二十七話
「ホシの状況は?」
「ごぶ」(町の視察が終わり執務室でゆっくりしてます。)
「各隊の配置は?」
「グウ」(全員配置に着きました。何時でもいけます)
「よし!作戦どうり踏み込んだらホシを袋に押し込み連れ出すぞ!
ホシに声を出させないように注意しろ!絶対に逃がすな!」
(((了解!!)))
「行くぞ!」
俺たちは執務室の扉を蹴破り中に踏みこむ。
秘書らしき女性は計画どうり居ず、ホシ一人がお茶を飲んでいた。
「がう」(な・・なんだお前らは!は・放・・ムゴムゴ・・・)
「ゴブ」(ホシに猿轡をして確保しました。)
「よし・・・行くぞ!」
袋詰めしたホシを担ぎ、俺たちはアジトとしている船に戻る。
・・・
・・
・
「がう」(な・なんだお前らは!!何が目的だ!!)
アジトに連れ込まれ、部屋で袋から出され猿轡を外されたホシが声をあげる。
いきなりの暴虐に少し震えているが縄で縛られてて身動きはできない。
・・・カツカツカツ
賊の首魁らしき者が近づいてきた・・・
「や~八十ハチベエくん 久しぶりだね~」
「がう」(マスター!!なんですか此れは!どういうことですか!)
「いや~君に話があったんだよね~~」
「がう」(話を聞きますからこの縄を外してください!)
「いやさ~~旅に出ようと思ってね~君も一緒にとね!」
「がう」(旅?いやオイラも今では地区長で忙しくて無理ですよ!)
「いやさ~奥さんや息子さんのイチハチベエくんに話したら連れ出しても良いって
言われたんだよね~」
「がう」(ま・まさか・・・・)
「なんかアヤコさんがどうたらこうたら言ってたよ・・・」
「がう」(妻が・・・)<一気に八十ハチベエの顔色が悪くなる>
「まぁそう言うことだから宜しく~~」
「がう」(ダメですよ!それでも地区長の仕事があるんですから)
「そんな事言っても・・・地区長の仕事は息子さん協力してがやってくれるって
言ってたし、もう海だし~」
「がう」(ハ?)
「もう出航してるよ?」
「がう」(そんなバカな・・・)
「もう南端を越えてるよ?」
「がう~~~」(そんな ばかな~~~)
南部地区で八十ハチベエを拉致した俺たちは船員の補充をしながら先に進んだ。
「ブルゴニくん八十ハチベエを逃がしたらマザーに在ること無いこと吹き込むよ」
「フゴ」(絶対、逃がしません!)
「がう」(もう逃げませんよ・・・んで次は巨人の里港でしたっけ?甥っ子の
ゴシチが住んでるはずですよ。)
「ごぶ」(そうですね。旗艦だけ川を遡り、そこで又募集します。
八十ハチベエさん残りますか?)
「がう」(行くよ、行きますよ!久々にゴシチの姿を見に行きたいからね~)
「フゴ」(オーク族はこちらまで来てないんで皆も楽しみにしてますよ~)
「そっか~んじゃ船も順番に交代で寄港させて見学するように伝えといて~」
「ごぶ」(わかりました。一隻毎交代で寄港させますね。)
入港前に予定を確認しながら進み巨人の里港にて新たな船員を乗せ、一部の船員が
下船し、俺たちは大陸の西側を進んでいった。
「ごぶ」(まさか下船する者が出るとは思いませんでしたね~)
「グウ」(しょうがないですね。番を見つけたと言われちゃえば・・・)
「がう」(その分、船員の補充もしたから大丈夫でしょ)
「だよね~オークも何人か『俺はこの果実を育てる為に生まれてきたんだ』とか
言って下船しちゃったしね。まぁしょうがないよね~」
(密航者だ~~)
「グウ」(ん?なんですかね?)
「どうしたんだろ?この船じゃないよね?」
「ゴブ」(2番艦じゃないですか?)
「グウ」(ちょっと行って聞いてきます)
泳ぎの得意なリザードマンが騒ぎのある船に向かって行った。
暫くすると戻ってきて俺を呼んでる。
「どうしたの?何があったの?」
「グウ」(それが・・・とりあえずマスターだけなら運べますので2番艦に来て
頂けませんか?)
「わかった。八十ハチベエこっちを宜しく~」
リザードマン3人に騎馬を組んで貰い海を渡って2番艦に辿り着く。
船まで近づくと縄梯子を降ろしてもらい甲板まで上っていった。
そこには船員に囲まれて縄で縛られた巨人族の女の子とコボルトの男の子が居た。