The last day
何かと忙しい社会。
情報は目の前を通過していく。
環境は破壊されたり南極の氷は溶け始め、海面上昇の恐れがある。
空気はどんどん汚れていく。
オゾン層は破壊される。
地球温暖化がおき始めてている。
いじめが問題で死んでしまう人もいる。
殺人事件も増えていく。
尽きないほど問題は増えていくばかり。
これが私達の住む世界なんだ。
私達は完全に忘れていっている。
失うことの恐ろしさと悲しさを。
忘れている。
傷つけることによって帰ってくる。
世界からのしっぺ返しを。
私達人類は愚かだ。
でも今からでも遅くない。
まだ時間は残っている。
少しづつでいいんだ。
前へ進むんだ。
そして傷を塞いでいくんだ。
綺麗に。
もう二度と望まない災いの風が
その穴から吹き流れてこないように。
「おはよーっ!!鈴守!!」
今日も世界のどこかで子供の元気な声が響いている。
この声を守るのは私達だ。
「!ごめん!!すぐ行く!!」
鈴守と呼ばれた少年。
黒羽鈴守は学生服を着て、通学鞄を手にすると、急いで外へ出た。
「行って来ます!」
(・・・誰に?親父とお袋は別として・・・俺、今誰に言ったんだ・・・?)
誰もいない家の中をずっと見つめて黒羽は戸惑った。
「おーい?鈴守?」
「うぇ?あぁ、行くよ拓也。」
黒羽は鍵を掛けると、拓也と共にいつもの通学路を通って学校へ向かった。
「あ、そうだ鈴守。これこれ。」
そう言って拓也が取り出したのは分厚い本。
とても古いもので、英語で【magica=On Line=】と書かれている。
(magica・・・?なんだろう・・・凄く懐かしい気がする。)
「で?それが何?」
「この本お前読んでみろよ!!俺泣いちゃった。」
「感動的な本なの?」
「うーん・・・説明は苦手だから無理!でも、このタイトルにOn Lineってあるだろ?これは、【友達の輪】って意味らしい。」
「ふーん・・・」
ドカッ
黒羽は不注意で前方から来た人物にぶつかってしまった。
「うわ!あ、ごめんなさい!!大丈夫ですか?!」
ぶつかったせいで前方から来た人物は後ろへこけてしまっていた。
レイスは立ち上がらせようと手を差し伸べた。
「すみません、不注意でぶつかってしまいました。大丈夫です。」
「・・・・・・」
ぶつかってしまった人物のあげた顔を見て鈴守は胸に突っかかる思いがこみ上げてきた。
黄緑色の長髪に蒼い瞳。
何処かで聞いたことのある声。
懐かしさのあるその優しい表情。
「どうかしましたか?」
立ち上がった人物は不思議そうに鈴守の顔を覗き込んできた。
様子のおかしい鈴守に気がついた拓也も鈴守の肩を揺さぶる。
「おい!鈴守どうしたんだ?」
何故だ、何故だ。
何故覚えているはずなのに思い出せないんだ。
そう言う気持ち鈴守の中でぐるぐる回り、鈴守には拓也の声も届いていない。
「・・・あ・・・貴方は・・・」
(そう、俺はコイツを知っている。知っているんだ。)
「え・・・と・・・鈴守・・・君?」
「貴方は・・・――」
しかし、それから先の言葉が出てこない。
名前が思い出せないのだ。
「・・・すみません。なんでも・・・ありません。」
「そう・・・ですか。何だか分かりませんけど・・・その、体調が悪いのであれば学校に行かないほうが・・・もうすぐなら保健室で休むなど・・・」
「すみませんでしたっ!!」
「あ、おい!鈴守!!・・・あ、あの、すみませんでした!!」
拓也がぶつかった相手に謝罪してから走り去ってしまった鈴守を追いかけていった。
ぶつかった相手は、走り去って行った鈴守の後ろ姿を不安そうに見送っていた。
「おい!鈴守!!今日のお前変だぞ!!」
「・・・」
学校についてから、鈴守は相談室と言う特別な教室に拓也と先生と一緒に居た。
「不安定なのかもしれないわね・・・まだ退院したばかりだしね・・・。
鈴守君、ゆっくりでいいのよ?思い出せていない部分があるのなら無理矢理じゃなくていいのよ?」
先生がそう言うと、鈴守は机をバンッと叩いて立ち上がった。
「駄目なんだ!!アイツだけは絶対に思い出さないといけないんだ!!」
「・・・鈴守」
駄目なんだ・・・といい、俯いてしまった鈴守に拓也は困ってしまった。
先生もどうしたものかと、困ってしまっている。
しかし、その時だった・・・。
突然鈴守は口を動かした。
「くそっ・・・何でアイツは俺のこと思い出せないんだよッ!!俺はここまで鮮明に覚えているのにッ!!地下通路で店開いたじゃんかッ!!ルインの空飛んだじゃないかッ!!魔法教えてくれたじゃないかッ!!ヴェクセルと闘って!ホーリィと知り合って!ノートの事件でまたホーリィのこと救って!
エイトを研究員達から救って!カレンと知り合って!シオンとも知り合った!!街のいろんなところに皆で行った!!俺はまだ覚えている!お前の歌ったあの綺麗な歌声!!」
一人怒るように口を動かす鈴守を拓也と先生はただ唖然としてみているしかなかった。
「・・・ッ!大道魔術師!!」
そう言い、鈴守は学校を飛び出した。
「ちょっ!鈴守!!」
「鈴守君?!」
鈴守は走って学校を飛び出した。
(思い出したんだ・・・お前のこと。)
何処へ向かっているのかは、自分でもわからないが、でもその先には
先ほどぶつかってしまった相手がいると鈴守は分かっていた。
学校から約3km離れたところにある高台。
そこからは綺麗な海が見える。
鈴守はそこへ向かっていた。
高台への階段を駆け上り、頂上へ向かった。
長い長い階段を休むことなく駆け上がった。
そして、頂上へつくとそこには一人の人影が。
それは海の方へ向いている男性の長い髪の毛がさらさらと風とダンスをしている後ろ姿。
「あのッ!!!」
鈴守が叫ぶを男性は振り返った。
優しい微笑みを忘れずに。
「あの、俺、黒羽 鈴守!!!」
「私は瀬志瑠。神無月 瀬志瑠。」
「久しぶり!!・・・そして、初めまして!!」
「お久しぶり・・・レイス。」
「!!!」
出会いは何時だって突然で
すぐ近くにあって
なかなか気づかないものだ
だけどそれに気づけたら
それはすばらしいことなのかもしれない
一期一会と言う言葉の意味のとおり
やはり一回の出会いでも大切なものなのだ
出会えた幸せ
再び出会えた幸せ
全ての人に届け
出会いの幸せよ
自分が一番この作品のこと分かっているはずなのに気に、なってしょうがない自分がいたり(笑
半分強制的に終わらせましたが、楽しんでいただけましたでしょうか?
兎に角、楽しんでもらえたならそれだけでいいです。
では( ´・ω・`)ノ~