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第一話:キングの背中

2007年1月

昨年度19位に終わったユナイテッドは二部リーグのクラブにしては潤沢な資金をいかして、有名選手を獲得しようとしていた…


そこでクラブは神戸パイレーツを解雇された“キング”こと藤山和彦を獲得しようと動く。


狙いとしては知名度抜群の藤山を獲得し伸び悩む観客動員の増加を狙ういとがあった。


藤山自身は一部リーグでのプレーを望んでいたが、高額な年俸と今シーズンで39歳という高齢で一部リーグのクラブに断られ、二部リーグのクラブにしてもその高額な年俸がネックであった。

こうして結局争奪戦もなく日本で一番人気のないクラブに、日本で一番人気のあるプレーヤーが入団することになったのだ。


2007年1月11日

茶所ユナイテッドクラブハウスの狭いプレスルームにはクラブのオーナー・GM・監督と藤山和彦、そして多くの報道陣がつめかけていた。

この会見で藤山選手は

「新しい環境でもう一度自分自身を鍛える為に、移籍を決断しました。また初めて二部でプレイしますが、不安はありません。このクラブで引退するつもりできています。このクラブを一部に昇格させます。皆さん応援よろしくお願いします。」

と語った。




2006年12月

兵庫県神戸市西区にあるいぶき森球技場。

広いグラウンドに一人の男が佇んでいた。


「やれやれ…この俺が0円提示とはな」

神戸パイレーツから来期の契約を結ばないといわれた藤山。神戸での最後の練習を終えた彼は

「ここにくるのも今日で最後か…」

と感慨に浸っていた。


「カズはん」


名前を呼ばれ振り向くと弟分のFW高井がいた。

「おぅ、どうした?高井」

「どうしたやないですよ…もういきはるんですか?」

「ウチはカップ戦で既に負けてて昨日で練習終わりだろ?」

「いや、そうですけど…カズはんがおらんかったらわいは誰とツートップ組めばええんですか?」

「去年俺は殆ど試合にでてないだろ…そもそもガブリエルがいるだろ」

「大体なんで茶所なんすか、もっと他に…」

「茶所しかなかったんだよ」

高井の言葉をさえぎる。

「……わかりましたよ。カズはん。まぁこれでカズはんと戦うことはなさそうですわ」

「おいおいカップ戦があるだろう…それに来年一部にあがるからな」

「…それ、ありえまへん。冗談キツイッスよ」

「まぁみてろよ…これからの俺達を」

そう言ったあと背を向けてグラウンドを後にする藤山。その背中は解雇された男とは思えない雰囲気があった。

そしてきがつくと高井は去っていく藤山むかってにお辞儀をしていた…。

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