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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第1章 勇者マストダイ!! 【勇者なのに……〇〇されました。】
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第8話 勇者を乗せて~♪ 荷馬車は揺れる~♪


「ああ、これで俺も罪人ってことか。」



 今は”神の洗濯場”に送られる途中、異端審問会の護送馬車の中。勇者の危機にクルセイダーズは何の抵抗も出来ず、俺は捕縛される結果になった。多くの人間が抱いていた、勇者なら拘束を逃れて脱出出来るという希望も打ち砕かれた。まさかみんなも義手が俺の体に癒着しているだなんて思わなかっただろう。あ、でも、一応この話はエルだけにはしてあった。その当時は「不思議だね」と笑って済ませられる話だったが、こんな事態に発展してしまうとは……。



「ぐううっ……。」


「お、おい! 大丈夫か?」



 馬車の中にはブレンダンも乗せられている。この男も上司であるオードリーに逆らった以上は犯罪者という扱いになる。俺とは罪状は違うが、行き先は同じ。教団屈指の強制収容所兼再教育施設へと連行されるのだ。そうなることは決まったものの、乗せられた当初、肝心の本人は気を失ったままだったのだ。移動でしばらく時間が経過してようやくお目覚めになったようだ。



「けっ! テメエも結局捕まったのかよ。相変わらずドン臭え勇者だな!」


「うん、まあ、ご期待に応えられず、残念でした、って事で。」


「少しは抵抗しろ! お前は勇者だ。捕まり、犯罪者となってしまえば法王……いや、神殿騎士団(テンプルナイツ)の思うつぼなんだぞ!」



 異端審問会とかオードリーとかじゃなくて? 法王の勅命だとは言っていたが、何故そっちの方に言及した? しかもテンプル騎士団と言い換えたのはどういう根拠があるのだろう? 教団トップの法王を差し置いて、何故その親衛隊とも言える組織の名を出したのだろうか?


 疑問は尽きない。この際、色々とこの男から聞き出してみるとしよう。目的地に着くまでの間はどうせヒマなんだしな。声を潜めて話せば、処刑隊の連中にも聞かれる心配は無いだろう。馬車特有のガラガラと音を立てる車輪もあるしな。



「なんでそこでテンプル騎士団の名が出てくるんだ? あんたらの組織の方が何か企んでるんじゃないの?」


「お前は知らないから、そんなことが言えるんだ! 教団各勢力には勇者候補という者がいるんだぜ? それを躍起になって擁立したがるのは教団の主導権を握るためだ。」


「勇者候補ねぇ……? もしかして、聖歌隊のプリメーラとかみたいなヤツ? ヤツも次世代の勇者候補だと聞いたが?」


「聖歌隊のはあの小娘で間違いない。連中は聖女候補と言い張っているが、明らかにあの小娘は聖女としての教育が施されていない、バカ娘なのは誰が見ても明らかだからな? かと言って決して無能というわけではない。だとすれば勇者候補であると見ても間違いないだろう。」



 聖女様もアイツの教育は諦めてるっていうか、なんか別の期待をしている様な感じはした。アイツを放浪の旅へと向かわせたのがその証拠だろう。自由奔放に旅をさせ、経験を積ませようとしているのは明らかに冒険者としての見聞を広めるためだろう。


 世界を救うのなら、その姿を理解出来ている方がいいに決まっているからだ。ああいうタイプは教育するより、自分で色んな経験をさせるのが的確であると判断したのだろう。手に負えないじゃじゃ馬だから放牧しただけとも取れるけどな。



「アイツの周辺でスキャンダルを引き起こそうとしたのも、その妨害工作か?」


「そう取ってもらっても結構。実際、聖女を貶めるための策略だった。あの女にはキナ臭い噂が立っているんでな。早急に排除を望んでいたが……お前らに邪魔をされた。」


「ああ、アレも恨みを買う一因になってたんだな。罪状としては言及されてなかったけど。」



 あの事件は俺らが嫌がらせをしようとして起こそうとしたんじゃないんだが? 聖女様に会いに行ったらプリメーラのお守り役に指名され、女体化させられた挙げ句、毒で死にかけたり、魔神に襲われもした。盛大な巻き込み事故だったのに、その後、更に捕まるだなんて誰に予想できたのだろうか? 雪山で滑落した上に雪崩に巻き込まれたみたいな急展開過ぎて、笑うしかなくなってくる。



「でなきゃ、ババア自らしゃしゃり出てくる訳がないだろ。」


「ババアとかクソババアとか上司によく言えるな? ちょっとそれは言い過ぎなんじゃないの?」


「うるせえ。ババアはクソババアだろうが。それ以上でもそれ以下でもない。」


「ヒドいよこの人。」



 上司に面と向かって悪口を言える根性は大したものだ。なんか詳細はわからないが恩人という事実も発覚したし。しかもおっかない組織のトップに対してだよ? 下手すりゃ、適当に濡れ衣着せられて簡単に殺される可能性もありそうなのに。それだけ自分の強さに自信があったのだろう。でも、実際にはその強さが機能しない様に色々と対策されていたのだった。



「でも、各組織で勇者候補がいるって言ってたけど、お前らとかはどうなの? それらしいのが一人もいないような……?」


「フン、どうせそう言うと思っていたぜ。一見すれば、それらしい候補はいないだろうな。」


「じゃあ、誰なんだよ?」


「あの新入りの嬢ちゃんだよ。あの娘の素性に関してはお前らの方がよくご存じだろう? ババアは公言してはいないが、教育の熱の入れようを見たら誰もが察するぜ。内部の人間しか知りようがないがな。」


「あの娘が……!? まさか!?」



 ヘイゼルが勇者候補の疑いありだと? あのエルの従妹が勇者として教育されていると? まあでも、急に言葉遣いが変わっていたし、いつの間にか神聖魔法も使いこなせるようになっていたみたいだしな。あの炎上する屋敷で別れてからどうなったのかと思いきや、母親の友人に勇者候補として仕立て上げられようとしていたとは……。

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