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ダンジョンマスター始めました。  作者: 長谷川 勉
19/34

十九話

「よし!オールを上げろ~帆を広げたら風魔法を使うぞ~逆風で進めるか確認して

みる。」


((((了解~))))



海上輸送が本格化し船の改良は進んでいたが、北方探索用に無風で動ける船を開発

している。今の標準は片側8本のオールを使った人力移動だが新型は片側15本オ

ールで帆も付いていて横幅も広くして荷を多く乗せられるようになっている。

今は仮付けした、帆に魔法で操った風を当てて進む方法を実験していた。



「がう」(マスター大きな船ですね~こんな大きな船作ってどうするんですか?確

かに荷はたくさん乗せられますが川はさかのぼれそうも無いですよ?)


「フフフ・・・俺は海を大航海して境の果てにあると言われているツーピースを手

にいれ冒険王になるんだ。」


「がう」(何、訳のわからないこと言ってるんですか? 遂にうちの爺さんのハチ

     ベエみたいにボケちゃったんですか?)


「いやさ~この前、思っちゃったんだよね~

 南の海岸沿いに進んで西に行けば北に進むより良い事があるんじゃないか? 

 ってね~西の山脈を越えるのは食料はともかく水が心配じゃない?でも船なら水

 の心配ないし、塩も取れるし、魚も取れる。後は大人数を乗せて行ければ。。

 ってね~」


「がう」(あちゃ~思いついちゃったんですか?うちの母がが言ってましたよ。

     マスターが思いついたらヤバイって、最悪、叔父さんみたいに死の大地

     や死の海に連れて行かれるって・・・)


「でもそのおかげで八十ハチベエは有名になって今じゃ選挙で選ばれて草原南部地

 区長じゃない? 生き残った人たちもみんな偉くなってるよ?」


「がう」(八十ハチベエ叔父さんが草原南部に行ったのってマスターの言い出すか

     ら逃げたからって噂ですよ?)


「そんな事ないよ~彼の冒険者魂が、新しい土地を目指させただけだよ~君もハチ

 ベエの一族だ。君にも今は眠っている冒険者魂があるはずだよ~

 一緒にがんばろうよ~」


「がう」(そんな魂、無いっすよ。在っても一生眠ってて欲しかったです。)


「ゴブ」(マスター準備できました~~)


「わかった~~んじゃ始めようか~」 



ハチベエ一族は代々俺の副官として働らいてもらってる。今隣に居るのはハチベエ

の孫に当たる八十ハチベエの姉の子供の『ヤシチ』だ。

ハチベエ一族なのにしっかり者だ。



「良い感じだね~これなら行けそうかな?」


「ゴブ?」(もう出発するんですか?)


「もうちょっと試して改良して・・・まぁ来月ぐらいかな?先ずは八十ハチベエの

 居る町まで処女航海と洒落込もうか~」


「ゴブ」(わかりました。みんなに伝えておきます。)



処女航海までに帆の大きさを変えたり、オールの配置を変えたり、荷の保管場所を

甲板から船底に変えられるよう船自体を改良したり、冒険は嫌だ!って船員が逃げ

出したり、逃げたヤシチを連れ戻したり、新しい船員を募集したりして予定より出

発までに長く3ヶ月ほど掛かったが、無事 処女航海を経て八十ハチベエの治める

町にたどり着いた。




そこは、とある事務所の一室。 部屋の主はお気に入りの仕事机に座り、その傍ら

に居る秘書から手紙を受け取り目を通していた。


ガクガクガクガク・・・・・


「キャン」(地区長どうなさったんですか?そんなに怯えて・・・)


「がう」(そろそろヤツが来ちゃうんだよ・・・・)


「キャン」(ヤツって奥様ですか?またスナックの女の子に手を出しちゃったんで

      すか?)


「がう!」(そんな事してないよ!変な噂立てないでよ!)


「キャン」(本当ですか?この前聞きましたよ?『女の子に言い寄られて耳垂らし

      ていた』って、死の海の英雄だからってモテモテだったって~~)


「がう!」(そ・そんな事ないっすヨ?俺は至って誠実ですヨ?)


(「ワルイヤツいねえか~~女の子をとっかえひっかえしているワルイヤツいねえ

  か~~~」)


「キャン」(あれ?何か聞こえる?)


「がう~」(ヒ~~~~ヤツが来た~~)   


   バーン!! 


「八十ハチベエく~~ん  遊びましょ~~」


「がう」(マ・マスター ようこそいらっしゃいました。

     ほ・本日はどんな御用で?)


「キャン」(ヤツってマスターの事ですか・・・地区長、折角マスターがいらっし

      ゃったのに申し訳ありません。午後は予定どおりお休みさせていただ

      きます。)


「がう」(よ・予定? 聞いてないけど・・・)


「そっか~予定があったなら残念だけど仕方が無いよね~ んじゃ地区長の事は任

 せて!」


「キャン」(ありがとうございますマスター。地区長をよろしくおねがいします。)


「が・がう・・・」(ま・待って・・・)



カツカツカツカツ パタン・・・  

秘書はお茶を出すと八十ハチベエを残して部屋から出て行った。

これで援護は期待できなくなった。



「んでサ~俺思ったんだよね~そろそろかな?ってネ~~」


「がう?」(そろそろ?・・・・・まさか・・・・)


「そろそろ船製作の技術も上がって長い航海に耐えられそうだな~ってネ!

 船ならもっと南に探索に行けるんじゃないかな?ってネ!」


「が・がう・・」(ぼ・冒険ですか?)


「ソソ! 行こうか?新たな冒険に!」


「がう!!」(ムリムリムリムリ!

       今は仕事も家庭もあるんでオイラは無理ですよ!)


「あ・・・そうなの?やっぱりアレ?港角の宿屋のキョウコさんが・・・」


「がう」(あ~あ~あ~そうですね!冒険魂が振るえますよね!・・・ですが今の

     オイラには地区長という『責任』があるので一緒には行けませんが!

     ムスコのサンハチベイを連れて行ってやってください!あの子は上二人

     と違って少しボーっとしてますが一番キモっ玉が大きく冒険者に向いて

     るはずです!)


「そっか~んじゃ息子さんに上手く伝えておいてよ~後足りない物資や情報の相談にヤシチが

 くるから宜しく~~」


「がう」(ヤシチも来てるんですか・・・判りました。出来るだけ相談に乗らせて

     頂きます)



その後、町や港で情報を集めながら視察をして、八十ハチベエの家に顔を出し奥さ

んに小言を言われ、出発までの一時を過ごした。



「アレ?サンパチベエ君。ヤシチは?何処行った?船に乗ってないよね?」


「がう」(なんかばあちゃんが来てて連れて行かれちゃいましたよ?)


「そうなの?う~~ん しょうがないか~お婆さん何か言ってた?」


「がう」(とくに何も、ニコニコしてましたよ?とおちゃんは顔色が悪かったです

     が・・・)


「そ・・そう・・・・んじゃ天候が良いうちに急いで出発しようか!」


「グウ」(わかりやした。 錨を揚げろ~~出発するぞ~~)



船には20人のリザードマン、60人のゴブリン、サンパチベイを入れて15名の

コボルトが乗り込み南に向かって出発した。





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