The ninth day
凍りつく大地に あらゆる魔物が狂いだし
光を食い尽くしていく
人々は剣を手にして生き延びる
権力ある貴族は傷をつけていく
王は法を盾に民を苦しめる
それがBC時代天地戦争の時期
そしてその二の舞がAC105年の話
多くの人々が命を落としたあの日の生き残りの人々は
無駄ではなかった彼らに冥福を祈る
好きだった料理、好きだった本
いろいろなものを用意して
彼らは帰らぬ人を待つように
ホーリィもその内の一人だった
当時は掃除屋衛生兵として母国の雪国を守っていた
「なぁ、シャル!!早く帰って来いよッ!!みんなお前の帰りを待ってるぜ!!」
シャルとホーリィは同じ看護兵で、傷ついた人を治療しながら、剣を握り、ストリートチルドレンや老人といったか弱き人々を守った
しかし、シャルは銃撃戦に巻き込まれて亡くなってしまった
「ホーリィ・トワイライト?」
背後から名前を呼んだ声に反応してホーリィは振り返った
そこにいたのは前髪に赤のメッシュと青のメッシュを入れた男性
「・・・お前は・・・騎兵科のエリー?!」
「よっ!看護兵ホーリィ!」
「お前・・・生きてたんだなッ!!」
ホーリィはエリーに飛びついていった
エリーは体のバランスが崩れそうになるのを支え、ホーリィを抱きとめる
「おいおい、お前一体幾つだよ?」
「・・・幾つだっていいよ。はぁー・・・よかった。戦争中お前の遺体が見つからないからてっきり死んじゃったのかと・・・」
「死なねーよ。」
にっこりと微笑んでエリーはホーリィの髪の毛をぐしゃぐしゃとかき回した
くすぐったそうにホーリィは笑いながら、ホーリィもエリーの髪の毛をかき回した
「エリー。」
「ん?」
「生きててくれてありがとう。」
「・・・どういたしまして。」
エリーの家のリビングで二人は昼を過ごした
テーブルの上にはシャルの写真を添えて
「そうか、シャルは戦死していたのか・・・」
「うん、そう。ただ、問題がひとつあるんだ」
「問題??」
「・・・敵国の若き王、まだ生死の確認が出来ていないんだ。今は多分身を隠しているのだろうけど、もし権力を盾に再び立ち上がるのならば、世界の流れがまた乱れ始めるだろうな。祖先のウィルおじいちゃんの時もかなり乱れたからな。」
「そうか・・・」
「エリー、俺は調べてみようと思う。」
「王をか?」
「うん。また、世界の流れが乱れ、魔物が狂いだし、光を食い尽くしていく・・・そんな時代をこれから新しい時代を築いていく子供達に味あわせたくないんだ。」