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三国志~武幽電~  作者: 伏(龍)


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共闘


 張松との一戦を終え、目前の危機が去った一行はこれからの先行きに不安はあるもののひとまず落ちついた雰囲気の中にいた。


 孫仁が関羽や馬超の傷の確認をしているが、このゲーム内では傷は深くとも出血は最初だけであるため止血は必要ない。

 

 そしてフィールドを出ない限り回復することもないため実質孫仁に出来ることはないのであるが、それでも放っておけないのが孫仁という人物なのだろう。

 

 玄はそんな武将達の様子を確認してから、視界の端でひたすら踊り続けているヘルプを見て溜息をつく。


 ヘルプの相手をするのは正直疲れるのだが、彼の力を借りなくては先に進まない。


 関羽にしろ、馬超にしろいくら悪化しないとはいえ小さからぬ傷をいつまでもそのままにしておく訳にはいかない。

 

 すべきことを速やかに済ませ、待機モードへ戻してあげる必要がある。


「茜、これから馬超のプレイヤーに音声対応で同盟依頼を出すから繋がったらハンドルネームでの会話になる。


 個人情報漏らしたくなかったら気をつけて」


「あ、そっか…一応ハンドルネームあったんだっけね。


 私は秋茜よね、玄はどうするの?」


 玄のハンドルネームは姓名をひっくり返しただけのものである。


「あんまり考えてなかったからな…


 一応玄徳水げんとくすいって呼んでくれれば良いよ。


 ちょっとかっこ悪いけどね」


 苦笑しつつ答える玄に茜も小さく笑いながら了解と返事をする。


「よし…ヘルプ!せっかくいるんだからもう一働きよろしく」


「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


「えぇ!!じゃないっつーの!


 お前の仕事だろ!」

 

 玄の言葉に間髪入れずに不満の叫びを上げたヘルプにさらに即座に玄が突っ込みを入れる。

 

 相変わらずのふざけた対応のヘルプに半ば本気のいらだちを込めた突っ込みなのだが、ヘルプは玄の突っ込みに対して力一杯親指を立てている。


 軽い頭痛を感じながらも玄は精神力を動員して怒りを抑える。


「…と、とりあえず馬超のプレイヤーに音声対応の同盟依頼を出して」


 同盟ということになれば、プレイヤー同士での交渉もあり得るため、メッセージだけの依頼と音声込みの依頼、どちらかを選択することが出来るのである。


 玄が前回、茜と同盟した時には二人が同じ場所にいるという特殊な状況だったため、あまり気にしなかった機能だが、使い方によっては打ち合わせだけにも使える機能である。


 音声対応の依頼は相手が拒否すればメッセージだけのものに変わってしまうが、馬超が馬超の意志で活動していると判断した玄はなんとなく馬超のプレイヤーは話が通じると思ったのである。


 実際に同盟を結ぶかどうかは別として、馬超の話を聞くためには自分たちの声も届いた方が質疑応答に面倒がないし、直接会話を出来る形で話を進めた方が早い。


「はいはい、はいよ~っと、ポチッとな」

 

 ヘルプが虚空に取り出したクイズの解答者が押すようなボタンを押す。


 ぴんぽ~ん


 すると、どこか間の抜けたドアホンのような甲高い音が周囲に響く。


 その音に一瞬脱力しながらもすぐさま気を取り直した玄は、緊張をほぐすために大きく深呼吸をしてから口を開く。


「えっと…馬超…さん?とプレイヤーの方聞こえますか?」


 控えめにかけた玄の声に馬超は頷く。


「…聞こえるよ」


 少し遅れて控えめな声が聞こえてくる。


「初めまして、私は関羽のプレイヤーで玄徳水って言います。


 孫仁のプレイヤーの秋茜さんと同盟を組ませて頂いてプレイ中です」


「よろしくね」


 玄が自らと茜の簡単な自己紹介をすると茜がそれに乗っかる形で挨拶を付け加えた。


「僕は…竹です」

 

 玄は竹と名乗った声にどこか幼さを感じた。


(多分、男。声の感じからすると声変わり前かな?


 中学生、もしかしたら小学生の可能性もあるか?)


 内心ではそんなことを考えながらも、こうして話す以上はネット上でのマナーに従った方がいいと思っている玄は至極丁寧に話を続けていく。


「竹さんですか。


 よろしくお願いします。


 この場での流れは竹さんもご覧になってたと思いますけど、関羽達が馬超さんに聞きたいことがあるみたいなんです」


「そうみたいだね」


「かといってこのままここで話を続けるのは関羽も馬超さんも怪我をしてるので得策じゃないと思うんです」


「そうだね、特に馬超の傷はかなり深いんだ。

 長くは放っておけない」

 

 竹の言葉を聞いて玄は内心で喝采をあげる。(やっぱりこのプレイヤーは武将達に理解がある。


 おそらくこのゲームが本物の霊魂?を使ったゲームだってことも把握している。


 これなら俺たちの戦いに手を貸してもらえるかもしれない)


「はい、それで提案なんですが、一度同盟を締結してもらえないでしょうか?


 同盟自体が不満なら話が終わった後は破棄してもらっても構いません。


 同盟を締結してもらえば待機モードにして武将達を休ませながら安全に話が出来ます」


 同じように武仁も玄の言葉を聞いて同じような感触を得ていた。


(この人もこのゲームがどういうゲームなのか分かってるみたいだね。


 その上で武将達を同じ人間として扱ってる。


 馬超が捜してた関羽のプレイヤーがこの人だったことを喜ぶべきかもね)


「わかりました。


 ひとまず同盟を受諾しますね」


「ありがとうございます。


 では、同盟締結後はそれぞれ待機モードに戻って、話はそれからということで。


 それで構わないよね関羽」


「よかろう」


 虚空で交わされる声だけのやりとりを黙って聞いていた関羽が顎髭をしごきながらうなずく。


 それとほぼ同時に孫仁も頷き同意を示す。


「馬超はどう?」


「私にも異存はない」


「オーーケェーー!


 同盟成立だぜぃ!それぞれ承諾書にサインしてくれい」


 ヘルプの威勢のいい声と共に玄の前に羊皮紙風の映像が表示される。


 中には


 同盟締結しますか

 『はい』  『いいえ』 


 とだけ書いてあるようだ。


「ていうか、こんなの前回はなかったし…」


 内心で突っ込みつつ玄はVSを操作して『はい』を選択。


 ぴろん!


 と甲高い音し、さらにぴろん!ぴろん!と立て続けに音が鳴る。


 おそらく茜と馬超のプレイヤーである竹がそれぞれ承諾をした音だろう。


「よっしゃこれで竹玄秋同盟成立!」


 ヘルプの声に玄が関羽を見ると、関羽達の名前の上に表記されていた玄秋同盟の文字がヘルプの言葉通りに変更されている。


「確か、プレイ開始が早いほうが先にくるんだっけな」


 前にヘルプに聞いた話を思い出して玄は呟く。


「さ、玄徳水さん。関羽さん達を戻しましょう」


「おっと、そうだった。


 では竹さん、話は戻ってから」


 茜の声に我に返った玄は竹にそう告げるとVSで待機モードを選択。


 同時に周囲の景色がいつもの見慣れた自分の部屋へと戻る。


 一瞬遅れて自分の目の前に関羽と悪来が映し出された。

 

「お、おかえりな、なさいませ。関羽将軍、玄殿」


「うむ」


「ただいま、ホウ統」


 風景が部屋に戻ると部屋の片隅に座したまま目を閉じていたホウ統が玄達へと声をかける。


「ホウ統、向こうでちょっとあって話が進展するかもしれないんだ。


 これからここで話をするから一緒に参加して何かあれば意見を出して欲しい」


「は、はい。


 わ、わたしなどで、よ、よければ、聞かせてい、いただきます」


 玄のお願いに、いつも通りどもりながらもホウ統は頷く。


「士元、『私など』はよせ。何度も言わせるな」


「はい!そ、そうでした。も、申し訳ありません!」


「よい、お前の力は皆が認めている。それを忘れるな」

 

 関羽の厳しくも情のこもった言葉にホウ統は嬉しさのあまりただ頭を下げるしかない。


「よし、じゃあ始めよう」


 そんな様子を微笑みつつ見ていた玄が二人に声をかける。


 関羽とホウ統、悪来は目線で承諾の意を玄に伝えてくる。


「ヘルプ!茜と竹さんに通信をつないでくれ。


 出来れば武将達同士も顔を見ながら話せる形が良いんだけど…」


「オッケーオッケー!この俺様に任しとけって」


 玄の言葉にフィールドから一緒に戻ってきていたヘルプが踊りながら答える。


 今までは茜と二人だった上に家も近かったことから武将達を相手のVSに預けるというような形を取っていたが、今度はそういう訳にもいかない。


 かといって音声だけの会話では正確な情報が伝わらない可能性がある。


「もともと同盟者同士には会議モードがあるんさ!


 おめぇ達は使う必要が無かっただけ。


 このモードは武将達が一同に介して会話が出来る。


 そして、プレイヤー全員がその同じ光景を見れる。


 ただし、武将同士の接触は出来ないってわけだ。


 ま、もっとも武将同士で接触が必要になるようなことなんてほとんどないけどな。


 関ちゃん、孫ちゃんみたいに訓練するって訳でもなければ問題はないってことだ」


「関ちゃん、孫ちゃんってお前…まあいいけど…」


 相変わらず関羽に対して無礼極まりないヘルプにはひやひやさせられる。


 しかし、関羽が一貫してヘルプを相手にしていないのが有り難い。


「じゃあ、ヘルプ。


 茜と竹さんのところへ会議モードで繋いでくれ」


 はいよ~と軽い返事をしながらヘルプがくるくると回り出すとヘルプの頭のてっぺんから触覚のように白い糸が伸びていく。


(絶っっ対に意味のない演出だ!)


 内心で突っ込みながらも黙って見守る玄の前で伸ばされた糸は天井を突き抜けていく。


「っと、繋がったかな?玄徳水さん、聞こえる?]


 ほどなくして、VSから茜の声が聞こえてくる。


「聞こえるよ。竹さんも聞こえますか?」


「ああ、問題ないよ」

 

 武仁の声が聞こえると同時に玄の目の前に孫仁と馬超の姿が投影される。


「関将軍、お傷の方は?」


「大事ありませぬ、奥方。いつものようにすでに治癒が始まってますゆえ」


「馬超殿も…」


「かたじけない。こちらも傷は徐々に癒えていくと思います。


 それよりも此度は関羽将軍と孫仁様のおかげで助かり申した」


 馬超は関羽達に向けて深々と頭を下げる。


「構わぬ、我らにとっても利があってのことだ」


 確かに馬超に話を聞きたいという思惑があったにしろ、馬超を助けるために浅からぬ傷を負っている。


 だが、関羽はそれを全く恩に着せようともしない、恨みがましいことも言わない。


 本当に微塵も気にしていないのである。


 それはきっと、自らが選択して行動した結果に100%責任を持っているからなのだろうと玄は思う。


 そこに至るまでの過程はどうあれ、最終的に自分でやると決めて行動したことがどのような結果に繋がろうとも誰かのせいにしない。


 当たり前のようだが、とても難しいことを関羽や孫仁はさも当然のように体現している。

 

 他人のせいにして自己の責任を免れようとするような政治家や上司の話が四六時中メディアで流れるような現代が玄には恥ずかしく思えてしまう。


「では、さっそくで申し訳ないのですが…


 聞かせて頂けますか?馬超殿」


「はい、ですが私の知っていることもそうは多くありませぬ。


 しかし、ただ一つ確かなことは…」


 馬超は一旦言葉を区切ると関羽達を見る。


 しかし、関羽達のその目に迷いはない。


 それを見て馬超は再び口を開く。


「私にこの傷をつけたのは張松ではありませぬ。


 この私に撤退を余儀なくさせる程の傷を負わせたのは…


 燕人、万夫不当と呼ばれた、劉備 玄徳殿の義弟。


 張飛 翼徳」


「…」


 馬超の言葉に一瞬、空気が固まったかのような沈黙満ちる。


「…翼徳、無事でいてくれたか」

 

 そんな中、関羽が誰にともなく呟く。


 関羽の無事という言葉は本当にひとまず張飛がこのゲーム上で未だ生き残っていることが確認出来たと言う意味だろう。


 実際問題として張飛がどのような状態でどんなプレイヤーに操作されているのかはまだ分からない。

 

 大喬、小喬や黒ずくめの漢のように人とも思わぬ扱いをされている可能性もある。


 このゲームのことを急速に理解してきている関羽にそのことが分かっていないはずはない。


「張飛殿とお会いした時の話をする前に、私がこの世界で何を目的としているのかを、少し聞いて頂きたい」


 神妙な顔で関羽を見る馬超にただならぬものを感じたのか関羽は小さく頷き顎髭をしごいた。


「かたじけない」


 小さく頭を下げた馬超は静かに語り始める。


 このゲームに召還されたときのこと、そして思い返して驚愕した生前の自分の不甲斐なさ、劉備への思い、そんな中相まみえたかつての親友ホウ徳や父無き後自らを助け導いてくれていた韓遂との戦い。


 そして、忠義というものを人生をかけて体現していた凡将廖化との戦い…


 馬超の話術は決して上手いわけではないが心情に迫るその言葉の一つ一つに聞いていた者達は自然と引き込まれていった。


「…」


 そして、馬超の話が廖化との戦いに及ぶに至って関羽の目が静かに閉じられる。

 

 最後まで自分を補佐し続けてくれた漢だった。


 そして打ち明けられた凡将計画について馬鹿なことはよせと叱責したこともあった。

 

 しかし、決してやめようとはしない頑固な漢だった。


 だが、その計画が最後まで義兄劉備と蜀のためになったことを思えば、先に死んだ身としては深い感謝をせざるを得ない。


 そして、この世界においてまでも死の直前まで自らのことを気にかけ続けた。


「馬鹿が…この関羽がそこまで信頼出来ぬとでも言うか」


 口からこぼれた悪態とは別に関羽の口調には怒りの色はない。


「これが、廖化殿が私に託してくれたものです」


 馬超がそう言って胸元から取り出し、関羽に差し出したのは廖化が自らの意志で変化した首飾りだった。


「それはお前が持っておれ馬超。廖化がお前に託したものだ」


 小さく首を振った関羽の言葉に馬超は一瞬ためらった後、再び自らの懐に戻した。


「それでよい」


「馬超殿、今のお話からすると馬超殿も玄徳様を捜して旅をしておられるのですね?」


 馬超の話が一段落したと判断した孫仁が問いかける。


「左様です。


 このような形とはいえ、再び武を奮う機会を与えられたことは私にとっては僥倖。


 今度こそ劉備殿のためにこの馬超の武を存分に奮い、本当の私を見てもらいたいのです。


 それこそが私を救ってくれた劉備殿に対するせめてもの恩返し。


 そう考え劉備殿を捜しておりました」


 馬超の目には熱い思いが満ちている。


(本当の馬超殿はもっともっと燃えるような方なのですね)


 その目を見た孫仁は心中で呟く。


(今の馬超殿はその力を奮うべき時と場所を求めて必死に力を抑えている…そんな気がします)


「わかりました。では、私たちと目的は同じなのですね」


 真剣な眼差しで頷く馬超。


 それを見て、馬超と協力関係が結べそうだと判断した玄は心強い味方が出来ることを素直に喜んだ。


 しかし、玄と茜が本当に目的としていることはこのゲームに捕らわれている武将達を解放することである。


 そこまでを馬超とそのプレイヤーに打ち明け、協力を仰ぐべきかどうかを玄は決めあぐねていた。

 

「竹さん、少しいいですか?」

 

「なに?」

 

「竹さんはこのゲームが普通とは違うということに気づいてますか?」


「ちょ、ちょっと玄!…徳水さん!」


 いきなり核心を切り出した玄に茜が狼狽の声を上げる。


「…気づいてるよ」


 玄の突然の質問に一瞬息を飲む気配の後、静かな回答が返される。


「そのことについてどう考えてますか?」


「どう?って…別に何も。


 どんなシステムでどうしてこんなことが出来るのかは気になるけど、そう言うゲームなんだと割り切ってるよ」


 異質だと感じながらもそれをそのまま受け入れているドライな竹の答えに玄はやや落胆しつつもむしろ正しい認識なのだろうと思いなおす。


 ゲームとして流通しているような物に対して内容がおかしいからと言ってそれをどうこうしようなんて考える人は普通はいない。


 ましてや玄達がしようとしていることは『ここはこうして欲しかった』とメーカーに苦情の手紙を出すことではない。


 霊魂を縛り付け操作するような『何か』を根本からなんとかしようという突拍子もないことなのだ。


「もちろん、馬超に意志がある以上は、操作出来るからって無理強いはしない。

 

 なるべく馬超の好きにさせてやるつもりだけどね」


 そう考えれば、馬超の意志を優先してこのゲームをプレイしてくれているだけでも十分だと思うしかない。


 ただの変わったゲームとして普通にプレイをしている竹にこれ以上は望むべくもない。


「…じゃあ、良かった。

 竹さんも武将達を無理矢理操作するようなことはしないんですね。


 今まで会った中では酷いことをさせてる人もいたので…いきなり変なこと聞いてすいませんでした」

 

 玄は結局自分達の本当の目的を明かすことはしなかった。


 もちろん今の会話の流れから判断したのがその大きな要因だが、玄達の目指す目的は今後何があるか分からない上に、自分たちすら何をどうしたらいいかが分からないようなことだ。

 

 そんな、気持ちだけが先行したあやふやな目的を知り合ったばかりの人に自信を持って主張することは出来なかった。


「別に構わないよ。

 確かにそう言う人たちがいるってことはネットで知ってたしね」


「え!このゲーム、ネットで噂になってるんですか!」

 

 さらりと答えた竹の言葉に玄が食いつく。


 それもそのはず、玄がネット上をいくら捜しても見つけられなかった情報を竹は知っている。


「う、うん。行くのはかなり面倒だけどね…」


「お願いします!それ教えてもらえませんか」


「い、いいよ。別に隠すようなことじゃないしね」


 興奮気味に詰め寄ってくる玄に押されるように竹は承諾の返事をする。


「じゃ、じゃあ今メモするんで…」


「玄!しばし待てぃ!」


「うぁ!」


 慌ててメモを取り出そうとした玄に顎髭をしごきながら成り行きを見守っていた関羽が厳しい口調で待ったをかける。


「な、なんでしょう?」


 思わず凍り付いた玄がおそるおそる返事をする。


「その話は後にせい。まずは馬超に翼徳の話を聞いてからだ」


 少しでも早く義弟の安否を知りたい関羽にしてみれば自分にとっては意味の分からないやりとりで時間をかけられたくはないのだろう。


「う…確かに今でなくても出来ることだけど、もうちょい待ってくれてもいいのに…」


 ようやくつかんだ張飛の情報である。


 関羽の気持ちも十分理解出来る玄としてはあえて関羽の意見に異を唱えるつもりはないが、玄にとってもようやく見つけた手がかりである。

 

 多少の愚痴を漏らしたくもなるのだろう。


「了解。竹さん、ではその件は後で教えてください」


「ああ、いいよ」

 

 竹の承諾を受けて玄は気を取り直し馬超へと声をかける 


「馬超さん、よろしくお願いします」


「承知」


 短く答えた馬超は自らが負った傷を押さえるように撫でながらゆっくりと語り出した。


「先ほどお話しした、廖化殿との戦いを終え、玄徳公を探して蜀の首都があった成都の方角を目指して南下を続けました」


 馬超の話は今より半日ほど遡る…


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同時連載中です。
スキルを交換する能力を持った主人公のお話です。
転生物ではないですが転生要素はあります。ケモミミの幼馴染やエルフ奴隷もでます^^
もしよければ読んでみてください
スキルトレーダー【技能交換】 ~辺境でわらしべ長者やってます~
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