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The fourth day【D】

子供が扉を開いた先。

そこには物凄い数の機械が置かれていた。

中央には診察台のようなものが置かれている。

(なんだ…ここ。)

「お帰り。SN2016。」

声が奥からした。

奥を見れば、白衣を来た男性が出てきていた。

他にも多数いる。

その人物を見た瞬間、子供はビクついた。

「只今…戻りました。」

だが、冷静を保って返事を返す。

(SN2016?それがこの子の名前か?)

「今日は何をしていたんだい?」

「…図書館で……本を借りてきました…」

「ほぉ。どんな本かな?」

手にしていた本は古びた分厚い何かの参考書。

子供が読むような本ではない。

「これは魔法の本だね?」

「はい」

「それじゃあ、後で勉強しようか。まずはいつも通りにアレをしよう。」

「…はい」

アレといわれて子供は一瞬ためらった顔をしたが、本を近くの台に置くとさっさと別の部屋へ行って、身軽な服に着替えて、外から中が見える部屋に入った。

(スケルトンルーム?)

中には道着に着替えた男性が何人か待っていた。

(え…まさかこの子今からこの人たちと戦うの?)

まさか…そう思っているとアナウンスが流れた。

『SN2016。それでは、開始する。職員の皆も手加減は要らない。両者覚悟してかかれ。』

そう流れると、男性達は子供に向かって走りだした。

(ばッ!!?戦わせるつもりか?!止めさせろッ!!)

止めさせようと肩を掴もうとするが、掴めるわけもなく空振りする。

(畜生ッ!!)

悔しい思いをしながらレイスはただ子供の方を見るしかなかった。

ドカッ

(…えぇ?!)

子供はなんのためらいもなく男を一人投げ飛ばした。

男は壁に叩きつけられてそのまま気を失って倒れこんだ。

純粋な目で倒れた男をじっと見る目に曇りなどない。

「よそ見をするなッ!SN2016!!」

残りの男性達が子供に襲い掛かる。

だが、子供は攻撃をひらりとかわすと、手前の男を投げ飛ばし、続いて来た男を蹴り上げ、最後の一人は腹に思いっきり拳をぶち込んだ。

子供と大人の男のバトルフィールドにはあってはいけない血痕が大量に零れ落ちていた。

(何だよこれ…これは…まるで……)

―――殺戮兵器―――

『よくやった。SN2016。シャワーを浴びて部屋に戻りなさい』

子供は頷くとその場から離れていった。

その後を目で追いながらこの部屋から出て行ったのを確認すると、

何やらカルテのようなものに記入し始めた。

そのカルテの名前を記入する欄には『SN2016』と書かれていた。

(この子…もしかして…)


夜。眠りについた子供の隣に座って朝があけるのを待っていた。

すると…

「ねぇ…お兄ちゃんは何で僕についてくるの…」

声がして、驚いて振り向くと、子供が目を開けてこちらを見ていた。

「君、俺が見えてるの?……あれ…声が出る?」

何故か声が出るようになっていて、レイスは驚いた。

「最初から見えてた。」

「じゃあなんで…」

「他の人に見えていないのに、僕が返事を返していると、僕が余計変に見られるでしょう?」

「…あ…うん。…あ、ねぇ。君はなんでここに居るの?この生活のままでいいの?」

子供はため息をついて体を起こすと、重そうに口を開いた。

「嫌だよ」

「じゃあ何で…」

「逆らったら殺される」

「…え…」

とんでもない一言にレイスの思考回路は一時停止した。

「一度僕はここが恐ろしくて逃げ出した。だけど、すぐに捕まったんだ。そしてこの地下研究所に連れ戻されて、僕は罰を受けた。…恐ろしかった。アレは人間なんかじゃない。悪魔の瞳だった」

「悪魔…」

「そしてこの目はその時の傷跡」

そう言って子供はずっと閉じ続けていた片目を開いた。

「色が…違う?」

「えぐられたんだ。」

なんてむごいことを…

あまりの酷さにレイスは気分が悪くなりそうだった。

「だから、逆らったら殺される。そう思うと、逃げ切れないんだ…」

まだ小さな子供がこんなに過酷な運命を背負っているとは思わなかった。

いや…思いたくなかった。

「…お休み。お兄ちゃん」

「おやすみ…」

――誰かに似ている――


書いてて子供が可愛そうに思えてきました…

さて、そろそろ第一部終了のようですよ?

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