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The tenth day

「・・・何故皆死んでいくのでしょうか」

夜、エイトとカレンが寝静まった頃

セシルは、レイスに問いかけた

「人はいつまでも生きてはいけない。必ず、時がくるんだ。

命は永遠のものではないから、ずっとこの世界に留まることは出来ないんだ」

冷たい風が吹き流れ

夜の静けさを深めていく

「でも、どうして私達のまわりの人間が・・・死んでいくのでしょう。」

「・・・なぁ、セシル。」

レイスは落ち着いた、いつもの明るい声とは別の、冷静な声でセシルに言った

「エイトを連れ出してきたときのこと覚えてるか?」

そう聞くと、セシルはコクリと頷いた

「あのとき俺、エイトに言ったよね?『この世には他にもエイトと同じような人が存在するんだ。俺だって・・・その内の一人さ。今はまだ言う勇気がないけどね』って。

あの事お前に先に教えてやるよ。」

「レイス?」

「・・・俺さ、この世界に来る前。自分のいた世界・・・かな。あっちで、親父と俺で暮らしてたんだ。

マンションって言って、集合住宅の一室に二人で住んでたんだ。」

それからレイスはゆっくりセシルに話した


父親は日頃の苛々を、会社から帰ってくると俺にぶつけていた

8歳くらいからかな・・・この歳になってもずっと虐待され続けていたんだ

俺は決して反抗しない

耐えて 耐え続けた

日々 日々 殴られて 蹴られて 

いつしか自分の部屋には薬品の臭いが充満していた

自分の体についた傷を治すために使った薬品の臭い

ソレが染み付いて、学校では先生に問い詰められたけど

何も言えずにいた


それである日、友達から教えてもらった本を手にしたんだ

どんな本だったか忘れちゃったけどさ

なんとなく開いてみたらこっちに来てた


「レイス・・・貴方記憶が!」

「俺さ、一度だけ意識が向こうの世界に戻ったことがあったんだ。

寝てたから向こうも夜でさ、誰もいなかったけど、病院のベットの上で俺横になってたよ。

白い壁、白い床、白いベット

俺に打たれている点滴が無数、機械もかなり体についていた。

その時俺、思ったんだ。俺、死んでるのかな?って。

目の前にかざした俺の手は青白くてさ、触ってみると冷たくてさ。

声も出てこなくてさ、死んでるみたいだった。」

「・・・死・・・。」

「でもさ、生きてるって実感がとてもうれしかった。そこにあるんだ、感覚が、視覚が、聴覚が。

生きてるって、感じることなんだ。そう思うとうれしかった。」

「・・・」

「セシル、もう過ぎたことを考えるな。お前に聞こえるか?

ヴェクセルとホーリィの声が。」

「声?」

『セシル、人はいつか死ぬんだ。俺達はその時が来ただけだ。別にお前が悪いわけじゃない。

だからいつまでもそんな顔をするなって。』

レイスの言葉にヴェクセルとホーリィの声が重なって聞こえた

『ただ、気をつけろ。何者かが、みんなの命を狙っている』

「何者かが?」

『【世界そのもの】』

「・・・世界・・・」


世界そのもの

ソレは一体何なのか

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