第36話 アブラアゲにオイナリさん、それとも襟巻き?
「パチッ!」
ううんあっ! ここは? あっしはどこ? 目が覚めたら謎の建物の中! あっしは今まで何をしてたんでヤンしょ? なんか股間がもげたような感覚が……って思い出したでヤンしゅ! あっしはタニシアン・タイフーンの反動で気を失っていたんでヤンした! 命を削って出す技を繰り出すのはやはり過酷でヤンス!
「お目覚めになられましたかな?」
「しょぎゃっ!? だ、誰でヤンしゅか?」
「何の変哲もない、通りすがりの只の司教でございます。」
うぉあ! ビックリした! 一人置き去りにされていたのかと思いきや、謎の宗教家の人がいたでヤンしゅう! 見るからに偉い人! こんなところで寝てたら怒られるでヤンしゅ! しかも理由が理由なので正直に白状したらイタンシンモンにかけられて、ワイセツ行為の罪で火炙りにされるでヤンしゅう! こんがりキツネ色どころでは済まされないでヤンしゅよ!
「懺悔しましゅから、火炙りだけはご勘弁を! でヤンス!!」
「落ち着いてください。あなたは別に罪など犯していませんよ。」
「もしゅかして、炙りどころか、じっくりウェルダンにされるでヤンしゅかぁ?」
「私としては血の滴るレアのステーキが好みでして……それはさておき、あなたはそのような目には会いませぬよ。」
ウェルダンで中までじっくり火を通されるのかと思いきや、”血の滴る”レアにされるでヤンしゅか! 朝引きされた上で、皮を剥ぎ、迅速に包丁で捌かれて、あっついテッパンの上で焼かれるんでヤンスな……。そしてそして、あっしの毛皮は高値で取引されて、どこかのマダムの襟巻きにされるんでヤンしゅ!
「せめて、こんがりキツネ色のアブラアゲにされてオイナリさんにされる方が納得できるでヤンしゅう。コカン繋がりという意味でも……、」
「コボルトのみならず獣人の毛皮を取り扱うのは禁止されていますよ? あなたの毛並みが素晴らしくてもそのような行為は決して許されるものではないですから。ご安心ください。」
「あ、あやっ!? あっし、茶色のキツネ色に戻ってるでヤンしゅか?」
「……? あなたは元より茶色の毛皮ではありませんか?」
あややっ! キョウナちゃんの魔法が解除されて、元のイヌチクショーな体に戻ってるでヤンス? ヤバイでヤンス! あっしらのすにーきんぐ・みっしょんは失敗に終わったでヤンしゅか? じゃあ、みんなも今ごろはピンチに陥ってるかもしれないでヤンス!
「ぎょわわっ!? みんなに危機が及んでいるかもしれないでヤンス! 早くしないと、アニキともどもオダブツさんになってしまうでヤンス!」
「落ち着いてください。あなたは気を失われた時に意識が混濁しているのかもしれません。もう少し横になられていた方がよろしいかと。」
なんだか建物の外が騒がしい様な気がするでヤンス! もうとっくにショーは中断されてるかも? ということはプランBに移行してるかもしれないでヤンスな! 今ごろダンチョーが突入してきてるタイミングかもしれないでヤンしゅ!
「司教さんも逃げた方がいいでヤンしゅよ? あっしの仲間にパーンされるかもしれないでヤンしゅ!」
「私ですか? 私なら然るべきタイミングで立ち去るつもりです。それまでの間、見届けなければいけないことがありますので……。」
ん? この人? この匂い? この顔? どこかで会った事があるような気がするでヤンス? 格好は違うけど、あの”ゴッツン・ゴー”の人に似てるでヤンス? でも、あの人よりも老けている様な? お知り合い? ソックリさん? はたまた親戚?
「もしかして司教さん? 親戚にルポ・ライターとか秘書をやってる人いないでヤンスか?」
「……? 何の事でしょう?」
「ホラ、あのゴッツン・ゴーを気前良く1ダースも差し入れてくれる様な人が?」
「そのようなことを言われましても……ゴッツン・ゴーでしたら持っていますが、気付け代わりに如何ですかな?」
「い、イタダキましゅう!!」
(シポンッ!! ゴキュゴキュゴキュ!!)
こんなところでゴッツン・ゴー! しかも良く冷えてて、センヌキまで持ってるなんて、神対応! まるで”神様”でヤンしゅう! やっぱりあの人の親戚か何かに違いないでヤンしゅう! あっしらを影ながら助けてくれているスーパーマンの血族に違いないでヤンしゅ!
「……ぷはぁっ!! 司教さんは神様みたいでヤンしゅう!!」
「はは、神様とは大袈裟ですぞ。私はあくまで神に仕える存在ですので。代わりに、あなたにお願いしたい事があるのですが……、」
「なんでしゅか?」
司教さんは後ろの壁に立て掛けてあった何かをあっしの前に差し出したのでヤンしゅ! 何だかキレイな水晶の様な杭が付いたボウガンみたいな武器でヤンしゅな? でも弦が付いてない? 支えるための取っ手と引き金の付いたグリップは付いてるのに? これは槍かな? それとも工作機械の採掘道具的なカラクリでヤンしゅかね?
「これを託したいのです。ある人物に渡してほしいのですよ。」
「ある人物?」
「ええ。名前は不詳ですが、あなたのお友達と共に捕まっている方の持ち物なのです。彼はこれがなくては生きていけません。これを渡していただければ名前などの記憶もある程度は思い出すはずです。」
なんだか誰かの落とし物を託されたでヤンス? アニキとイツキ君以外に捕まってる人? そんなの聞いてないでヤンスよ? 他に誰か囮役の人がいたんでヤンしゅかね? 思い当たる人がいないでヤンス。でもこんなカッコいい謎の物体を持ってるからには物凄い人には違いないでヤンしゅ!




