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第1話:日常の変化

最近、世界の各地で奇妙な病気が流行っている。

その病気は『自忘症』とか何とか呼ばれているらしい。

俺には関係の無い話だと思っていた。

この時までは。



冬休みも始まったばかりの穏やかな昼。

外は強い風が冷たそうだったが、家の中はポカポカと暖かかった。

冬休みのせいですっかり訛りきってしまっていた俺は、この日もタモ○さんを見逃してしまっていた。

そんな中でうるさく鳴り出した電話の音は、乾いた空気を伝わって二階の俺の部屋までも響いた。

いっこうに鳴り止む気配のない電話の音と、いっこうに誰も電話に出る気配のない事に、俺は苛立ちを覚えた。

「つくしー!!起きてるのー?」

「…寝てるー」

「起きてるのね。悪いけど電話に出て頂戴。ちょっと今手が離せないのー」

知ってる。

姉ちゃんが『手が離せない』時は、家事をしてる時か、デートのために気合を入れて化粧をしている時だ。

一度だけ反抗して「そんなに塗りたくったって狸は人間になれないよ」と言った事があるが、タンコブを貰う結果となった。

家事をしてる時には「俺も手が離せないんだ」と言った事があった。

その時は「じゃあ、買い物と洗濯とアイロンがけと掃除をつくしがやってくれるのね?」と言われて、結局俺が用事(隣のおばさんが回覧版を届けにきただけだった)を済ませることになったのだった。

ところで、姉ちゃんの『手が離せない』の事だけど今回はたぶん化粧の方だと思う。

じゃなきゃ、いつも口が悪い姉ちゃんが「悪いけど」なんて言葉、添えたりなんかしない。


俺は渋々、ゆっくりとした動きで一階に下り(わざと音を立てて階段を下りて姉ちゃんに怒られた)隣のおばさんの長話しだったら最悪、なんて思いながら電話をとった。

電話の向こうから、聞き覚えのある声が聞こえた。

「…―つくしちゃん…?叔母さんだけど」

心なしか元気の無いその声の持ち主は、叔母さん(俺の母さんの妹)だった。

昔から女顔の俺を、『ちゃん』付けして呼んでいるちょっと陽気な叔母さん。

最近うちに来た時なんか、叔母さんの子供の智沙(俺より2コ下の高校一年生)のワンピースを持ってきて俺に着せようとしていた。理由を聞くと

「だぁって、つくしちゃん可愛いんだもの。生まれ変わるならつくしちゃんみたいな女の子になりたいわぁ」

と、ウェーブがかった栗色の長い髪(地毛)を二つ結びにしながら言った。

しかし、智沙も相当可愛いのだから、きっと叔母さんも若い時は美人だったんじゃないかと思う(多分)。

「…―お久しぶりです。…どうかしたんですか?」

「つくしちゃん…お、落ち着いて聞いてね…?」

そう言う叔母さんの声は弱々しく、何かを堪えるように震えていた。

「……?」

不思議に思いながらも、俺は嫌な予感がした。

「ち、智沙が…!―」

「え…?」


俺は乱暴に受話器を置くと、すぐに二階の自分の部屋に駆け上がった。

パジャマを脱ぎ捨ててその辺にあった服を着て、財布の中身を机の上にぶちまけた。

中身を確認すると、小銭を全部自分のポケットに突っ込んだ。

…往復の電車賃くらいはある。

俺がバタバタと音を立てている事に、さすがの姉ちゃんも何か異変を感じたらしい。

わざわざ俺の部屋まで様子を見に来た。

「何かあったの?電話…誰からだった―…」

「姉ちゃん!!大変なんだ!!智沙が…自忘症になったかもって…っ。俺…総合病院に行かなきゃ…!」

「自忘症って、ちーちゃんが?!本当なの…?」

「わかんない…。とにかく俺行って来る!!」

慌てて部屋を飛び出そうとする俺の腕を、姉ちゃんが引っつかんだ。

「待ちな、つくし。総合病院だったら車で行ったほうが速いわ。一緒に車で行きましょ!」

「で、でも、姉ちゃん今日デートなんだろ?」

「あんた、何言ってんの!従姉妹が大変な事になってるかもしれないのに、デートなんか行く分けないでしょ!それにあのイモ男、顔はいいけどマザコンだから今日振るつもりだったからいいの。さ、行くわよ!」

一気にそう言うと、姉ちゃんは俺を掴んで家をでた。



李と書いてスモモと読む♪どーもデス。連載小説がもう1作品あるにもかかわらず、またも新しい小説を書こうなどとしています。ネタはたくさんあるのですっ!書く時間と能力が少しばかり欠けている私なのです!…自虐はむなしいので止めておきますかね(苦笑)みなさまのお目にとまれば幸せです。すももでした☆

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