第53話 ハイクのバショウ、再び?
――――遡ること少し前、
「ああ~っ! 何故かみんないなくなってるでヤンスぅ!!」
気が付いて謎の宗教家おじさんに会ってから戻ってきたら、公演会場に誰もいなくなってるでヤンス! なんだか乱闘の後が残ってるでヤンスけど、キレイさっぱり誰もいないでヤンしゅ! キョウナちゃんたちだけじゃなくて、観客の受刑者の皆さんもいないでヤンしゅう!
「さ、さてはみんなしてあっしを罠に嵌めたんでヤンすね? あっしにドッキリを仕掛けて、後からみんなで”大成功!!”とか言いながら出てくるつもりでヤンしゅう!!」
これはコウメイの罠だ、ってアニキなら言うに違いないでヤンス! そんなアニキも今回は仕掛人の一人なのに違いないでヤンしゅ! イツキ君も絶対そうに違いないでヤンスよ! 二人とも犯罪を犯していきなり捕まるのはおかしいと思ってたんでヤンしゅ! そんなにあっしをドッキリに嵌めたいんでヤンスかぁ!
「君は……タニシ君? どうしてこんな所に……?」
「しょぎゃあっ!? だ、誰でヤンしゅかぁ!?」
「私だ、私だよ。」
なんか後ろから声を掛けられて振り返ってみたら、あやしいお面をつけた黒服の人がいたでヤンしゅう! あれ? でも、このお面には見覚えが……? これは黒い狐のお面……? わかった! あの、アレ! あのお面の人でヤンしゅう!
「狐のお面の人ぉ!!」
「それは名前ではないよ。ただの私の見た目じゃないか?」
「でも、お面の人はお面の人でヤンしゅ!!」
「それを言ったら、君は犬の人になると思うんだが?」
「犬の人? 違うでヤンしゅ! 正確には”犬畜生”、または”犬の畜生”でヤンス!!」
「……。」
あ? なんか滑ったカンジ? またしても? 公演に続いて? なんかお面の人が黙ってしまったでヤンス! 黙ってると怖い! 槍なんか持ってるし! ……でも、じんわり思い出してきたでヤンしゅ。この人のお面は久しぶりに見たでヤンしゅけど、中身は女の人だったはずでヤンス! 声もおじさんになってるけど……。
「私は黒狐だ。ロアの身内の……、」
「お姉さんだったでヤンスな! でも今はおじさんになってるでヤンしゅ!」
「ウム、今は訳あって、この姿を使っている。この方がやりやすいのでな。」
「わかる! わかるでヤンスぅ! あっしもホントは”世界刑事ギョバーン”という真名があるんでヤンしゅ! 世界を影ながら守ってるんでヤンス!」
「ん? ああ、そうなのか。それは大変だな。」
アレ? なんかまた滑ったみたいになってるでヤンス! あんまりピンと来てない顔してるでヤンしゅ! お面被ってて顔は見えないけど、気配でわかるヤンス。でも、ここに来たということはアニキを助けるために? もしかしたらあっしらの公演を見に来た可能性も微レ存?
「君もロアを救いに来たのだろう? 牢屋の方も見てきたが、彼の姿はなかった。どこに囚われているか知っているかい?」
「あっしもわかんないんでヤンすよう。ここの広場で大道芸の公演をして騒ぎを立てて、ドサクサにアニキ達を助けるはずが……忽然と姿を消してたでヤンス!」
「君はロアの姿を見ていないと?」
「ここに来てからは見てないでヤンス。いるのはわかってるんでヤンすけどね?」
大道芸で受刑者の皆さんを扇動して大暴れした隙に、ダンチョーが乱入、その勢いでアニキとイツキ君を助け出して脱出、という手筈になってたでヤンス! でもいなくなったってことは失敗……? いやいや、もしかしたらプランBとかプランCに移行してるかもしれないでヤンス!
「む? 君の持ってるそれが光っているようだが?」
「あやっ!? なんか槍が光ってるでヤンしゅう!」
「それは君の武器かな?」
「違うでヤンしゅ! これは誰かの落とし物でヤンス! 決してあっしの武器では……!」
謎の発光ギミック! そんなの聞いてないでヤンしゅよ! こんな勝手に光だすなんて思いもしなかったでヤンス! でも武器みたいなのが光る? 前にもそういう光景を見たことがあるような? ミャーコちゃんが仲間になる直前でこんなことがあったような?
「もしかして、持ち主に反応して光ってるのかも!」
「ふむ……? 確かにロアの持つ剣も光っていたな。持ち主や巫女に反応して……。」
「そう! それでヤンしゅ! ”勇者の剣”と同じでヤンしゅ!!」
勇者の剣にも似たギミックがあったでヤンス! 持ち主とか巫女が近くにいると光ったりするヤツ! あと、なんかピンチとかになったときも光るとか、ミャーコちゃんが言ってたような気がするでヤンス! てことはこれの持ち主も今ピンチなのでは?
「それの正体はわからないが、持ち主に何かあったのだろう。もしかしたら今、処刑される危機に瀕しているのかもしれない。」
「あわわ! 持ち主さんがいなくなったらコレを渡せないでヤンしゅう!!」
「ひょっとするとロアも一緒に処刑されるのかもしれない! 急がねば! この槍の気配を便りに処刑場に辿り着かねば!」
「ど、どうするでヤンス?」
「私にいい考えがある! 前にロアがやっていた方法を試してみようと思う。」
お面の人は槍を構えて何かの技の体勢に入ったでヤンス! この念じてる感じ……あの空間移動をするための技に似ているような? 確か、”ハイク・バショウ”とかいう技だった気がするでヤンス! ていうか知らない人の気配だけでショケイジョーに辿り着けるんでヤンすかな?




