第29話 「烏丸先輩、執事勝負を申し込む」
烏丸レンが、アキラの前に立ちはだかった。
場所は廊下。
時間は放課後。
背景にはなぜか夕日。
烏丸は髪をかき上げて言う。
「黒瀬くん、君が執事喫茶で注目されていると聞いた」
アキラは首を傾げる。
「注目というか、巻き込まれています」
「僕と執事勝負をしよう」
「執事勝負?」
アキラは混乱する。
(また新しいジャンルのイベントが来た)
烏丸は説明する。
「どちらがより白鳥さんにふさわしい紳士か、接客で決める」
アキラは真剣に考える。
「生徒会長にふさわしい紳士……? 僕は後衛支援職なので紳士枠ではありません」
「逃げるのかい?」
「逃げたいです」
トオルが横で爆笑する。
結局、なぜか生徒会室で執事勝負が始まる。
審査員はミレイ、リコ、ユナ。
烏丸は完璧な礼をする。
「お帰りなさいませ、お嬢様。今日もあなたのために紅茶を」
女子たちは感心する。
次にアキラ。
彼は緊張しながら礼をする。
「お帰りなさいませ、お嬢様。本日は謎解きクエスト、紅茶バフ付きでございます」
沈黙。
そしてユナが吹き出す。
リコも笑う。
ミレイだけは赤くなっている。
烏丸は勝利を確信する。
「勝負あったね」
しかしミレイは小さく言う。
「黒瀬くんらしくて、いいと思うわ」
烏丸は崩れ落ちる。
アキラは驚く。
「僕の謎接客が許容された?」
リコが言う。
「会長には特効です」
◆オチ
烏丸は悔しそうに言う。
「次は紅茶の温度で勝負だ!」
アキラは真顔で返す。
「それは家庭科室案件では?」
ミレイが真剣に言う。
「安全のため、生徒会で管理しましょう」
リコが叫ぶ。
「勝負を公式行事にしないでください!」




