竄されていたのは僕のところだけだったから作業はすぐに終わった。そして、史実通りの流れになって一安心したところで、それぞれ自分の時空艦に乗って元の場所に戻った。きっとあのままだったら賞金も記念盾も無かったことになってただろう。もちろん書籍化もだ。
作者の湊です。今回は今までと比べて涙がこぼれるかもしれないエピソードとなりました。怪人の正体が人間だと分かっているのに倒さなければいけないということに対する葛藤のようなものを感じたかと思います。次回は桃香の一人称視点です。