三十一話
彼らを中心にドンドン採掘していき、鉱石を見分け金属を取り出し、
金属を鋳固め道具を作り出し、さらに叩いてより硬い道具や武器を作り出した。
やはり彼らはドワーフだった。
ドワーフの鍛冶仕事のお陰で色々な物が出来ていってる。
より使いやすい農具や武器、荷物を入れる新しい道具、
そして、彼らが熱望した蒸留道具。
村々の食料生産量は増え、酒の生産量も上がった。
家畜も増えているし、荷物を持って移動を続けてる人も多くなった。
土穴族も安定した食生活の為か出生率が増えていっている。
その日は、ジャスやコウタを連れて鉱山エリアに土穴族の様子を見に来た。
当然ながらお土産はお酒だ。
「とおちゃん~~ハジメ様がいらっしゃいました~~~」
「バカヤロウ!仕事中は親方と呼べって 何時も言っているだろう!」
「やあ~こんにちはダントさん。お?グラントさんもいらしたので?」
「おう!ハジメ殿 よく来た!」
「おお~ハジメ殿 偶然だな!俺は巨人族の移動用に道具が作れないか相談しに
来たんだ。後は武器を見にだな」
「へ~どんな感じ?」
「巨人族は体が大きくて移動手段が歩くか荷馬車に乗るしか無いからな。
最近では移動自体が増えて少し不便でな~」
「今は牛に無理やり乗る為の鞍か車輪の補強を考えてる。」
「ふ~ん・・・面白そうだね、いっそ荷台も専用・新型を作る?」
「「ん?」」
「面白そうだから荷馬車や船を作ってる人なんかも交えて新型を考えてみようか」
「「ほ~う」」
「今から連絡して・・・3日後ぐらい?前村のダンジョンの中で話し合いしよう。
それまでに各自どのような物なら作れそうか・どの程度の大きさが良いかなど
考えておいて。」
「どのような物とは?」
「例えば全体を金属に出来るか、それとも車輪を金属に出来るか、もしくは軸を
作れるか、軸を作るならその周りの補強などかな?
巨人族なら自分達の大きさや一緒に運ぶものの重さとかの確認かな~その重さは
牛何頭・ダチョウなら何頭使えば運べるかの確認とかね。」
「「なるほどな~」」
「ジャス、コウタ悪いけど連絡してきて。
荷台の話はその時として、この前八十ハチベエがさ~・・・」
三日後鍛冶エリアの鍛冶師、各種族の代表者、家畜を育ててる牧場村の村長、
船大工、牛車大工、輸送を担当している者など主だった者を集めて話し合った。
皆の意見や俺の知識を聞き、新型荷台や巨人移動用荷台(半分ローマ時代の戦車)
を作っていった。
これにより巨人族の移動速度や物資の移動量も増え今まで行きにくかった場所に
行き易くなったり、家畜の餌も集めやすくなり、技術の流用で水車なども
作られていくようになった。
そして、船の改造を得てより早く・より多く運べるようになり土穴族の居た場所に
新しい港を作りそこを基準に近くに居るドワーフを探し見かけてはダントさんなど
土穴族が訪ねに行き説得し、ドワーフ全体で生活の向上をしていき、
その数を増やしていった。
そんなある日のこと、
自分用の騎乗動物の世話をしている時に不意にジャスが呟いた・・・
「この山の裏はどうなってるんですかね~」
「ガウ」(バ・バカ!なに言っちゃってんの?)
「エー、コウタは気にならない?海岸沿いは色んな所に行ってるけど内陸って余り
行ってないからどうなってるのかな~って、変わった動物なんかいるのかな?
って、気にならない?」
「ガウ」(シッ黙って! マ・マスター、この前牧場の村長が何か用があるって
言ってましたよ。久々に視察しても良いんじゃないですかね?)
「ジャスは面白いこと言うよね~~」
「ガウ」(ああ・・・やばい)
「内陸・・・気になる。実に気になるね~~特に死の荒野の端っこ!今までは
行けなかったけど新型荷台のおかげで物資も多く持っていけるしね~
オークと同じように、人族の生き残りも居るかもしれないしそっちからなら
西の山脈を迂回できそうだしね~」
「ですよね~~新しいものや面白いものが居るかもしれないって~」
「うんうん・・・ドワーフ達を見つけた旅からもう8年・・・
そろそろ行っちゃう?」
「ガウ」(駄目ですよ!忙しいんですから!八十ハチベエさんにも相談して
ないんだし!)
「うわ~楽しみ~~私も牛に騎乗できるようになったお陰で遠くまで行けるように
なったし、楽しみ~~)
「ガウ」(ジャス本当に黙ってて!!マスターまたハチベエお爺さんにも愚痴を
言われちゃいますよ!!)
「いや~久々の冒険だよね~~今度は何があるかな~~」
「ガウ」(マスター駄目ですって!叔父さんに言いつけますからね!
マスタ~~~~~~)
俺はジャスとコウタを置き去りにして、早速ダントさんやグラントさんに相談に
向かうのだった。