二十五話
周りより大きな家の前が会談の場になり何らかの果実を絞った飲み物が出される。
毒が心配だったのかコボルトが毒見をしてくれた。
「フゴー」(毒は入れてないよ。)
「種族柄、飲めない物もあるので一応・・・では頂きますね」
一口 口をつけると甘みのある果実をつぶして少しの水で薄めたようなドロっと
した飲み物だった。これは生ぬるく冷えていればもっと美味しいのではないか?
っていう味だった。
「フゴー」(詳しい話と今後のことってのを聞きたいね。)
「彼らは世界の王になると言い私達の村を襲ってきて死か隷属を選べと言ってきま
して、どちらも選ぶつもりも無かったので制圧して捕虜として捕らえてあります
そちらが征服に乗り出しているようでしたら此方も抵抗をするしかありません」
「フゴー」(それは悪かったね。私等は他の部族と敵対するつもりも征服するつも
りも無いよ。捕らえたものは煮るなり焼くなりどうにでもしろって
言いたい所だけど、全てを殺されるとうちらの生活が立ち行かなく
なっちまうからね・・・)
「かといって其のまま開放するのも『また何時か数をそろえて攻め込まれるかも』
という意見もありまして・・・」
「フゴー」(絶対させないって言っても既に一度攻め込んだ此方を信用はできない
だろうね。あのバカ者共が・・・)
「では・・・あなた達が私の下に就きますか?」
「フゴー」(隷属しろってことかい?)
「いえ、隷属というか・・・実は俺は此処より南の山の麓でダンジョンを持ってい
ましてダンジョンマスターを務めているんです。ですのであなた達が俺の配下に
なれば争うことが無くなります。配下の数は10万を越え支配地域は此処より南
全域と西の巨人族の生活圏までです。」
「フゴー」(そんなに規模が大きいのかい・・・争うこともバカらしいね・・・
わかった。あんたの支配下に入るよ。それでどうしたら良いんだい?
)
「うーん・・・とりあえず全員で村を見に来ますか?群れがダンジョンで暮らせば
支配下に入れると思うんですが・・・」
「フゴー」(小さな子供達や老いた者達が居るから全員は厳しいね・・・)
「では代表者や一部の者達で先にダンジョンを見に行きましょう。その間の護衛は
此方のもの達で引き受けます。その後は随時順番に移動態勢を整えてからって
事で。」
「フゴー」(分かった。皆には私から話をするし私も最初に向かうよ)
「では宜しくお願いします。此方は食料にも余裕がありますので食料が足りないよ
うでしたら声を掛けてください。」
「フゴー」(助かるよ。狩りに出た若いのが帰ってこず困ってたんだよ)
その後、生まれたてのオークやその母親などの残るオークの護衛に300名のゴブ
リン・コボルトを残し半分近いオークを連れ、村に戻った。
村に着いたオークマザーは最初に捕獲されているオーク達との面会を希望したので
まず、最初にブルゴニが捕らえられている部屋に行き面会をさせる事になった。
「フゴ」(か・・かあちゃん・・・)
ブルゴニは久々にあったオークマザーの姿に涙を浮かべ、
その姿を見たオークマザーは徐に近づいていき・・・・
ぼごーーーん
その頭を思いっきりぶん殴った。
そして見張りが持っていた棍棒を掴み取ってブルゴニを滅多打ちにしている。
「フゴ」(ご・ゴメンよ、かあちゃん。俺が悪かったって!痛いって、痛い
ゴメンよ、ゴメン~・・・)
「フゴー」(このバカたれが、バカたれが、バカたれが~~!!)
ブルゴニを滅多打ちにして首根っこを掴んだオークマザーは振り向き残ったオーク
達の場所への案内を求めてきた。
「フゴー」(で、他の連中はどちらに?)
「あ・ああ・・・こっちです」
俺たちはマザーの迫力に押され残りのオークの場所へと案内すると・・・
「ふご」(マ・マザー?俺たちを助けに?
「フゴー」(あんたら何て事をしてくれたんだい・・・)
ブルゴニの首根っこを掴んで引きずってきたマザーは入り口から入り、ブルゴニを
中にぶん投げて持ってた棍棒を使い中に居たオークを滅多打ちにし始めた。
FuGOOOOOO~~~~ (このばか者共が~~)
「フゴ・フゴ」(ひ~~助けて~~)
実にマザー無双ってやつだった・・・
大暴れだった・・・ 滅多打ちの跳ね飛ばし捲りだった・・・
大人しく従ってくれて良かった。争ったら少なくない負傷者が出ただろう。
捕虜となってた全てのオークが倒れ付し気絶したところで、やっとオークマザーが
止まったのだった。
「フゴー」(マスターお騒がせしました。うちのバカ共が本当に申し訳ありません
でした。こいつらの処分はもう少し此処で捕らえておいて後で決めま
しょう)
「分かりました。ダンジョン内に住みかを用意しますのでとりあえずそこで寛いで
ください。ダンジョン内や村は後で案内します。」
「フゴー」(ありがとうございます。)
そしてオーク達は暫くの間ダンジョン内や村々で作業をして新たな生活を経験し、
配下化が進んだ所で集落に戻りゴブリンやコボルトの協力を得て村の改革を進めて
いった。捕らえられていた者たちは鉱山や村を繋ぐ街道整備などの労働させること
になり、マザーの許しを得るまで強制労働に準じることになった。